2026年5月19日火曜日

逆流性食道炎とは?

 逆流性食道炎(ぎゃくりゅうせいしょくどうえん)は、強力な酸性を持つ胃酸や消化中の胃の内容物が食道に逆流し、食道の粘膜に炎症を起こしてしまう病気です。

​ 本来、食道と胃の境目は「下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)」という筋肉が巾着袋の口のように閉まることで、逆流を防いでいます。しかし、この筋肉の筋力が低下したり、胃に強い圧力がかかったりすることで逆流が起こりやすくなります。

​主な症状

​ 代表的な症状には以下のようなものがあります。

  • 胸焼け(胸の骨の裏あたりが熱くなる、ジリジリする)
  • 酸っぱいものや苦いものが口まで上がってくる(呑酸:どんさん)
  • 喉の違和感、つかえ感、イガイガする痛み
  • 原因不明の慢性的などんよりとした咳
  • みぞおちあたりの痛み、胸が締め付けられるような痛み

※特に「食後しばらくしてからの胸焼け」や、「夜間や就寝中に激しい咳・胸焼けで目が覚める」といった特徴があります。

​原因となる主な要因

​ 逆流性食道炎は、加齢だけでなく、日々の生活習慣や姿勢が深く関係しています。

  • 食習慣: 脂っこい食事(脂肪分は胃酸を増やし、食道の締まりを緩めます)、チョコレートなどの甘いもの、カフェイン、アルコール、炭酸飲料、過食。
  • 姿勢と腹圧: 前かがみの姿勢(猫背)、長時間のデスクワーク。これらは腹圧を高めて胃を圧迫します。
  • 体型・服装: 肥満や、お腹を強く締め付けるベルト・衣服。
  • 加齢・その他: 加齢による食道の筋肉の衰えや、胃の一部が横隔膜の上に飛び出す「食道裂孔ヘルニア」。

日常生活でできる対策・ケア

​ 軽症の場合や予防には、生活習慣の見直しが非常に効果的です。

  1. 食後の姿勢に気をつける 食後すぐに横になると胃酸が逆流しやすくなります。食後2〜3時間は横にならないようにし、どうしても体を休めたいときは、クッションなどで上半身を少し高く(10〜15度ほど)して右側を下、または仰向けで頭を高くして休みます。
  2. 食事のとり方を見直す 腹八分目を意識し、よく噛んで食べます。特に夕食は寝る2〜3時間前までに済ませるのが理想です。脂っこいものや、お腹にガスが溜まりやすい食べ物は控えめに。
  3. 腹圧を下げ、姿勢を正す 普段から背筋を伸ばし、胃を圧迫しないように心がけます。また、お腹を締め付ける衣服は避けます。

​医療機関での治療

​ 症状が続く場合や、痛みが強い場合は消化器内科などの受診をおすすめします。病院では主に以下のような治療が行われます。

  • 薬物療法: 胃酸の分泌を強力に抑える薬(PPIやP-CABなど)や、胃腸の動きを活発にして逆流を防ぐ薬が処方されます。現在のお薬は非常に効果が高く、多くは服用を始めることで速やかに症状が治まります。
  • 検査: 必要に応じて、食道粘膜のただれや他の病気(食道がんなど)がないかを確認するために、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)が行われます。

胸焼けや喉の違和感は、放置するとQOL(生活の質)を大きく下げてしまう原因になります。