2026年5月17日日曜日

顎関節に問題が起きた場合、何が起こるのか?​


​ もし病気(関節円板のずれ、慢性炎症、滑膜炎、顎関節症など)が進行している場合、炎症プロセスによってpHが変化する傾向があります。

  • 炎症または関節症(TMD / 顎関節症): 炎症を起こした細胞がサイトカインや活性酸素(フリーラジカル)を放出し、局所的な「酸性化」を引き起こします。これにより、pHは6.8〜7.1あたりまで低下することがあります。環境が酸性に傾くと、滑液の粘り気(粘度)が低下し、軟骨を保護する効果が弱まってしまいます。
  • 関節感染症(比較的まれ): 関節腔内に細菌感染が起きている場合、乳酸の蓄積によってpHは劇的に低下し、しばしば7.0未満になります。

​「顎関節にトラブルが起きると、関節を満たしている潤滑油(滑液)の品質が落ちてしまい、さらに顎の関節を痛める悪循環に陥る」

​1. 滑液(Liquido sinoviale)の本来の役割

​ 健康な顎関節の中は、「滑液」というヒアルロン酸などを豊富に含んだ液体で満たされています。これは車のエンジンオイルのようなもので、以下の役割を持っています。

  • ​骨や軟骨の摩擦を減らし、スムーズに顎を動かす(潤滑作用)
  • ​血管のない軟骨に栄養を届ける

​2. 炎症が起きると「酸性」になる(pHの低下)

​ 通常、体の中は弱アルカリ性(pH 7.4前後)に保たれています。しかし、顎関節症(TMD)や関節円板のズレ、関節症などが起きると、炎症細胞が暴れて化学物質を出すため、その場所が酸性(pH 6.8〜7.1)に傾きます。

​💡 ポイント: さらに珍しいケースですが、細菌感染が起きると「乳酸」が大量に作られるため、pHは7.0未満へと激しく低下します。


​3. 酸性化がもたらす悪影響(悪循環)

​ 滑液は、本来の「弱アルカリ性」のときに最もサラサラ・ネバネバのバランス(粘度)が良く、軟骨を守るバリアとして機能します。

 しかし、環境が酸性になると、この粘り気が失われて水っぽくなってしまいます。

  • 結果: クッションとしての役割を果たせなくなり、顎を動かすたびに軟骨や骨が直接ダメージを受けやすくなります。これがさらなる炎症を呼び、関節の破壊(変形性顎関節症など)を進めてしまう原因になります。

​ 顎関節の治療(洗浄療法やヒアルロン酸注射など)を行うのは、まさにこの「酸性化して痛んだ関節液」を洗い流したり、本来の潤滑機能を取り戻して悪循環を断ち切るためです。