図解アレクサンダーテクニーク グリン・マクドナルド著 産調出版より
筋繊維
筋繊維は強い力をだすための白い筋繊維とリズミカルな動きと姿勢のための赤い筋繊維に分かれます。赤い筋繊維は白い筋繊維ほど強くはありませんが、白い筋繊維より疲労するのが遅いため、腰の適切なカーブを維持することに適任であり、腰をのばします。
姿勢をつくるための筋繊維、特に深部の脊椎にそった筋肉に対して不適切な使い方がなされると姿勢の問題が起こってきます。極端な例としては、宇宙飛行士たちの体験があります。宇宙で筋肉の耐性と強さを維持するためのエクササイズをしたにもかかわらず、筋肉の萎縮が起こりました。それは赤い筋肉に影響を与えているようでした。ネズミの実験でわかったことは、宇宙で過ごす時間にしたがって、筋繊維は萎縮を起こし、その特性にも変化をきたしました。白い筋繊維は実質的に変化しませんが、背中の赤い筋肉は萎縮を起こし、その特性にも変化をきたしました。白い筋繊維に近くなっていたのです。
姿勢を維持するための筋繊維を刺激するためには重力が欠かせないのです。
姿勢を維持する赤い筋繊維、特に胴体を支えるための背中の筋肉は、重力によって刺激をうけるさまざまな感覚機構(三半規管やふくらはぎの筋肉の伸展受容器など)の神経からの信号をつねに必要とします。
また、姿勢を維持するための筋繊維への刺激は低レベルのものでなくてはならず、運動練習のような高レベルなものではだめなのです。
引用ここまで
抗重力筋 |
姿勢を改善するためには、粗大運動(「座る」「立つ」「歩く」「走る」などの身体を大きく使った、生活するうえで必要となる動作)による全身の機能発達と、抗重力筋の発達による姿勢保持と、口唇閉鎖、舌の口蓋(脊椎動物において口腔と鼻腔を分離している口腔上壁)接地を理解する必要があります。
激しく力強く、スピードの速い運動ばかりをしたがる人たちの姿勢がよくならない理由のひとつに、「姿勢を維持するための筋繊維への刺激は低レベルのものでなくてはならず、運動練習のような高レベルなものではだめ」であることが理解できていないということがあります。結果として、ケガや故障が絶えず、精神的にも不安定な状態に陥ることになりがちです。
安部塾では、傍目には何をやっているのかわからないような低レベルな運動を繰り返し練習します。いわゆる「基本的な動作訓練や感覚訓練の反復練習」です。数年間、地道に継続してみれば、「姿勢を維持するための筋繊維への刺激は低レベルのものでなくてはならない」のが、よくわかると思います。そして、「ゆっくりと丁寧に、軽く動くこと」の重要性が理解できたとき、さまざまな問題が解消されていきます。
「やった感のある運動で調子をよくしよう」という行為は、興奮状態に陥ることで痛みや不調を感じないようにしようという試みです。そのとき一瞬だけよくなったような錯覚に陥ることができますが、長期的にはマイナスだと思います。「全然やった気がしない」というレベルの運動を理屈通りにやることで、負の連鎖から抜け出すことができます。
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