ファッシャルリリーステクニック 医道の日本社 228-239pより引用します。
頭部が理想的な位置にあれば、頭部の重心は胸郭の重心の上にくる。その場合には、サポートをする筋筋膜による緊張のすべてが、前方に飛び出している頭部を不安定な状態で保持するという余計な負担を被ることなく、本来の役割を果たすことができる。
多くの参考書には、耳と上腕骨頭が縦一列に並んでいるべきだと書かれている。しかし、肩甲帯は独立した可動性を持っているために、この表現は混乱を招きやすい。運動により肩甲帯がカウンターバランスとして機能することが必要になるまでは、肩甲帯は頭部と頸部の安定とは関係がない。
頭部を支持する肩甲帯は過去数年、「裸足ランニング」に対する興味の高まりに合わせて大変注目されてきた。Lieberman(2011)は軸椎の突出と肩甲帯と頭部後面を結合し、ランニングの足底接地時における頭部の前方移動を減速させる項靱帯の発達について議論をしている。この機能的な結合は項靱帯周辺の筋膜の構造に関係があり、多くの活動的な患者はこの領域における治療により多くの恩恵をうけるだろう。
われわれの事例では(図8.35)、前方にずれた頭部を代償するために、肩は後ろに引っ張られている(後方のずれ)。そして、肩甲骨の内旋により、上腕骨頭は前方に移動している。さらに、肩甲上腕関節も前方にずれているように見える。
図8.35 |
この患者は、胸郭に対して明らかに頭部が前方にずれている。しかし、耳と上腕骨頭の配置は、それほどずれてはいないことがわかる。
その際、前下方から、後上方に走っているすべての組織が短くなっているのがわかる(胸鎖乳突筋、上部僧帽筋の前部、前斜角筋、小後頭直筋、上頭斜筋)。一方で、喉の上部や、頚胸部では、逆のパターンが見られる。図では、胸鎖乳突筋の線が後傾して乳様突起に向かわずに、ほとんど垂直になっている。
側屈した頚部では、短くなっている側の中斜角筋と後斜角筋に注目する(図8.36)。しかし、まずは同じ側の僧帽筋と頚板状筋のより表面的な組織を見ていく必要がある。このような場合には、頭部は頚部とは逆の方向に傾くことで、目を水平に保つ補助をしていることが多い。このパターンを矯正するには、頭部が側屈している側の後頭下筋群と頭板状筋を伸ばす治療も必要となる(図8.37)。
引用ここまで
胸郭に対して明らかに頭部が前方にずれていて、耳と上腕骨頭の配置がずれていない人がいます。前下方から、後上方に走っているすべての組織(胸鎖乳突筋、上部僧帽筋の前部、前斜角筋、小後頭直筋、上頭斜筋)が短くなっているのがわかります。
前方にずれた頭部を代償するために、肩が後方に引っ張られてずれています。肩甲骨を内旋させて上腕骨頭を前方に移動させ、肩甲上腕関節も前方にずらして、見かけ上だけ姿勢がよいように見せています。
当然の結果として、肩が壊れます。「胸鎖乳突筋、上部僧帽筋の前部、前斜角筋」を伸ばしながら、「小後頭直筋、上頭斜筋」を伸ばすことで肩が楽になるのは、前方にずれていた頭部が中間位に戻るからです。
このとき、「上部頸椎過伸展・下部頸椎過屈曲(上部胸椎も)」に対して「上部頸椎屈曲・下部頸椎伸展(上部胸椎も)」の動きを行うことになります。頸椎部が中間位になることで頭部が正しい位置に戻り、呼吸も楽になります。
3月21日(祝)の大手門ワークショップでは、ボディローラーミニを使って「胸鎖乳突筋、上部僧帽筋の前部」と「小後頭直筋、上頭斜筋」を押圧伸ばしするテクニックの解説をします。
3月各地のワークショップ
☆大手門ワークショップ
3月21日(火)→ 詳細
☆大阪ワークショップ
3月23日(木)→ 詳細
☆名古屋ワークショップ
3月24日(金)→ 詳細
☆神戸ワークショップ
3月25日(土)→ 詳細
☆新宮校ワークショップ(休日)
3月26日(日)→ 詳細
☆新宮校ワークショップ(平日全日)
3月27日(月) → 詳細