図解アレクサンダーテクニーク グリン・マクドナルド著 産調出版より
らせん
物体とエネルギーに秩序だった働きをもたらしている原則のひとつはらせん形です。植物の成長パターン、渦巻き、旋風、そして銀河はらせん状の動きによって発達していきます。人体の構造にもこの宇宙の原則があらわれています。
ボールや円盤を投げると想像してみてください。からだ全体を上に強く押し出すことで腕が動き物体を投げることができます。自然のなかでこのらせん形のバネは重要です。人体の構造はこの宇宙の原則をあらわしています。完全に直線なものはありません。骨、関節、筋肉の構造はすべてらせん形をしています。心臓の筋肉構造もこのパターンで発達します。
赤ちゃんの胎児の姿勢、丸くなって眠っているネコにも、らせん形がはたらいています。それと反対に、もしだれかが「からだ全体をねじる」とすれば、からだ全体に渦巻き状の緊張が起こります。
方向性とらせんの関係
らせんは頭蓋の底の両側から始まっています。それらは肩甲骨のところで脊椎を横切り、肋骨にそって前へまわっていきます。その後、腹部を横切り、腸骨稜へ届きます。
「両ヒザはたがいに離れながら、前に行きます」と言い聞かせることで、脚と胴体をつなぐ2つのらせんが解放されます。1つ目のらせんは土踏まずから始まり、ふくらはぎの内側をのぼり、ヒザを通って太ももの外側へ行き、お尻から仙骨にまわり骨盤後部のでっぱりに至ります。2つ目は足の外側の上端からはじまり、ふくらはぎの外側を上がり、ヒザをまわって、太ももの内側を上がり、骨盤の前面を覆い、腰椎の前面にとどきます。
胴体上部が横に広くなる方向を思うと、腕の2つのらせんが解放されます。1つ目は親指から手のひらを通り、前腕の内側を上がり、ヒジを通って上腕の後ろ側へ行き、肩から頭と背中の上部(僧帽筋)にかけて扇状に広がっています。2つ目は小指から手の甲を通って前腕の後ろ側へ、そして上腕の内側から脇の下に至ったのち、扇状に広がりながら腰と仙骨に下りていきます。
円盤投げ像 |
「首が楽になって頭が前と上へ行き、背中が長く幅広くなります」と思うことで頭と腰をつないでいる深部のらせん形が解放されます。