エッセンシャル・キネシオロジー 南江堂 より引用します。
斜角筋
斜角筋(6つすべて)は、大きくて固定されていないアンテナ塔を支えるケーブルと同じような方法で、頭頸部の安定に貢献する。またこれらの筋は肋骨に付着するため、筋収縮によって肋骨を上方へ持ち上げ、これによって呼吸における吸気を補助する作用を示す。
呼吸機能を補助するために、これらの筋を長期にわたって過度に使用すると、筋の肥大を招く。
斜角筋 |
胸郭出口症候群
腕神経叢および鎖骨下動脈の圧迫によって、手や腕に筋力低下や、感覚神経麻痺、うずくような痛みなどの症状が現れる。
腕神経叢と鎖骨下動脈は、前斜角筋と中斜角筋のあいだを走行する。もしこれらの2つの筋が著しく硬くなったり、肥大したりすると、腕神経叢と鎖骨下動脈の神経血管束が圧迫を受け、神経根性の徴候や脈の減弱が現れる可能性がある。
引用ここまで
■前斜角筋 第1肋骨と第3~7頸椎の横突起
■中斜角筋 第1肋骨と第2~7頸椎の横突起
■後斜角筋 第2肋骨外側面と第5~7頸椎の横突起
斜角筋の収縮作用
■両側性の収縮 「頸の屈曲(前、中斜角筋)」「第1、2肋骨挙上による吸気の補助」
■片側性の収縮 「頸の側屈」
パソコン作業時、長時間、モニターを覗き込むような首に過度な負担をかけてしまう姿勢をとってしまうことで、斜角筋が硬くなって腕の神経が圧迫されて痛みやしびれ 、重だるさや手の血行不良や握力低下症状を引き起こします。
斜角筋のトリガーポイント |
前斜角筋、中斜角筋、第1肋骨の3つで出来ている三角形の隙間を、斜角筋間隙(かんげき)と呼びます。この斜角筋隙で、腕神経叢に対して圧迫力が強くなり、腕神経叢を絞扼してしまう状態が問題です。不良姿勢と解剖学的な絞扼部位が悪いことが密接に関与しています。
斜角筋のストレッチは、対側の手を症状が出ているほうの斜角筋間隙に置いて、首を逆方向に傾けていきます。首の前面と側面が伸びているかチェックしながら、やさしく丁寧に伸ばしていきます。
斜角筋のストレッチング |
上肢やつけ根の肩甲帯を吊り上げている僧帽筋や肩甲挙筋の強化運動訓練が基本です。小胸筋・僧帽筋下部繊維の過緊張を解消することにより僧帽筋上部繊維の過緊張がとれることがあります。小胸筋のストレッチとともに、鎖骨や肩甲骨の可動性を改善するようにします。
菱形筋群と僧帽筋(上中下)の筋力不足で肩甲骨を内転位に保持できず外転してしまう(ひろがってしまう)と、さまざまな問題が生じます。肩甲骨を内転位に保持する(寄せる)菱形筋群の筋力トレーニングが必要とされる理由です。
安部塾では、肩甲骨を寄せては離す基本運動(肩甲骨の内転↔外転)を反復練習しています。