ティーチングピラティス NAP Limited より引用します。
ロッキング(腰椎のスタビライゼーションおよび股関節と肩甲上腕関節のモビライゼーション)
目的
- 両上肢荷重下での肩甲帯の位置と安定性を改善する。
- 股関節後面筋群の柔軟性を改善し、股関節屈曲可動域を増大させる。
- 独立した股関節運動中の腹筋群のコントロールによる腰椎安定性を改善する。
- 脊柱の屈曲・伸展における可動性を改善する。
開始肢位
四つん這い位で、股関節約90°屈曲位、膝関節は股関節の幅以上には開かず、足部を後方に向ける。両手部は肩甲上腕関節の直下かわずかに前方に位置させ(上肢が比較的長い場合)、上肢はやや外旋位とする。肩甲帯の安定化筋群の活動を促すために、小指は軽く床に押し付ける。後頸部は頸椎の弯曲が保たれる状態で伸張し、表層筋群は比較的リラックスさせる。視線は母指の間に向ける(図4.47A)
ロッキング:開始肢位 |
動作
- 息を吸う:準備段階
- 息を吐く:骨盤底筋群および下部腹筋群が腰椎の安定性を高めるように、小指を床に押し付けて肩甲骨の安定性を高める。骨盤は中間位、頸椎および胸椎は正常な弯曲を保ち、頭頂部から尾骨まで脊柱を伸ばす。肩甲骨を下方へすべらせ、手部を床につけたまま上肢を身体に向かって引き、身体を前方に引きつける(図4.47B)。
- 息を吸う:脊柱の安定性を維持したまま、肩甲骨をさらに下方へすべらせ、手部の基部を用いて床を押すことで身体を後方に動かし、股関節および肩甲上腕関節を屈曲させる。独立した股関節運動が終了した時点(腰椎の屈曲が起こる前)で止める(図4.47C)。
- 息を吐く:肩甲骨の安定性を補助するため小指を床に押し付けて、股関節と肩甲上腕関節を伸展しながら、上腕で身体を前方に引きつける。
5~10回繰り返す。
ロッキング:股関節の伸展と屈曲 |
よく起こる問題
■開始肢位の誤り:
- 上半身:肩甲帯を安定させるために、手部(小指)を床に押しつけて肋骨の前面を後面に向かって引き上げ、肩甲骨を下方へすべらせる。
- 下半身:脊柱の生理的弯曲をイメージさせて、腰椎の弯曲を保ち、坐骨を後方へ離すために骨盤底筋群および下部腹筋群を活動させる。
■脊柱の位置の固有感覚不良:エクササイズ中の腹筋群の良好な活動を確保する。棒などの支えを背中に当てるか鏡を利用してアウェアネスを促す。股関節を緩めるために頭頂部を前方に、坐骨を後方に引き離すように指示する。
引用ここまで
頭部前方突出位姿勢 |
「首が自由な人は美しい。頸椎の安定性を高めることで、首を解放する。」でも書きましたが、頸部表層筋群を比較的リラックスさせた状態に保つことが重要です。後頸部は頸椎の弯曲が保たれた状態で伸張している必要があります。頸椎のアライメントを修正するために、後頭隆起の下に触れてみましょう。
首(頸部)の痛みを訴える人は頭部前方位姿勢を呈していることが多いです。この不良姿勢は頸部から上背部に疼痛を生じさせます。頭頸部屈曲に作用する頭長筋・頸長筋などの頸部深層屈筋群の機能が低下し、胸鎖乳突筋の活動が大きくなる代償動作が認められることがよくあります。
頭部前方突出位姿勢では、下部頸椎(第5~7頸椎)は前方にずれながら屈曲位に、頸椎(第1・2頸椎=環椎・軸椎)は過緊張からの過伸展になります。頭部の前方変位を代償するように、肩甲骨が外転内旋変位し、胸椎は後弯変位します(猫背姿勢)。骨盤は胸椎の後弯に対して前方へスライドするため、腰椎は反り腰(過前弯)になることがあります。逆に、腰椎を平坦化させ、骨盤後傾になる人もいます。
胸椎後弯変位はスムーズな肩関節の運動を阻害し、腕を挙げる・背中に手をまわすなどの簡単な動きが困難になります。諸々の肩関節痛(腱板損傷や肩関節インピンジメント症候群など)を引き起こす要因になります。上部胸椎後弯変位を上部腰椎の前弯増強で補おうとした末路です。
骨盤が前方にスライドするため、股関節や膝関節は重心を中心線に保つために相対的に過伸展位状態になります。膝関節過伸展位によって膝の関節が後方移動し、足関節は相対的に底屈位となります。この状態が長く続くことで足関節の背屈制限が出て、アジアンスクワット(ヤンキー座り)ができなくなることもあります。
姿勢の改善に必要な運動は低レベルでなければいけません。強度の高い運動は、姿勢の歪みを悪化させる自己破壊行為となりがちです。
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