2021年4月26日月曜日

膝の伸ばし過ぎは膝下筋を損傷させ、膝の後方に痛みと腫脹、機能障害を引き起こす可能性があります。

 

膝窩筋
■膝窩筋

起始:大腿骨外側顆

停止:脛骨の近位後面

作用:膝関節の屈曲、屈曲した膝関節の内旋

 膝窩筋は、膝の後方を斜走している筋肉です。大腿骨外側顆と脛骨の後方を結び、膝に回旋の動きをもたらしています。足部が接地していない状態では脛骨は大腿骨に対して内側方向に回旋し、足部が接地している状態では大腿骨は脛骨に対して外側方向に回旋します。

 膝窩筋の主な機能は、スクリューホーム・メカニズムによる膝関節の完全伸展を解除することです。この機能は大腿骨外側顆より大腿骨内側顆が大きいことによって起こり、脛骨外旋による大腿脛骨関節のロックを伴います。膝関節が伸展する際、脛骨は大腿骨に対して最大限外側方向に回旋します。これが「ロックされた」状態です。この動きを簡単に見ることができるのは、イスに座って膝を完全伸展させるときです。膝を伸展させるときに足の方向を注意深くみると、膝が完全な伸展位に近づくにつれて、足が少しずつ外側に回旋するのがみられます。これは、脛骨が大腿骨に対して回旋するときにみられる動きです。同じ動きを、立位でロックされた状態(完全伸展)から、アンロック(軽度屈曲)するときにも観察することができます。

 膝窩筋が膝関節の内旋と屈曲を開始するとき、この微小な動きが膝をアンロックさせ、ハムストリングスにより引き続き膝の屈曲または回旋をおこなうことを可能にします。膝の過伸展は膝下筋を損傷させ、膝の後方に痛みと腫脹、機能障害を引き起こす可能性があります。

※参考文献 「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」

 膝窩筋は、脛骨後外側の動的安定性に重要な働きをもちます。膝窩筋の収縮により膝伸展位では回旋制動力(大腿骨内旋制御)は高いが、外側の安定性(膝内反制御)は低く、膝屈曲位では、回旋の制御は減少するが外側の安定性は高くなります。膝内旋位では外側安定性は高いが、回旋制動性は低く、膝外旋位では外側安定性は低いが、回旋制動性は高いといえます。

 膝窩筋は、外側半月に半月膝窩繊維束として付着し、外側半月を動的にコントロールしています。屈曲時には外側半月を後方に引き、伸展時には外側半月が前方に逸脱するのを防ぐ働きがあり、大腿骨顆部からの圧迫から保護しています。

 膝窩筋は屈曲開始時に膝関節を内旋(大腿骨を外旋)させ、膝関節のロックを外す重要な役割があります。

※参考文献 「身体運動学 メジカルビュー社」