2021年4月13日火曜日

柔軟性とストレッチング

 ■柔軟性

 柔軟性を改善しようとするトレーニングでは、筋肉と筋膜に焦点を当てる。もちろん、骨、関節、靭帯、腱、皮膚も柔軟性には影響するが、その影響は大きくはない。

 骨と関節は、その関節の可動できる範囲を決定する。例えば、膝関節では、どんなに強く膝を直線的に曲げようとしても、それ以上は曲げることができない。

 人体は骨と骨を連結し、関節を固定する。靭帯に柔軟性を求めることは、関節の固定が弱くなり怪我の原因となるため避ける。

 腱は密性の結合組織から成り、筋肉と骨を連結している。腱は強靭だが、柔軟性もある。しかし、その柔軟性は、関節全体の柔軟性の10%程度の影響でしかないため、最初に伸ばすべき組織ではない。

■ストレッチ

 これまで、柔軟性、骨格筋、筋肉のメカニズムについて学んできた。次に学ぶのは、健康のために行うストレッチで、これは身体の特定の部位を筋肉や軟部組織が伸びる位置に置くというプロセスである。

■筋肉が伸ばされると何が起こるか?

 定期的にストレッチを行なうことで、身体とくに筋肉内部にさまざまな変化が起こることを実感できる。もちろん、靭帯、腱、筋膜、皮膚、瘢痕組織などの他の組織にもストレッチ効果は認められる。

 可動域を増加させるような筋肉が伸びる過程は筋肉内の筋節レベルで起こる。身体の特定の部位を筋肉が伸びる位置に置くことで、筋フィラメントの重複部分が減少し始める。筋節が十分に伸ばされれば、筋繊維は最大の静止長となる。この状態から、さらに伸ばすことで、結合組織や筋膜の伸長につながる。

ビジュアルでわかる トリガーポイント治療 緑書房 より