2022年12月1日木曜日

不得意なことをやって、自分に生来備わっている傾向に逆らったバランスを強化するようにした方がいい。生来備わっている傾向を強化しすぎない。

 アナトミー・トレインー徒手運動療法のための筋膜経線 第4版 医学書院 より引用します。

 大部分の身体損傷は局所の膜組織に負荷が加わり、そのうえ素早く動くことを要求されたときに発生する。類似例にビニール袋がある。ビニール袋をゆっくり少しずつ引き伸ばすと、かなりの長さまで塑性変形を起こすが、ビニール袋を素早く引き伸ばすと破れる。

 我々の実験では、局所組織の故障と長期回復が必要となる状況につながるケースに対しては、ゆっくり少しずつ行う運動やエクササイズが、最初から短時間で学習させるよりも安全に実施できる方法である。296-297P

 免疫系(もともと大部分が結合組織である)には、血液型、アレルギー、免疫反応において遺伝的差異があることを誰もが知っており、ヒトの膜ネットに遺伝的変動が認められることは驚くにあたらない。

 膜ネットの緊張度はさまざまであり、その範囲は「バイキング(厳寒の気候で発達。密度が高く安定性がある。高摩擦が生み出され、運動時に熱を産出し修復が速い)」から「寺院の踊り子(熱帯性の気候で発達。弾性と柔軟性が高く安定性が低い。低摩擦の滑動で修復が遅い)」に及ぶ。

 「バイキング」は重労働向きで、常時ウエイトトレーニング室で金属をガチャガチャ鳴らしている傾向があるのに対し、生まれつきしなやかな「寺院の踊り子」は、廊下を隔てたヨーガスタジオで生来備わっている傾向を強化している。週2~3回、それぞれのトレーニングルームを交換するすることがこの両グループにとって都合がよいと思われる。287P

 「バイキング」と「寺院の踊り子」の違いについて、前項で詳しく説明した。この両者がトレーニングに対して同じように反応することはない。膜にみられるような遺伝的差異の理解が深まるのに伴い、トレーニングプログラムは「汎用型」ではなく、対象者個々の差異に応じたものに可変する必要性が指摘されている。

 「寺院の踊り子」のような靭帯弛緩のある対象者の場合(ストレッチへの生来の親和性を考えれば)、ストレッチのクラスに引きつけられるかもしれないが、自らの傾向に逆らった弾力的なバランスを強化するように助言した方がいい。

 「バイキング」であれば、持続的なストレッチに加え、無志向の波のようにうねるしなやかな運動によって、自らの重労働とのバランスをとる方法がよい。297P

引用ここまで

 昨日の記事でも書きましたが、生来備わっている傾向を強化し過ぎるのはおすすめしません。不得意なことをやって、自分に生来備わっている傾向に逆らったバランスを強化するようにした方がいいと思います。

 表現の世界では、自分に生来備わっている傾向に逆らうとパッとしないのでうまくいかなくなりがちです。逆に、筋膜ベースで考えると、自分に生来備わっている傾向に逆らうことでバランスがとれます。人前で見せる姿と、自分に必要なことは一致しないと考えております。元々、バランスがとれている人は両刀いけると思います。

桶の理論

 ついつい得意な能力ばかりを伸ばしたくなりますが、桶の理論で「長さ不等の木片を丸めてつくった桶では、一番短い木片に相当する深さまでしか水が入れられない」のと同様、いちばん不得意なレベルにしかなれないので、不得意分野に時間を割くことをおすすめいたします。

12月の各地のワークショップで膜について解説します。

☆下関ワークショップ

12月3日(日)→ 詳細

 

☆新宮校ワークショップ(休日)

12月4日(日) → 詳細 
12月18日(日)

 

☆大手門ワークショップ

 12月5日(月)→ 詳細

 

☆東京ワークショップ

12月9・10・11日(金・土・日・月)→ 詳細  

 

☆新宮校ワークショップ(平日)

12月19日(月) → 詳細

 

☆大阪ワークショップ

12月22日(木)→ 詳細

 

☆名古屋ワークショップ

12月23日(金)→ 詳細

 

☆神戸ワークショップ

12月24日(土)→ 詳細

 

機能運動学大牟田サークル

1月8日(日) → 詳細