この記事の続きです → 腹筋群(外腹斜筋、内腹斜筋、腹直筋、腹横筋)のはたらきを学ぶと、お腹をほぐさなくてはならない理由がわかります。
外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋・腹直筋の重なり |
ファッシャル・リリース・テクニック 医道の日本社 より引用いたします。
■腹部の筋膜鞘
腹直筋は、腹部で最も表層に位置する筋である。腹部の前面のどこかにピンを刺せば、最初に触れる筋は腹直筋である。しかし、筋膜の観点から言えば、全く別の話である。
第5肋骨での上部付着においては、実際に最も表層の筋であるが、肋骨の数センチ下では、外腹斜筋の筋膜が腹直筋を覆う。そのため、筋膜を考慮すると、腹直筋は外腹斜筋よりも深部に位置していることになる。
さらにもう少し下の部位では、内腹斜筋の伸びた筋膜が腹直筋を覆っている。へその数センチ下の腹の高さである弓状線では、腹横筋の裏に潜り込み、恥骨に達する頃には、腹部で最も深層に位置する筋になっている。そして、腹直筋は骨盤底とつながっている。151P
腹直筋と腹横筋は、ともに腹腔の2つの”ベルト″を形成する上で非常に重要な筋である。腹横筋は、前面の白線を通して脊柱の横突起から横突起へと走っており、横方向へのベルトの大部分を構成している。この横方向のベルトは、脊柱起立筋の周囲を走る筋膜(腰筋膜の表層と深層の薄い膜)によって完成され、棘突起で結合している。
縦方向のベルトは腹直筋から発生し、横隔膜の中心部となって上昇し、前縦靱帯を骨盤底に向かって下降する。恥骨尾骨筋は腔の底とこのベルトを越え、再び恥骨で腹直筋の後ろの筋膜と出会う。
これら2つのベルト付近の適切なバランスを保つことで、体の上部の胸郭や頭をしっかりと安定させ、よい基盤を与えることができる。152P
引用ここまで
弓状線 |
講座 X線解剖学・10 前腹壁,背部の筋 腹壁の筋より引用いたします。
弓状線arcuate lineは内腹斜筋の腱膜のうち,その後葉が臍の下約5cmの所で下方に凹む線で終わる部分をいう.三層の筋の腱または腱膜は腹直筋を鞘状につつむが,後葉と前葉からなる腹直筋鞘は弓状線の上と下で異なる.
弓状線の上方では外腹斜筋の腱膜は前面に,内腹斜筋の腱膜は腹直筋の外側で二葉となり,うち前葉は腹直筋の前面を覆い,後葉は後面を覆う.後面にはさらに腹横筋の腱膜が加わるので腹直筋鞘の前面と後面との強さは同様である.
弓状線の下方では,三層の筋の腱膜はすべて腹直筋の前面を覆い,後面には腹横筋膜が覆うのみである.外腹斜筋と皮膚の間には脂肪層である外側のCamper's fasciaと線維層である内層のScarpa's fasciaがある.
引用ここまで
いわゆる「下丹田」と呼ばれている場所は、ちょうど弓状線のあたりになるという説があります。実際、ここを意識することで、とても動きやすくなります。ここが機能するためには、お腹がほぐれていなくてはならいないと考えております。お腹がほぐれると、胸が開いて肩甲骨がお尻の方へ下がって、頭が美しい位置で安定します。