アナトミー・トレインー徒手運動療法のための筋膜経線 第4版 医学書院 より引用します。
膜を「長く」する(滑動を増大させることにより有効な可動域を増大させる)作業は、最終可動域、またはその近くでゆっくり動かしたり、「揺り動かす」動作に依存する。この最終可動域と近辺では、ターゲット領域の膜が「ロックアウト」し、伸張反射が弱まり、筋を弛緩するぐらいに長くストレッチを持続させることが可能である。そこで初めて、膜で増大した可塑性滑動が始まるため、筋弛緩後、少なくても30~90秒間はストレッチした状態を保持する。
ヨーガや太極拳の遅いスピードで弾性が認められないとすれば、運動競技の速いスピードでは可塑性は認められない。繊維と基質がストレッチする状況で相互作用するには、膜面間の剪断能力を回復するため、ストレッチしている一端での持続的な張力(中間範囲の一瞬ではなく)が必要とされる。
個々の筋群を直線的な動きで個別にトレーニングすれば、その筋を鍛えることはできるかもしれないが、機能的運動を行う際の身体の健康に必要となる隣接する膜組織が取り残される可能性がある。
開放性運動連鎖、または閉鎖性運動連鎖として筋膜経線をトレーニングすることにより、筋間および筋周囲の筋膜が強化され、身体の近位側から始まって、遠位側で遅れて起こる筋の協調運動を、より適切に行えるようになる。
同じ運動の型、またはヨガのポーズを同じやり方で毎日繰り返し行っていると、負荷がかかる特定の筋膜経路のみがトレーニングされ、負荷がかからない近傍の筋膜はバランスが崩れた状態となり、日常生活を遂行するなかで違った活動場面に遭遇した際に損傷することが論理的に示唆される。このような繰り返し自体が悪いわけではない。ルーティンには、複雑なダンスや武道を自分のものにするうえで計り知れない価値があるが、変化をつけずにルーティンを繰り返すだけでは、実生活への備えとしての価値に疑問符がつく。
引用ここまで(295P)
安部塾では、「得意な動きだけを繰り返していると身体によくないので、不得意な動きを練習してください」という指導をしています。少し観察してみるとすぐにわかりますが、偏った動きばかりしている人は、その動きに特化した姿勢・体型・呼吸になっています。ある種の環境適応なわけですが、度を過ぎれば力学的安定機構が崩壊して体調不良に陥ります。
ワークショップを開催していて残念なのは、「この人こそ、この内容の動きをしないといけないのに……」という人ほど、「興味がない」「できないからやらない」という理由で参加されないことです。興味がある内容やできる内容ばかりやっているとどうなるかは、引用の通りなのですが、なかなかそれをわかってもらえません。何ごとも、本当の意味で楽しくやるためには、「できないことをやる」ことが大切なのですが。
筋ほぐしも同様で、やって欲しい人ほどやってくれません。とはいえ、人生は自己責任なので、口を出さないようにはしております。本音を言えば、みっちりやって欲しいのですが。
12月の安部塾ワークショップで、筋膜の解説をいたします。
☆下関ワークショップ
12月3日(日)→ 詳細
☆新宮校ワークショップ(休日)
12月4日(日) → 詳細
12月18日(日)
☆大手門ワークショップ
12月5日(月)→ 詳細
☆東京ワークショップ
12月9・10・11日(金・土・日・月)→ 詳細
☆新宮校ワークショップ(平日)
12月(調整中)日(月) → 詳細
☆大阪ワークショップ
12月22日(木)→ 詳細
☆名古屋ワークショップ
12月23日(金)→ 詳細
☆神戸ワークショップ
12月24日(土)→ 詳細
☆機能運動学大牟田サークル
1月8日(日) → 詳細