2026年4月11日土曜日

東洋医学(中医学)における「五音(ごおん)」について

 

東洋医学(中医学)における「五音(ごおん)」は、万物を5つの属性に分類する五行説(ごぎょうせつ)に基づいた音の分類です。

​ 特定の音が特定の臓器や感情と共鳴すると考えられており、古来より診断や治療(音楽療法的なアプローチ)に用いられてきました。

五音

読み

五行

対応する臓器(五臓)

特徴・性質

かく

肝(かん)

春、成長、のびやかな響き

ち(し)

心(しん)

夏、情熱、明るく跳ねる響き

きゅう

脾(ひ)

土用、安定、どっしりした基本の音

しょう

肺(はい)

秋、粛殺(引き締め)、澄んだ響き

腎(じん)

各音の詳細と心身への影響

​1. 角音(かくおん)

  • 性質: 木のエネルギー。春の芽吹きのように、エネルギーを外へ広げる力があります。
  • 影響: 肝の機能を整えます。怒りやストレスで「気」が滞っている時、この音を聴くと情緒が安定し、気の巡りが良くなるとされています。

​2. 徴音(ちおん)

  • 性質: 火のエネルギー。上昇し、燃え上がるような快活な力です。
  • 影響: 心(心臓や精神)に作用します。血行を促進し、沈んだ気持ちを前向きにしたり、やる気を引き出したりする効果が期待されます。

​3. 宮音(きゅうおん)

  • 性質: 土のエネルギー。五音の土台となる、穏やかで包容力のある音です。
  • 影響: 脾(消化器系)を健やかにします。考えすぎや不安で胃腸が弱っている時に、安心感を与えて消化吸収を助けるとされています。

​4. 商音(しょうおん)

  • 性質: 金のエネルギー。金属のように鋭く、凝縮し、不純物を削ぎ落とす力です。
  • 影響: 肺の機能を高めます。悲しみや憂鬱な気分を整理し、呼吸を深く整える働きがあるとされます。

​5. 羽音(うおん)

  • 性質: 水のエネルギー。水が低いところへ流れるような、静寂で透き通った力です。
  • 影響: 腎(生命エネルギーの貯蔵庫)を養います。過度な恐怖心を鎮め、リラックスさせて深い休息や睡眠へと導きます。

​A. 12律との関係

​ 古代中国には、1オクターブを12等分した「十二律(じゅうにりつ)」という概念があり、これは西洋の「12半音」と一致します。そのため、どの音を基準にするか(調性)によって実際の高さは変わりますが、音と音の間隔(インターバル)は固定されています。

​B. 周波数の違い

​ 現代の一般的な調律(平均律)では、ドとレの間隔などは均等に調整されていますが、東洋医学の文脈で語られる古い五音は、「三分損益法(さんぶんそんえきほう)」というピタゴラス音律に近い計算で算出されます。

 そのため、厳密には現代のピアノの音とはごくわずかに周波数が異なり、その「響きの揺らぎ」が内臓への共鳴を生むと考えられています。