単に元の状態に戻る「回復(レジリエンス)」とは異なり、以前の自分よりも人間として深みが増したり、新しい価値観を見出したりする「前進的な変化」を指します。
PTGにおける5つの主要な変化
研究(タデスキとカルフーンらによる)では、成長は主に以下の5つの領域で現れるとされています。
1.人生に対する感謝の念
・当たり前だと思っていた日常のありがたみに気づく。
・人生の優先順位が変わり、一日一日を大切にするようになる。
・他者との関係の変化
2.家族や友人との絆が深まる。
・他人の苦しみに対して共感的になり、慈悲の心が増す。
3.人間としての強さの自覚
・「あのような困難を乗り越えられたのだから、自分には力がある」という自信。
・自分の脆さを認めた上での、しなやかな強さの獲得。
4.新たな可能性の発見
・これまでの道とは違う、新しい人生の目的やキャリアに目を向ける。
・新しい趣味や活動に熱心に取り組む。
5.精神性的・哲学的な変容
・人生の意味について深く考えるようになる。
・宗教的な信仰が深まったり、実存的な理解が深まったりする。
成長が起こるメカニズム
PTGは、トラウマそのものが直接成長を生むわけではありません。
「地震」と「建物の再建」の比喩
トラウマは、それまでの人生の信念(家)を壊す地震のようなものです。成長とは、その瓦礫の中で「以前よりも耐震性の高い、より良い家を建て直すプロセス」において生じます。
・認知的再構成
「なぜこんなことが起きたのか」と苦悩し、葛藤しながらも、出来事を自分の人生の物語に組み込んでいく作業が不可欠です。
・レジリエンスとの違い
レジリエンスは「跳ね返る力(元に戻る)」ですが、PTGは「変容(より高次へ)」を意味します。
・注意点
苦しみや悲しみを否定するものではない
PTGについて理解する上で、非常に重要なポイントがあります。
・「苦しみが不可欠」という意味ではない
成長するためにトラウマが必要だということではありません。
・ポジティブの強要ではない
「辛い経験をしたのだから成長すべきだ」というプレッシャーを感じる必要はありません。
・苦痛との共存
成長を感じているからといって、悲しみやフラッシュバックが完全に消えるわけではありません。「深い悲しみ」と「人間的な成長」は同時に存在し得ます。