1. 「場所」を変えても「視点」は変わらない
セネカやホラティウスといった古代ローマの哲学者たちも、「空を変えても心までは変えられない」と説きました。
■環境の変化
転職や引越しは、一時的な刺激にはなります。
■本質の同伴
しかし、不安を感じやすい性格や、物事を否定的に捉える思考の癖(アルゴリズム)は、新しい場所にもそのまま持ち込まれます。
■結果
結局、新しい環境でも同じような悩みや人間関係のパターンを繰り返してしまうことが少なくありません。
2. 心理学的な「抑圧」の限界
嫌な感情や見たくない自分を無視しようとすることを、心理学では「抑圧」と呼びます。
■追いかけっこ
感情を押し殺しても、それは消滅するのではなく、無意識の中に蓄積されます。
■身体の反応
逃げようとすればするほど、ストレスとして体に現れたり、ふとした瞬間に強い不安として襲ってきたりします。
■影(シャドウ)
ユング心理学では、自分が認めたくない自分の一部を「影」と呼びますが、影は光(意識)がある限り、必ず背後に存在し続けます。
3. 「自分」こそが唯一の観測者
私たちは世界を、自分というフィルターを通してしか見ることができません。
■逃避行の矛盾
「逃げる自分」を観察しているのもまた「自分」です。
■鏡の論理
鏡に映った自分から逃げようとして鏡を割っても、破片の一つひとつにまた自分の姿が映るようなものです。
どう向き合えば楽になるのか?
「逃げられない」という事実は、一見絶望的に聞こえるかもしれませんが、実は「自分と仲直りするしかない」というポジティブな諦めへの入り口でもあります。
■「逃げたい自分」を認める
「今は現実が辛くて逃げたいんだな」と、その状態を客観的に実況中継するだけで、心に少しスペースが生まれます。
■対決ではなく並走
自分を変えようと戦うのではなく、「厄介な同居人」と一緒に歩くような感覚を持つことが大切です。
■内面の対話
外の世界を変えるエネルギーの一部を、自分の内面(なぜ逃げたいのか、何が怖いのか)を整理することに使ってみる。
どこへ行こうとも、そこには君がいる。
—— ジョン・カバット・ジン