12月13.14.15日(金・土・日)の東京ワークショップの補助資料の内容です。
呼吸筋
肺が納まっている胸郭の運動に関与する筋肉で、吸気や呼気を可能にする筋肉です。主な呼吸筋は横隔膜と肋間筋で、胸やおなか、背中などにも存在します。
呼吸筋は骨格筋で、運動神経の支配を受けているため、随意的に収縮させることができます。そのため、呼吸を一時的に止めたり、大きくしたりすることができます。
呼吸筋が弱まると、日常の動作でも息切れをおぼえ、呼吸も十分にできなくなります。
呼吸筋の働き
吸気
横隔膜が収縮すると胸郭が広がり、胸腔内圧が下がることで空気が肺の中に入ります。安静時の吸気の約70%は横隔膜の収縮によって起こり、これを腹式呼吸といいます。
呼気
呼吸筋が弛緩すると、肺は自然に収縮します。安静呼吸では内肋間筋が収縮せずに、外肋間筋や横隔膜が弛緩するだけで呼気が行えます。
安静時呼吸
日常座っているときなど、安静な状態で行われる呼吸です。横隔膜や外肋間筋などの傍胸骨肋間筋群、斜角筋群の周期的な収縮と弛緩を繰り返すことで、胸腔内圧を陰圧に保ちながら呼吸が行われます。
①横隔膜が収縮して肺が膨らみ、吸気が行われます。
②横隔膜が緩み、拡がった胸郭の弾性力で呼気が行われます。
安静時呼吸の量は、1分間に約16回程度で、大人の男性では6400~8000ml、小学生では3200~4800mlの空気を吸います。
努力呼吸
呼吸困難などの際に、安静時に使用されない呼吸補助筋を動員して行う呼吸です。激しい運動など負荷のかかる活動時に必要な酸素を取り込むために、横隔膜の活動だけでは足りず、首や肩、鎖骨周囲の筋肉や背筋なども使われます。胸鎖乳突筋、内肋間筋、腹筋などの補助呼吸筋を使用します。
胸腔内圧は、呼気時全体を通じ陽圧となります(安静時は呼気終末を除き陰圧)。
努力呼吸では、胸郭や肩が大きく動き、大量の酸素を取り入れるために効率の悪い呼吸を行います。長い期間行っていると筋肉が使い過ぎで疲労がたまり硬くなってしまうため、ストレッチングや腹式呼吸、口すぼめ呼吸などの呼吸法を習得して、楽な呼吸ができるように練習しましょう。
口すぼめ呼吸
鼻から息を吸い、口をすぼめてゆっくりと息を吐き出す呼吸法です。息を吐くときに口をすぼめることで、気道を広げ、肺の中の汚れた空気を出しやすくなる効果があります。
①リラックスして鼻から息を吸い込む
②口笛を吹くように口をすぼめる
③吸った時の2倍の時間をかけてゆっくりと息を吐き出す
口すぼめ呼吸は、息切れを緩和させる効果が期待でき、呼吸リハビリテーションの手技として用いられます。喘息発作や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの病態に有効で、運動後など少し息が切れているときに行うことで呼吸を楽にすることができます。
慢性疼痛との関連
ストレスによる交感神経機能が優位な環境に至り、交感神経活動異常による安静時筋緊張が亢進すると、呼吸は浅くかつ速くなり吸気が強調され換気効率が低下することがあります。
横隔膜が収縮すると、骨盤底筋の活動が調節されます。横隔膜の収縮不全が生じると腹腔内圧)が低下し、脊椎骨と骨盤の安定性が阻害され腰部疼痛や肩関節~上肢にまで悪影響を来たす原因となることがあります。
慢性腰痛を訴える人を観察してみると、特に腹斜筋群の過活動がみられます。腹斜筋群の過活動により、吸気における胸郭の挙上と胸腰椎の伸展の可動性に制限を来たし、さらには腹横筋のコントロールもできなくなっています。
腹斜筋群の活動を抑制する呼吸の練習をすることで、胸郭の可動性が確保され、腹横筋の収縮を促すようにすることが大切です。
胸郭の拘縮によって吸気ができない人
深く呼吸しようとして、背部周囲の筋緊張を助長してしまうことがあります。逆に、痛みを増強させてしまいがちです。健常者における安静時呼吸は通常横隔膜や外肋間筋などの呼吸筋の収縮と弛緩によってのみおこなわれ、胸腔内圧は呼気終末を除き陰圧に保たれています。それに対して努力呼吸では、吸気時には胸鎖乳突筋などの補助呼吸筋を用い、呼気時には内肋間筋や腹筋を活動させていて、呼気時全体を通じ胸腔内圧は陽圧となります。
安静時は、横隔膜や外肋間筋などの呼吸筋の収縮と弛緩によってのみ呼吸が行われるようにしましょう。
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