2024年12月31日火曜日

リブフレア(パッカーン肋骨)の改善。1月のワークショップの内容について

  2025年1月のワークショップの内容は、基本に立ち返って姿勢の改善をやろうと思います。現代においてよくみられる姿勢の崩れと、その改善方法について解説したいと思います。いわゆる「パッカーン肋骨(開いたろっ骨)≒リブフレア」の改善法などをテーマにしてまいります。

頭部前方位姿勢(FHP:Forward Head Posture)

頭部前方位姿勢

 頭が肩よりも前に出て下方に傾いている不良姿勢のことです。猫背とも呼ばれ、パソコンやスマートフォンなどの使用、長時間のデスクワークによって引き起こされることが多く、近年増加しています。

 頭部前方位姿勢では、次のような問題が発生する可能性があります。

・首や肩、背中に過度な負担がかかり、筋肉の緊張や痛みを引き起こす

・後頭部から上背部の筋を緊張させて緊張型頭痛の原因になる

・頸椎(頭を支え、脊髄を保護する脊椎の最上部)が圧迫される

・上位交差症候群という特徴的な筋肉のグループが形成される

 頭部前方位姿勢を長時間続けると、後頸部や背部の筋が疲労して筋痛が生じ、肩こりや緊張型頭痛、顎の痛みやだるさとして感じられます。

 頭部前方位姿勢を改善するには、前屈みの状態からゆっくり頭蓋を吊り上げる方法が効果的です。

上位交差症候群

上位交差症候群

 筋肉バランスの機能障害が起こる状態です。主に横から見た首と肩のアンバランスを指し、次のような症状を引き起こす可能性があります。頭痛、肩こり、肩関節の可動制限、 腰痛。

 上位交差症候群は、座り姿勢などの不適切な姿勢によって、緊張して短縮しやすい筋肉グループと、伸ばされて筋力低下しやすい筋肉グループがX字にクロスした状態になることで起こります。俗に言う「猫背」のような姿勢で、胸部の筋肉が収縮してリンパや血流の流れに影響したり、後頭下筋肉がガチガチになったりすることで肩こりに大きな影響を与えます。

下位交差症候群

下位交差症候群

 骨盤が前傾して腰が反る反り腰姿勢によって、筋肉バランスが崩れて起こる症状です。

 下位交差症候群の特徴は次のとおりです。

・脊柱起立筋や腸腰筋が硬くなる

・腹筋群や大殿筋の筋力が低下する

・骨盤が前傾し、腰椎が反る

・背中が丸くなる

・頭が前に突き出る

 下位交差症候群は、主にデスクワークや学生、産前産後の女性に多く見られます。

反張膝(はんちょうしつ)

反張膝

 立ったときや歩いているときに膝が正常な可動域を超えて後ろ側に反るように曲がった状態です。膝が正常よりも伸びすぎてしまう状態を指し、立位や歩行時に膝が0°以上に伸びてしまう状態を指します。膝関節がロックしてスムーズな曲げ伸ばしが困難になるため、スポーツや日常生活に影響を与えることがあります。

 反張膝の原因としては、靭帯の柔軟性や緩さが挙げられます。関節の柔軟性を高めるため、膝を伸ばすストレッチを頻繁に行う人は注意が必要です。また、遺伝的な要因や外傷、脳卒中後の麻痺などが考えられます。また、下腿三頭筋の筋出力低下や過剰な底屈活動、体幹前後面筋の動的なコントロール低下なども原因となります。

 反張膝の症状には、次のようなものがあります。

・膝関節が不安定になる

・膝がガクガクする

・歩行時の痛み

・前ももやふくらはぎがパンパンに張る

・身体のバランスをとるために反り腰になる

 反張膝が長期間続くと、膝関節や周囲の筋肉に負担がかかり、痛みや歩行困難、姿勢不良などの問題を引き起こす可能性があります。

リブフレア(パッカーン肋骨)

リブフレアテスト

 胸郭の下部にある肋骨が外側に突き出ている状態を指します。肋骨の下角が90度以上開いている状態を指し、肋骨が開いている状態とも呼ばれます。肋骨が浮き上がった状態を指し、左右どちらか、または両方の肋骨が浮き上がることがあり、胸が「膨らんだ」ように見えるのが特徴です。腹筋が弱って肋骨が前に突き出ることがあります。

 リブフレアには、次のような特徴があります。

・下背が過剰に反っている

・上背がまっすぐすぎるか、反対方向に反っている

・肩甲骨が過剰に引っ張られている

・立ったときに、肋骨や胴体が骨盤よりも前に位置している

・膝を過剰に伸ばしている(膝を後ろに押しすぎてまっすぐになっている)

 リブフレアは、特に左側の肋骨に目立つ傾向があります。これは、内臓が左側に位置しているためです。また、腕を頭上に上げると症状が悪化することがあります。

 リブフレアになると、次のような問題が発生する可能性があります。

・横隔膜の機能低下

・呼吸が浅くなる

・腹圧が低下する

・姿勢の乱れ

・お腹やお尻が上手く動かせない

・ボディラインの崩れ

・肩こり

・腰痛

・ぽっこりお腹

・くびれができない

 リブフレアの原因としては、次のようなことが考えられます。体幹の弱さ、猫背、骨盤の歪み、 ストレス過多。

 リブフレアを改善するには、次のような方法が考えられます。姿勢の改善、コアと背中の筋肉の強化、柔軟性の向上、 呼吸法の改善。


☆新宮校新春ワークショップ

1月4日(土) → 詳細

 

 機能運動学大牟田サークル 

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飯塚ヨガワークショップ 

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☆下関ワークショップ 

1月11日(土)→ 詳細

  

新宮校ワークショップ(休日)

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2024年12月27日金曜日

批判ばかりしている人の生涯は、寂しくて悲しいものになります。心が満たされている幸せな人は、不要な批判をしません。

 この2年を振り返ってみて、「他者の批判ばかりしている人は、本人が気がつかないうちに孤独になっていく」ということを実感しています。

 自分が正義の味方になったような錯覚を起こし、「自分だけが正しい」という立場で批判ばかりするため、単純に嫌われるからです。問題点の指摘や改善へのアドバイスなどは、根拠を挙げて理性的に誤りを指摘することなのですが、嫌われる人は「自分が気に食わない」という理由で感情的に誹謗します。自分の常識を押しつけているだけに過ぎないのです。

 批判ばかりする人がどうなっていくかというと、

①孤立感の増大

②信頼の喪失

③精神的健康の悪化

④学習と成長の機会の喪失

⑤良好な人間関係の損失

と、いう感じで、批判を聞いてくれる人が少しずつ減っていき、家族くらいしか話す相手がいなくなります。気がつけば、周りにいるのは自分とよく似た「批判ばかりする人」だけに。

 批判ばかりする心理には、次のようなものがあると考えられてます。

①劣等感があり、無意識に批判をする

②自尊感情が低く、心が疲れてそのことに気づくことができない

③恐怖心から逃れたいが故に、誰かを批判して安心したい

④自分の心が不安で退行している

 他人を批判すると、一瞬だけ優越感を感じることができます。そのまま他人を批判し続けているとどうなるかというと、他者からの批判を恐れて大胆な挑戦ができなくなります。他人を批判することで、他人から批判されることに怖れ続ける人生を送ることになるのです。批判ばかりしている人は、不幸や不運ばかりを引きつけ、死ぬまで批判し続けるという哀しい人生になります。批判されないように、威圧的な態度をとり続け、他者から愛されない寂しい日々を送ることになります。

 心が満たされている幸せな人は、不要な批判をしません。


精神科医が「批判はすべて受け流していい」と言い切る納得の理由 より引用します。

 批判や悪口は、心理学でいう「投影」であるだけです。何かが起こったときに人のせいにしているだけなのです。投影は未熟な防衛機制の1つです。

 他人の弱点や欠点を見つけて批判ばかりするのは、実は自分の心が不安で退行していることを意味します。他人の批判をしても何の得にもなりませんが、自尊感情が低すぎるあまり、心が疲れてそのことに気づくこともできません。

 誰かに攻撃された場合、相手がこちらに自分の嫌な部分を“投影”しているという事実を忘れないようにしましょう。相手が未熟な防衛機制を使った理由は、本人が自らに不快な感情を抱いているからです。

引用ここまで

 「相手が未熟な防衛機制を使った理由は、本人が自らに不快な感情を抱いているからです」ということがわかっていると、責められたときに心理的中間位を保つことができます。

脳科学的には、つい悪口を言ってしまう原因はドーパミンが放出されて快楽を感じるからです。また、脳は悪口が誰に向けて言われているものか理解できないため、悪口を言っている自分自身や、悪口を聞かされる相手の脳にストレスを与えてダメージを蓄積させます。


 批判ばかりする人の2年間を観察してみて、姿勢や動き、そして表情の歪みが加速度的に進行することに驚いています。呼吸と動きと姿勢を改善する第一歩は、「自分は正しい」という自身の思い込みに目を向け、自分の心が不安で退行しているのではないかと疑い、自分の嫌な部分を相手に投影していないか精査することだと思います。

2024年12月16日月曜日

先入観や仮説を肯定するため、自分にとって都合のよい情報ばかりを集め、思い込みや願望を強化していると詰みます。

 問い合わせがあったので、記事にします。

確証バイアスとは

 自分の思い込みや願望を強化する情報に注目し、そうではない情報は軽視してしまう傾向です。認知心理学や社会心理学で取り上げられるバイアスのひとつで、政治や経済、ビジネス、SNS、日々の実生活など、さまざまな場面で起こります。自分がすでに持っている先入観や仮説を肯定するため、自分にとって都合のよい情報ばかりを集める傾向のことです。

確証バイアスの例

 相手の性格について「社交的な人」といった事前情報を得ていると、社交的という自分の予想と一致する相手の言動により着目しやすくなる。

 血液型と性格の関係について、相手の血液型がAB型だとわかると、一般的によく言われる特徴である「AB型は自由奔放、二面性」という情報にばかり目がいき、他の情報が見えなくなってしまう。

 問題のある恋人と別れられない場合、「悪い点を見ようとせず、よい点ばかりにこだわって交際を続けてしまう」といった確証バイアスが働いている可能性がある。

確証バイアスに陥らないために

・情報の出所が偏っていないか、視点や視野が限定されていないかを確認する。

・客観的で冷静に情報を精査する。

・自分の主張を否定する情報や証拠がないかを調べる。

・多様な人と意見交換する。


非合理的な信念とは

 臨床心理学者のアルバート・エリスが提唱した「論理療法」における中心概念のひとつで、「イラショナル・ビリーフ(Irrational belief)」とも呼ばれます。

「○○すべきである、○○でなければならない」といった教条主義的・絶対論的な信念を指し、次のような特徴があります。

・根拠がないのに真実だと決めつける(レッテル貼り)

・物事を0か100か、白か黒かでしか判断しない(白黒思考、all or nothing)

 非合理的な信念は、情緒不安定や無気力、うつや病気などを引き起こす原因にもなります。たとえば、「全員と仲良くしなければいけない」という信念を持つと、相性が悪い人とも無理して話を合わせたり、気が乗らない誘いも断れなかったりして、精神的にも肉体的にも疲れてしまいます。


メタ認知(Metacognition)とは

 自分の思考や感情、知覚などの認知活動を、客観的な視点から捉え、冷静に判断する能力です。

「メタ」は「高次の」「より上位の」という意味の接頭語で、「認知(cognition)」は推理や思考に基づいて物事を理解したり、判断したり、解釈したりするプロセスを意味します。

メタ認知能力を高めるメリット

・自己改善や学習効率の向上

・人間関係の悩み事の改善

・前向きに行動しやすくなる

・仕事の効率や生産性の向上

・コミュニケーション能力の向上

メタ認知能力を高める方法

・自分自身の価値観を深掘りし、客観視するための「意見、経験、感情、価値観」の4つの視点から自分自身を探求する

・日々の日記や日報を書くことで、自分の思考や振る舞いを客観的に見つめる

2024年12月12日木曜日

腹圧とは? 体幹の安定性、脊椎の安定性とサポート、臓器の保護など、さまざまな身体機能に不可欠です。

 12月13.14.15日(金・土・日)の東京ワークショップの補助資料の内容です。

腹圧(ふくあつ)

 腹腔内にかかる圧力のことで、腹筋や横隔膜などの筋肉が収縮することで高まります。腹圧は、姿勢や体の動き、生命活動に大きく関わっています。腹腔内圧(IAP)とは、腹腔内の圧力のことです。腹壁や、筋肉、筋膜、結合組織などのそれらを囲む構造に対して、腹部臓器が及ぼす圧力です。


腹腔内圧の生成と調節

腹筋

 腹直筋、腹横筋、腹斜筋、骨盤底筋などの腹筋の収縮は、腹腔内圧の生成と調節に寄与します。

横隔膜

 胸部と腹部を隔てるドーム状の筋肉である横隔膜も重要な役割を果たします。呼吸中、横隔膜は収縮して下方に移動し、腹腔内の容積を増加させ、その結果、腹腔内圧に影響を与えます。

内臓内容物

 胃、腸、肝臓などの腹腔内の臓器も圧力に影響します。これらの臓器の容積や位置の変化は IAP に影響を及ぼす可能性があります。


腹圧の役割

・排尿や排便、分娩を助ける

・姿勢を改善する

・体幹を安定させる

・手足の動きを可能にする

・ケガの予防につながる

 腹腔内圧の調節は、体幹の安定性、脊椎のサポート、臓器の保護など、さまざまな身体機能に不可欠です。特に、持ち上げる、押す、引っ張るなどの動作や、脊椎の安定性とサポートを必要とする動作を行う際には重要です。

腹圧を高めるには?

 腹横筋、横隔膜、骨盤底筋群、多裂筋などのインナーマッスルをバランスよく強化することが大切です。腹圧を高めると、胸を張った良い姿勢になり、上半身がお腹に乗って安定した状態になります。

腹圧

 キャニスター ポジションでは、腹腔内圧が適切に維持されるため、脊椎は完全な位置合わせを維持します。横隔膜は角度が水平のままで、骨盤は中立で、脊椎自体は直立して積み重ねられています。シザー ポジションでは、脊椎は腰部で伸展し、骨盤は傾斜して角度が付き、横隔膜は斜めになっており、これらすべてが腰椎とその関連する解剖学的構造への過剰な圧縮に寄与しています。

 腹圧が高まると、体の中のものを押し出す力が働き、便を出したり息を吐いたりすることができます。また、ゴルフのスイングにおいては、腹圧を高めてコア(腰骨や骨盤のあたり)を安定させることで、安定したスイングをすることができます。

 一方、腹筋や腹壁の靱帯が弱い場合は、腹圧が高くなった際にヘルニア(臓器が本来の位置から飛び出る病気)になることがあります。


腹腔内圧を最適化する

呼吸法

 横隔膜呼吸を練習します。深く息を吸い込み、横隔膜を下げて腹部を膨らませます。この方法は横隔膜を働かせ、腹腔内圧をより適切に制御するのに役立ちます。

体幹の強化

 横腹筋、腹斜筋、骨盤底筋などの体幹の筋肉を強化します。プランク、バードドッグ、デッドバグ、ブリッジなどのエクササイズは、これらの筋肉を活性化し、強化するのに役立ちます。

ブレース テクニック

 体幹を効果的にブレースする方法を学びます。リフティングの前や安定性を必要とする活動中は、通常の呼吸を維持しながら、パンチを受ける準備をするかのように腹筋を収縮させます。これにより、腹腔内圧が増加し、脊椎が安定します。

漸進的負荷

 ウェイトを持ち上げるときは、軽い負荷から始めて、徐々に重量を増やします。正しいフォームを維持し、体幹を動かし、動作全体を通して呼吸をコントロールして、IAP を最適化することに重点を置いてください。

マインドフルな動き

 日常の活動中に姿勢と体の動きに注意を払います。座ったり、立ったり、物を持ち上げるなどの作業を行うときは、体幹の筋肉を動かして背骨を支えます。

息止めを避ける

 激しい運動や重いものを持ち上げる際は、長時間息止めを避けてください。その代わりに、腹腔内圧をコントロールするために体幹の筋肉を動かしながら、一定の呼吸パターンを維持してください。

姿勢矯正

 腹腔内圧に影響を与える可能性のある姿勢の問題に対処します。背中と体幹の筋肉への不要な負担を軽減するために、正しい姿勢で座ったり、立ったり、動いたりするようにしてください。


☆東京ワークショップ

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慢性的な痛みと呼吸。腹斜筋群の過活動がみられる努力呼吸の人に慢性腰痛や肩関節~上肢の痛みがみられる。

 12月13.14.15日(金・土・日)の東京ワークショップの補助資料の内容です。

 呼吸筋

 肺が納まっている胸郭の運動に関与する筋肉で、吸気や呼気を可能にする筋肉です。主な呼吸筋は横隔膜と肋間筋で、胸やおなか、背中などにも存在します。

 呼吸筋は骨格筋で、運動神経の支配を受けているため、随意的に収縮させることができます。そのため、呼吸を一時的に止めたり、大きくしたりすることができます。

 呼吸筋が弱まると、日常の動作でも息切れをおぼえ、呼吸も十分にできなくなります。


呼吸筋の働き

吸気

 横隔膜が収縮すると胸郭が広がり、胸腔内圧が下がることで空気が肺の中に入ります。安静時の吸気の約70%は横隔膜の収縮によって起こり、これを腹式呼吸といいます。

呼気

 呼吸筋が弛緩すると、肺は自然に収縮します。安静呼吸では内肋間筋が収縮せずに、外肋間筋や横隔膜が弛緩するだけで呼気が行えます。


安静時呼吸

 日常座っているときなど、安静な状態で行われる呼吸です。横隔膜や外肋間筋などの傍胸骨肋間筋群、斜角筋群の周期的な収縮と弛緩を繰り返すことで、胸腔内圧を陰圧に保ちながら呼吸が行われます。

①横隔膜が収縮して肺が膨らみ、吸気が行われます。

②横隔膜が緩み、拡がった胸郭の弾性力で呼気が行われます。

 安静時呼吸の量は、1分間に約16回程度で、大人の男性では6400~8000ml、小学生では3200~4800mlの空気を吸います。

 

努力呼吸

 呼吸困難などの際に、安静時に使用されない呼吸補助筋を動員して行う呼吸です。激しい運動など負荷のかかる活動時に必要な酸素を取り込むために、横隔膜の活動だけでは足りず、首や肩、鎖骨周囲の筋肉や背筋なども使われます。胸鎖乳突筋、内肋間筋、腹筋などの補助呼吸筋を使用します。

 胸腔内圧は、呼気時全体を通じ陽圧となります(安静時は呼気終末を除き陰圧)。

 努力呼吸では、胸郭や肩が大きく動き、大量の酸素を取り入れるために効率の悪い呼吸を行います。長い期間行っていると筋肉が使い過ぎで疲労がたまり硬くなってしまうため、ストレッチングや腹式呼吸、口すぼめ呼吸などの呼吸法を習得して、楽な呼吸ができるように練習しましょう。


口すぼめ呼吸

 鼻から息を吸い、口をすぼめてゆっくりと息を吐き出す呼吸法です。息を吐くときに口をすぼめることで、気道を広げ、肺の中の汚れた空気を出しやすくなる効果があります。

①リラックスして鼻から息を吸い込む

②口笛を吹くように口をすぼめる

③吸った時の2倍の時間をかけてゆっくりと息を吐き出す

 口すぼめ呼吸は、息切れを緩和させる効果が期待でき、呼吸リハビリテーションの手技として用いられます。喘息発作や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの病態に有効で、運動後など少し息が切れているときに行うことで呼吸を楽にすることができます。


慢性疼痛との関連

 ストレスによる交感神経機能が優位な環境に至り、交感神経活動異常による安静時筋緊張が亢進すると、呼吸は浅くかつ速くなり吸気が強調され換気効率が低下することがあります。

 横隔膜が収縮すると、骨盤底筋の活動が調節されます。横隔膜の収縮不全が生じると腹腔内圧)が低下し、脊椎骨と骨盤の安定性が阻害され腰部疼痛や肩関節~上肢にまで悪影響を来たす原因となることがあります。

 慢性腰痛を訴える人を観察してみると、特に腹斜筋群の過活動がみられます。腹斜筋群の過活動により、吸気における胸郭の挙上と胸腰椎の伸展の可動性に制限を来たし、さらには腹横筋のコントロールもできなくなっています。

 腹斜筋群の活動を抑制する呼吸の練習をすることで、胸郭の可動性が確保され、腹横筋の収縮を促すようにすることが大切です。


胸郭の拘縮によって吸気ができない人

 深く呼吸しようとして、背部周囲の筋緊張を助長してしまうことがあります。逆に、痛みを増強させてしまいがちです。健常者における安静時呼吸は通常横隔膜や外肋間筋などの呼吸筋の収縮と弛緩によってのみおこなわれ、胸腔内圧は呼気終末を除き陰圧に保たれています。それに対して努力呼吸では、吸気時には胸鎖乳突筋などの補助呼吸筋を用い、呼気時には内肋間筋や腹筋を活動させていて、呼気時全体を通じ胸腔内圧は陽圧となります。

 安静時は、横隔膜や外肋間筋などの呼吸筋の収縮と弛緩によってのみ呼吸が行われるようにしましょう。


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