一般的なトリガーポイント |
「手技療法とオステオパシーにおけるトリガーポイントと筋肉連鎖(GAIABOOKS)32~33Pより
バイオケミカル的、バイオメカニクス的、心的な障害で筋筋膜構造がストレスを受ける状態に陥りかねない。
レオン・チャイト―は、変化が次のように進展すると見ている。
①生体内に機能障害が起こると局所的にマッスルトーンが亢進することになる。
②このマッスルトーンの亢進により除去される老廃物が減少して、局所的に酸素の供給不足が起こり、虚血につながる(これは筋肉がどれだけ働かないかによる)。
③トーンの亢進により局所的な浮腫ができることがある。
④これらの要素(老廃物、虚血、膨隆)が緊張と痛みの原因となる。
⑤痛みと緊張は筋緊張亢進の原因となるか、それをさらに進行させる。
⑥その結果、炎症か少なくとも慢性的な興奮状態が生じる。
⑦脊髄領域で分節が促通される。
⑧マクロファージと繊維芽細胞が活性化する。
⑨いわゆる「リンク」が発生して結合組織の産生が高まり、硬化や短縮につながる。
⑩筋膜は連続しているので生体の別の部位にも緊張が広がり、リンパ液や血液の循環に影響を与える。
⑪筋肉組織は血管の障害のために線維化する。
⑫連鎖反応で姿勢筋が短縮し、相対筋が弱化する。
⑬筋肉が短縮すると骨膜の痛みを伴いながら腱が緊張する。
⑭筋肉のバランスが崩れた結果、協調運動障害が起こる。
⑮このため関節に機能障害が出て、筋膜の変化がさらに進む。
⑯脊髄領域で徐々に分節の促通が進行し、筋肉内にトリガーポイントが発生する。
⑰筋肉の拘縮でエネルギーが失われる。
⑱呼吸機能や消化といった他の身体系統に筋緊張亢進による負荷がかかる。
⑲そのうち筋緊張亢進、筋短縮、神経の促通によって交感神経活動が亢進して、中枢神経系にマイナスのフィードバックを行う。その結果体内の状態が不安定で過敏になり、緊張がさらに高まる。
⑳この段階で他の機能障害も出てくる可能性がある。
㉑いまや急性の病変への扉が開け放たれている。もはや自分の力ではこの不幸な状態からは逃れることはできない。
このプロセスで痛みが起こるのは組織ホルモンの放出が原因である。ブラジキニン、ヒスタミン、セロトニン、プロスタグランジンがアルファ繊維、デルタ繊維、C繊維を刺激する。また大脳辺縁系と大脳の前頭葉もこれにかかわる。
痛覚は人によって異なり、状況次第でさまざまに変化する。感染と同様に、感情的なストレスの状況も痛みの閾値を低下させることが研究によってわかった。
微細外傷のような刺激が生体に徐々に与えられたなら、痛みの閾値はどちらかというと上昇する。それとは反対に急性の外傷では閾値は低下する。侵害受容性の刺激は悪影響を与えるため、身体はできる限りその効率が上がらないようにしようとするからである(組織ホルモンの放出、繊維化など)。これと関連して、痛みは早く伝わるが、関節からのインパルスはゆっくりと伝わることを述べておく。
引用ここまで。
感情的な要素がトリガーポイントの発生と活性化にいちばん強い影響を与えます。感情が反映しやすい僧帽筋、胸筋、梨状筋にはトリガーポイントができやすいのです。
「もはや自分の力ではこの不幸な状態からは逃れることはできない。」のはその通りで、自分がやってきたことが狂っていたから不幸な状態に陥っているわけで、何の修正もせずにこれまで通りの対処をしたら、悪化の一途を辿るのは明白です。正しい対処を学ぶことが大切だと存じます。
有名どころでは、筋筋膜リリース、マッスルエナジーテクニック、ストレイン・カウンター・ストレインテクニック、ポジショナル・リリース・テクニックなどがあります。私は、虚血圧迫法を用いております。