2018年7月18日水曜日

腰の痛みも、首の痛みも、肩の痛みも、ストレス反応ですよ。

ネズミを紐で縛って吊り下げ、氷水を入れたバケツに漬ける。これを二、三回繰り返す。それからネズミの胃を開いて観察すると、複数の出血巣が認められる。胃潰瘍のはじまりみたいなものである。養老孟司

筋肉や関節の痛みを訴える人に、「その痛みは物理的原因によるものではありませんよ。ストレス反応ですよ」と解説すると、キレられることがあります。

キレやすい時点でストレスMAXなわけなのですが、当の本人はそれが理解できません。

正常な思考ができないレベルまで、脳が壊れているのです。

なので、周りの人たちからは、「頭が悪い人」だと思われます。

客観的には、頭が悪いように見えるのです。

その後どうなるかというと、ストレス反応が進んで脳がさらに壊れ、痛みが悪化していきます。

痛みが悪化することで、脳がさらに萎縮してしまい、まともに思考することが困難になります。

記憶力も低下し、妄想力が湧いてきます。

奈落です。

脳と痛みの関係を理解して欲しいと思います。

2018年7月13日金曜日

眼球一頭部協調運動(衝動性眼球運動と頭部の動きが協調)

日田の女王から質問があったので予備知識的な解説を。


■前庭動眼反射

頭が動くときに視点に固定するために頭と反対方向に眼球が動く反射。

目標物を固視する際に機能する。

例)頭を右に回旋したとき、視線を正面に保つには左右の眼球は左に向く

■視運動性反応

眼球がある方向へ動くときに頭が眼球と同側方向に動く反応。

目標物を追視する際に機能する。

例)眼球を右方向に向けたとき、頭もその動きに合わせて右回旋する


こちらを読んでみてください → .小脳による運動学習・運動制御機構


衝動性眼球運動と頭部の動きが協調することが、機能的な動きの基本です。

固視と追視の大切さが、最近の視知覚(ヴィジョン)ブームのおかげで周知されつつあります。


身体操作に問題を抱えている人・姿勢が崩壊している人には、ある共通点があります。

「原始反射が消失していない」のです。

発達の教科書には、「生後出現した原始反射は乳児期に消失する」とあります。

原始反射が消失していないと、感覚過敏となります。

視知覚と前庭感覚、協調運動の問題を生じます。

身体機能がまともに発達しません。

学習面でも問題を生じます。


左右両眼が円滑に動きません。

輻輳眼球運動(両目が同時に内側を向く動き)ができません。

乗り物に酔います。

球技が苦手です。

不必要な情報を無視できません。

表面的なことに意識を奪われてしまい、本質的なことに集中できません。

聴覚過敏であり、雑音が気になり注意集中ができません。


よく知られているように、視知覚の機能の発達は「寝返り運動」で促されます。

2000年以降、寝返り系エクササイズが一気に一般化した理由です。

寝返りによる移動が、前庭動眼反射を強化してくれるのです。

身体操作に問題を抱えている人たちは総じて、寝返りができません。


寝返りができないということは、感覚が統合できていないということです。

舌の動きも悪いし、足の機能はガタガタです。


固視=対象をじっと見つめること=注意してみている状態。

正確無比な固視ができることが、精密な身体操作の基本です。


斜視では、両眼固視ができません。

単眼固視・偏心固視」という状態になったりします。

弱視や眼球振盪があれば固視が不正確になります。

身体操作に問題を抱えている人たちは固視が苦手で、すぐに視線を外してしまいます。


網膜に映る外界の像のブレを防ぐ前庭動眼反射。

眼・脳・体の相互関係の確立は生後1年間が大切です。

頭を回転させたときに前庭動眼反射によって眼球が反対方向に回転することで固視を維持します。

片方しか向けない状態が続くと、前庭動眼反射が現れにくくなります。

結果、固視できなくなるのです。


ある1点を見ようとすること。

まわりの人たちとアイコンタクト(視線を交わす)すること。

そして、追視(追従性眼球運動)できるということ。

対象が動いているとき、眼球がその動きを追従してゆっくり動き、注視し続ける機能。

滑動性眼球運動(ゆっくり動くものを追視する)ができないと、頭が動いてしまう。

頭が動けば、球技はできない。

眼で球を追うことができないだけではない。


衝動性眼球運動は、中心窩固視を得るために行われるすばやい共同性眼球運動。

衝動性眼球運動が不正確だと正確に視線を飛ばすことができない。

本を読むときに、同じところを2回読んだり、行を飛ばしたりしてしまう。

つまり、本が読めない。

その他、いろいろなことができない。

正確な衝動性眼球運動をするにに頭の動きは不必要。

衝動性眼球運動ができないのを、頭の動きで補おうとすると負のループに陥る。


固視→衝動性眼球運動→固視→…という流れが、本を読むコツ。

「まとまり」単位で文章を固視し、次のまとまりを衝動性眼球運動により眼を動かして固視、そしてまた衝動性眼球運動により次のまとまりへ……

瞬間視ができなければ、本は速く読めない。


とまあ、ここまで書いてみて思いました。

そもそも、視知覚に問題があると、この記事自体が読めないということに(笑)。

私はブログを書くとき、身体操作に問題を抱えている人が読みやすいように「まとまり」で書きます。

3行以上になると読むのが困難になると予想されるので。


で、解決策は、素直にヴィジョントレーニングを学ぶことです。

アイックスのヴィジョントレーナー小松佳弘先生がおすすめです。

関東の方は、視機能訓練士宮田ちひろ先生(元小松)がおすすめ。

素人が自己流でどうにかできるほど、視知覚の世界は甘くはありません。

時間とお金をかけるなら、まずは視機能改善からです。


安部塾でも、極々初歩的な眼筋と後頭下筋群の使い方を教えています。

正確な身体操作に、正確な固視・追視は不可欠ですから。

7月16日(月・振替休日)の薬院校集中講座は、眼筋と後頭下筋群からポーズを決めていきます。

お楽しみに。

2018年7月11日水曜日

7月の大阪・神戸・薬院・東京の集中講座の御案内~眼筋群→後頭下筋群→刺筋→脊柱起立筋→お腹→全身の流れを意識した内容

7月の大阪・神戸・薬院・東京の集中講座の御案内です。

先月より、体幹の筋力トレーニングとヨガを中心とした内容となっています。

7月の大阪・神戸・東京集中講座

7月12日(木)安部塾大阪集中講座 → 詳細

7月14日(土)安部塾神戸集中講座 → 詳細

7月16日(月・振替休日)安部塾薬院校集中講座 → 詳細

7月20日(金)安部塾東京集中講座 → 詳細


すべてのコマにおいて、眼筋群→後頭下筋群→棘筋→脊柱起立筋→お腹→全身の流れを意識した内容となります。

膝から下からの上行性のつながりは、昨年の冬から今年の春にかけて意識してきました。

なので、眼筋群からの下行性を意識します。

「視えてなければ始まらない」「視なければ動かない」を学んでもらいます。


「視る」と「動く」がつながると、動きが見惚れるほどに美しくなります。

体幹のトレーニングは、「視る」ことなしには成立しません。


大阪では、「体幹と眼」のつながりを解説します。

神戸では、「足と眼」の双方向から解説します。

御参加、お待ちしております。

2018年7月10日火曜日

安部塾新宮校再開&ゲストハウス化に向け準備中

諸事情で、新宮町で活動を再開することになりました。

宿泊研修ができるよう、4名分の宿泊スペースを用意しました。

安部塾薬院校ゲスト宿泊スペース
解説スペースは最小限です。

安部塾新宮校解説スペース

薬院校を開校してからは、新宮での活動が、ほぼ停止していました。

一番の問題は駐車場が確保できないことで、これはまだ解決していません。

とりあえず、関西以北からの薬院校集中講座参加者の宿泊場所の確保をすることにしました。

私自身が遠方に赴いているので、宿泊場所の確保の問題を実感しているからです。

簡易宿泊所レベルですが、居心地だけはいい状態になりつつあります。


明日は、エアコンを交換します。

稼働するのが楽しみです。


宿泊スペースの向かいの部屋は、事務&会議スペースとして準備中です。

写真をアップできる状態ではないレベルでデカダンスなため、整ったらアップしたいと思います。

2018年7月7日土曜日

脊柱起立筋は、後頭下筋群の言うことを聴く~「よく視る」ことで、動きがよくなる~恐怖反応(不安や恐れ)が動きを壊す~かわいそうだから助けてあげたいというは愛ではなく、ただの劣等感

昨日の塾生講座で、後頭下筋群(大後頭直筋、小後頭直筋、上頭斜筋、下頭斜筋)の言うことを脊柱起立筋が聴くという解説をしました。

頭の位置を決めているのは後頭下筋群のGPS機能的な(笑)。


後頭下筋群は筋紡錘密度が高い筋肉です。
視覚や前庭覚と統合する固有受容器です。
中枢神経系との感覚運動制御に関与します。

後頭下筋群と脊柱起立筋

下頭斜筋の筋紡錘の数は、手の虫様筋にある筋紡錘の数を一桁多く凌駕しています。

繊細な動きに対しての感受性が高く、眼球運動・頭部位置調整に反射的に関与します。

詳細は、アナトミートレインの「3*スーパーフィシャル・バック・ライン(SBL)」の章に書いてあります。


私たちの身体は、「よく視る」ことで動きます。

視ない人・視えていない人の動きは壊れています。

恐怖反応(不安や恐れ)で頸(くび)を固めている人の動きは壊れているのです。

壊れた動きは感じ方・考え方を壊し、さらなる恐怖反応へという円環の理にはまっていきます。


膝から上は、眼筋と後頭下筋群。

膝から下は、足底。

安部塾では、そういう視点で姿勢と動きの改善の解説をしています。

聡明な人は、膝関節が例外的な関節であることを瞬時に理解します。


塾生のメガネ着用率(アイックス)・矯正靴使用率(シューズクラトミ)が高いのは当然です。

眼筋と後頭下筋群と足底が機能して、ようやくスターライン手前です。

問題は、そこで「何を見るか」「どこを見るか」ということです。

よくなった視機能と足底機能でおかしな方向を向けば、崩壊が加速してしまいます。


昨夜、某塾生2名と深夜までそんな話をしました。

身体機能だけ向上させるのは、むしろ有害な場合も多いのです。

自身の恐怖反応を自覚し、まともな方向を向かないと、崖下に向かってフルブーストです。

劣等感やナルシシズムの問題を抱えている場合は、事態が深刻化しがちです。


他人を助けたいとか応援したいとかいうのが、いちばんまずいです。

「困っている人を助けたい」というのは、優越することで安心を得ようとしているだけです。

かわいそうだから助けてあげたいというは愛ではなく、ただの劣等感なのです。

依存心が強い人ほど他人を助けたがり、応援したがるのです。


詳細は、加藤諦三先生の本を熟読してください。


他人を助けたい・応援したいというのは、実は恐怖反応そのものです。

この理由で、他人を助けたい・応援したい人たちの姿勢や動きは良くなりづらいのです。

自分の問題に向き合わないために他人の問題に首を突っ込んでいるのです。

本来は、自分の姿勢と動きの制御に使うリソースを浪費しているということです。


劣等感が強烈な状態で加藤先生の本を読むのはいろいろ大変です。

が、可及的速やかに熟読する方がいいと思います。


というような話も、明日の薬院校ミニ講座でします。

2018年7月6日金曜日

頭の動きに、身体全体の動きがついていく~人は見た方に進む

7月8日(日)の薬院校ミニ講座で、動きについての大切な話をします。

→ 詳細


F.M.アレクサンダー先生の、

「頭と首が動いて、身体全体の動きががついていく」

という考え方について、私なりの解説をします。


後頭下筋群という原初的姿勢制御筋(動作制御筋)があります。

頭と首をつないでいます。

後頭下筋群 プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系より


姿勢の傾きや身体バランスについての情報を後頭下筋群が感知して脳に送ります。

脳から姿勢制御・動作制御の調整のための情報が全身に送られます。

この機能のお陰で、私たちは姿勢と動きを制御することができます。

頭と首の動きに身体全体の動きがついていく機能は、脊椎動物に備わる基本的機能です。


頭と首が固まっている人は、この機能がうまく発揮できません。

頭と首が固まった状態では、後頭下筋群の感知機能が崩壊するからです。

精密な制御の微調整ができないため、姿勢制御・動作制御が阻害されるのです。

頭と首が自由自在で繊細な状態にあれば、楽に姿勢をつくり、楽に動けます。


そして、後頭下筋群は「視る」「聴く」「嗅ぐ」という感覚にも反応します。

「視えない」「聴けない」「嗅げない」ときの姿勢や動作は制御が難しくなります。

ヴィジョントレーニングで姿勢と動きが改善するのは、当然のことなのです。

「人は、見た方に動く」ようにできているからです。

※ヴィジョントレーニングについてはこちらへ → アイックス


姿勢や動きを改善したいのなら、自分の癖をやめなければなりません。

ところが、頭と首を固めている人は、自分の癖をやめようとしません。

現実を視ないし、他人の話を聴こうとしないのです。

というより、現実を視ない・他人の話を聴かないために、頭と首を固めています。


人は見た方向に進むし、進みたい方向を見てしまうのです。

この理由で、自分の劣等感やナルシシズムの問題を避けて通ることはできません。

エクササイズだけをどんなに重ねても、たいして改善がみられないのは当然です。

自分が進むべき方向を見るために、癖を直す必要があります。


というようなお話を、熱く語ります。

2018年7月2日月曜日

足部の機能とヨガ&姿勢制御のための機能的筋力トレーニング

7月の関西は……

・7月12日(木)大阪 → 安部塾大阪集中講座

・7月14日(土)神戸 → 安部塾神戸集中講座(調整中)

……を、やります。


大阪では、姿勢制御に必要な機能的筋力トレーニングの解説と実践。

神戸では、フットプリントでヨガのアーサナの効果を確認しながらポーズを解説。

両日とも、いつにも増してマニアックな内容となります。

姿勢制御といえば足部の機能が基本ですので、濃密に解説します。

足部とヨガ

足部からの上行性運動連鎖を円滑にすることで、身体の動き全体が円滑になります。


逆に、足部の機能が崩壊すると、身体全体の動きも崩壊します。

運動連鎖(足部回内~)

これまでも解説してきましたが、7月の神戸でさらに深く掘り下げていきます。

文字通り、足部は人生を支えてくれます。

自分の足を見つめ直しましょう。


大阪では、きちんと関節を締めて身体を動かす練習をします。

機能を理解していない人は、ついつい「関節をゆるめる」という言葉に釣られてしまいます。

しかし、機能運動学を学べばすぐに考えは変わります。

靭帯などによる「受動的制御」と筋肉などによる「能動的制御」を駆使するようになります。


賢い人たちは、むやみに関節をゆるめたりしません。

「受動的制御」と「能動的制御」によって、関節機能を最適化します。

骨と骨とをつなぐ力を最適な状態に保つことで、姿勢や動きを安定化させます。

骨の周囲にある細かな筋肉を精密に磨きあげることが大切です。


脊柱は、文字通りの人生のバックボーンです。

自分の脊柱を見つめ直しましょう。


夏は、筋肉を研磨する季節です!