2021年6月30日水曜日

「一芸に秀でる者は多芸に通ず」~反復練習を繰り返して疲労困憊し脱力できた先に、自己の真の型が見えてきます。やりぬきましょう。

休むことなく繰り返し繰り返し反復練習し、疲労困憊する。
訪れた脱力の先に、自己の真の型が見えてくる。
「楽に~」というやり方を当てにして振り回されることがない。
甘い言葉に揺るがない自己の型を身につけることが大切。

 「脱力って、どうやったら身につくんですか?」

 そんな質問を受けることがあります。「体にまったく無駄な力が入らないくらい疲労困憊してから動けば、感覚がわかるかもしれませんよ」と答えています。心理的限界と生理的限界の狭間でしか身につかない「真の自己の型」というものがあると考えています。そして、真の自己の型が身につけば、原理が同じ他分野のこともできるようになります。

「一芸に秀でる者は多芸に通ず」

 ひとつの芸道について奥義を究めた者は他の分野にも通じる道理を身につけているということ。どのような芸でも、つきつめていけば単なる技術を超えた普遍的な「道」に到達する。

 脳には汎化作用があるり、脳のひとつの分野を伸ばすことで、他の分野も伸びてくるそうです。ひとつの道を究めることで、ほかの多くのことも身につけることがたやすくなる、おのずと見えてくるようになるということです。

 一芸を極める過程で、共通する原理原則を学べます。経験の比例を通してたくさんのことが見えてきます。成果や結果を急ぐエンドゲイニング=結果志向に偏るあまり、少し取り組んでうまくいかないと、すぐに諦めてしまいがちです。やりぬくことでしか身につかない「型」を身につけることができません。

 簡単に「やってみよう」で始めて、稚拙なレベルで「できた」と勘違いし、すぐに他者の指導をしたがる人を観察してみればわかります。自分の型が確立していないので、何をやっても本人が思うような反響は得られません。ひとつのことを突き詰めていない人が、いろんなことに手を出したとしても、すべて鳴かず飛ばず(ずっと、活躍することもなく、人から忘れられたようになっているさま。)なままです。

 できるようになるまでの道は、どのルートを選んでもそれなりに厳しいものです。真の自分の型は、疲労困憊の果てにしか得られないということを魂に刻み、自己の研磨を繰り返すことが大切です。その意味では、「正確な努力は、決して裏切らない」と考えています。世阿弥の「一芸は万芸に通ず」の言葉の意味は、「ひとつの道を極めていけば、他の道を理解する力がついてくるもの」だとされます。

 肩の力を抜くために、反復練習を繰り返しましょう。

7月の各地の講座で、「体の余計な力を抜く」ということをテーマに解説いたします。

7月の各地の講座で、「体の余計な力を抜く」ということをテーマに解説いたします。

☆下関集中講座

■7月3日(土)

→ 詳細

 

機能運動学大牟田サークル

■7月4日(日)

→ 詳細


☆東京集中講座

■7月9・10・11日(金・土・日)

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2021年6月29日火曜日

肩の力を抜いて、楽に動きましょう。

https://www.pinterest.jp/pin/711639178588653129/

 日々の生活の中で姿勢と呼吸と動きを改善していくためには、肩の力を抜くことが大切です。とはいえ、動きがぎこちない人ほど、肩の力を抜くのは難しいと思います。

 肩の力が抜けない人を観察してみると、「動くときに必要以上に力を使いすぎている」のがすぐにわかると思います。不要なりきみでガチガチになっている印象を受けるはずです。姿勢保持や動作には、最低限必要な力だけを使うのが基本なのですが、りきみすぎて体を自由自在に動かすことができなくなっています。

 頭部の位置異常による姿勢崩壊に伴う筋肉の過剰緊張により、体が動きづらくなっていることが多いと思います。頭部の位置異常は思い込みの激しさにつながると考えています。「情報を受けとったときに、それが真実か・どういう状況で起きているのかといった冷静な事実確認をせずに、『自分の考えが絶対に正しい』と思い込んでしまう」という特徴が見られます。

 相手の何気ない言葉を激しい思い込みでとらえてしまうため、注意や指摘をされた際に、「非難された・責められた」と受け取り、相手が真に意図した内容を正しく理解しようとせずに、思い込みで相手の意見を判断してしまいます。そして、その考えが、さらなる筋緊張を生み出してしまうという悪循環につながります。肩に力が入っている状態では、冷静な判断をするのが困難になるのだと思います。

 「最小限の力で制御してください」とすすめると、「え?こんなんじゃ効かないですよ」「やった気がしない」という反応をされる方が多く見られます。実際に、腕も脚も体幹もよく伸び、よく動くようになるにも関わらず、元の「短縮させる体の使い方」に戻そうとされます。いつもやっている動作の感覚を「正しい」と思い込んでいるからだと思います。

 人によっては、肩の力が抜けている状態を「さぼっている」「怠けている」と感じることもあるようです。重力に負けてつぶれてしまうとダメですが、重力に抗うことができる最小限の力でいることは効率的・機能的な状態であり、むしろ理想的なあり方だと思います。りきんでいる状態は、「労多くして功少なし」「労多くして益少なし」という状態になりがちです。

 脊柱がつぶれたまま=短縮したままで動いたり考えたりすると、脊柱が長く伸びた状態で動いたり考えたりする場合に比べて、とても疲れます。『自分の考えが絶対に正しい』と、肩に力を入れている人たちがみな一様に慢性的な疲労感を訴えているのをみれば、その意味がよくわかると思います。首や肩の不要な筋緊張をなくしていく=肩の力を抜く練習がもたらす果報は、とても大きいと考えています。

7月の各地の講座で、「体の余計な力を抜く」ということをテーマに解説いたします。

☆下関集中講座

■7月3日(土)

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機能運動学大牟田サークル

■7月4日(日)

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☆東京集中講座

■7月9・10・11日(金・土・日)

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2021年6月28日月曜日

適切な行動をとるために感覚情報を処理したり組織化していく(感覚を統合する)≒体の余計な力を抜く・無駄な動きをなくす

■固有受容覚

固有受容覚の受容器(センサー)は筋肉や関節にあります。自分の体の位置や動き、そして「力の入れ具合」を感じる感覚が固有受容覚です。

①力加減の制御

②運動の制御(速度など)

③抗重力姿勢の制御(重力に抗して姿勢を保つ)

④バランスの制御(均衡を保つ)

⑤情緒の制御(安定)

⑥ボディマップ(身体地図)の把握

⑦ボディイメージ(身体機能)の把握

 固有受容覚は、手足の動きを把握する上で重要な感覚です。他者の動きを真似したり、器用に手足を動かしたりするときに役立ちます。

固有受容覚

 「固有感覚」と「前庭感覚」は、感覚統合時に重要な役割を果たします。「固有感覚」は、筋肉に感覚器官があり、力をどれくらい入れるのか、外からどのくらいの力がかかっているのかなどを検出して、身体の動きや手足の感覚を脳に伝えます。「前庭感覚」は、耳の内耳に検出器官があり、身体の傾きや身体のスピードの感覚を脳に伝えています。 

 適切な運動や行為を行うためには、いくつかの感覚情報をうまく処理する必要があります。いくつかの情報を正確に処理できないと、適切な運動や行為を行うことができなかったり、行うために脳―神経システムの他の関与を求めなくてはならなくなったりします。

 感覚統合は、「適切な行動をとるために感覚情報を処理したり組織化していくこと」という意味で、エアーズ博士(作業療法士)によって用いられた用語です。

■感覚統合がうまくいかない場合

①周りの刺激にすぐに反応してしまい、落ち着きを失う。

②触れられることを極端に嫌がる(触覚、前庭感覚、視覚や音刺激に対して過敏)。

③体の痛みに気づかない、自分から強烈な刺激を求める(感覚刺激に対して鈍い)。

④不器用(ひも結びや箸の使い方など、細かい作業が苦手)。動作の協調性がよくない。

⑤言葉が出ない、目が合わない、自分が思っている事をうまく伝えられない。


 安部塾では、感覚統合訓練をしています。感覚の統合がうまくいっていないと、いろんなことが困難になり、生きづらくなってしまいます。人は、自分の体の動きや状態がどうなっているのかを感じること、触れたり触られたりすることを感じること、見ること、聞くことなどの様々な感覚を通して周囲の状況を知り、それに見合った動きを計画し行動するのですが、そのことごとく間違ってしまい、修正できないため、生きるのがつらくなってしまうのです。

本来は、その動きが正しければ継続し、間違っていれば直ちに修正を加え、まわりの環境に応じた行動を選択していけます。感覚情報を上手くまとめていくことができる人は、人生を楽しむことができます。

そのためには、以下の3つの感覚を磨く必要があると考えています。

①前庭感覚(自分の身体の向きや動きを感じとる感覚。目の動きにも関係。)

②固有感覚(自分の身体を思い通りに動かす情報を汲み取る感覚。筋肉や関節)

③触覚(触れたり触れられたりすることで、物や他者・環境を感じとる感覚)

 安部塾では、さまざまなテーマで講座をひらいていますが、この3つの感覚を研磨して、一度しかない生を満喫して欲しいというのが根っこにあります。思った以上に、感覚は鈍く、そして狂っているものです。自己流で修正できると思い込んでいる場合、逆に狂いがひどくなっていく結果になりがちです。そもそも、自己流で修正できるくらいであれば、現在すでに生きやすい環境になっているはずなのですから。

 感覚を研磨して、適切な行動をとるために感覚情報を処理したり組織化していくのには、時間もコストもかかります。しかし、やりとげる価値は十二分にあると思います。


7月の各地の講座で、「体の余計な力を抜く」ということをテーマに解説いたします。

☆下関集中講座

■7月3日(土)

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機能運動学大牟田サークル

■7月4日(日)

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☆東京集中講座

■7月9・10・11日(金・土・日)

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2021年6月27日日曜日

体の余計な力を抜くと、動作が美しくしなやかになり、呼吸や発声の制約がなくなります。幸福感と満足感が高くなります。

連獅子

  それが身体的なものであれ精神的なものであれ、私たちは日々の生活の中で緊張を加えてしまいがちです。そして、何か問題が起きるまで、自分が緊張していることに気づかないことが多いものです。いえ、たくさんの問題を抱え込んでも、自分が緊張していることに気がつかないものです。過剰な筋緊張は、腰痛・首肩痛・関節炎・うつ・心疾患など、たくさんの問題の原因となります。

 自分で気づくことのできない筋緊張……無自覚な筋緊張を放置していると、活力が低下し、老化を早め、生活の質を低下させてしまうことになります。カチカチの体で、慌ただしく雑で乱暴な動きを繰り返してしまう結果、動くことが苦痛になり、姿勢と動きと呼吸から優雅さが失われていきます。その動きはぎこちなく、不器用です。

 姿勢が崩れると、自然な動作を邪魔してしまうことになります。自然な動作が失われたぶんだけ、魅力も失われていきます。バランスが悪くて調和していない動きには、魅力がないからです。姿勢がよいと、動作が自然なものになり、魅力が増大し続けます。バランスのよい調和のとれた動きは、とても魅力的です。幸福感もそれにつれて増大し、満足感も得られます。

獅子

 本来の機能の通りに体を使わずに生活していると、日に日に身体的ダメージが蓄積されていきます。まったく無自覚に、気づかないうちに、いつの間にか自分を壊していくことになります。そして長期間に渡って蓄積されたダメージによって、ある日、大きな故障が生じます。可及的速やかに、間違って身につけてしまった身体の使い方をやめて、効率的な体の使い方を再学習する必要があります。

 身体の使い方が下手な人ほど、習慣的な動き方に無理があっても、それを「この動き方は正しい」と感じ続けてしまいがちです。自分の感じ方を正しいと信じ込みやすいのです。少し冷静になって、より効率的に動く方法を学べば、体に不要な負荷をかけることがなくなり、大きなダメージを与えずに済み、失うものをセーブすることができます。

 間違った適応のしかたによって生まれる筋緊張を軽減させ、望ましくない衝動や関係性のない反応を抑制することが大切です。

7月の各地の講座で、「体の余計な力を抜く」ということをテーマに解説いたします。

☆下関集中講座

■7月3日(土)

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機能運動学大牟田サークル

■7月4日(日)

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☆東京集中講座

■7月9・10・11日(金・土・日)

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2021年6月23日水曜日

6月27日(日)大手門集中講座の御案内

6月27日(日)ピラティススタジオKANONにて大手門集中講座を開催いたします → 詳細

内容は、

・肩甲骨まわりのほぐし

・脊柱まわりのほぐし

・骨盤まわりのほぐし

・下腿のほぐし

を、予定しております。

今回は特に、脊柱まわりのほぐしに力を入れたいと思います。

経絡図

ひさしぶりに、武術整体的なアプローチをしたいと思います。

御参加、お待ちしております。

2021年6月18日金曜日

真似したくなるような体の使い方とは?

『アレクサンダー・テクニーク完全読本 医道の日本社』より

「もし、私たちが首の筋を緊張させる無意識の習慣をやめることができれば、人々が見て楽しみ、真似したくなるよう体の使い方ができるようになるでしょう。」

引用ここまで


 「真似したくない動き」をしている人の動きを観察してみると、頸椎に向かって後頭部を近づける=首の筋を緊張させる体の使い方をしているのがわかります。体の地図が間違っているため、自分の体の不調の原因について見当違いの結論を導いているのも観察できます。真似したくない動きが日常化している人は、自分自身の首の筋が緊張しているという自覚もなく、体全体が協調して動かなくなっており、バランスが大きく崩れています。詰まったような、ぎこちない動きを、いつも通りに繰り返してしまうことになります。

 首の筋を緊張させない体の使い方をしている人の動きは美しく、息が長く、声は伸びやかでよく響きます。体の地図が正確なので体調がよく、楽なコーディネーション(体が協調してはたらく状態)で動きます。なめらかで丁寧なその動きは、時間を忘れてしまうほどです。

各地の集中講座で、解説しております。

☆新宮校集中講座
6月20日(日)→ 詳細

☆大手門集中講座
6月27日(日)→ 詳細

☆神戸集中講座
6月19日(土)→ 詳細

☆大阪集中講座
6月24日(木)→ 詳細

☆名古屋集中講座
6月25日(金)→ 詳細 



2021年6月17日木曜日

一発逆転を狙って派手に散ってしまうより、方法論ができあがったものを淡々とこなす。

枯れた技術』より引用いたします。

   枯れた技術とは、経験豊富なおじいちゃん状態になっている技術のこと。もう少し具体的に書くと、古いけど、既にいっぱい使われて、問題とかもいろいろ起こって、良い感じにこなれた技術のこと。歴史が長くて、問題もいろいろ起こり、それらが改善されて安定している、言わば「経験豊富なおじいちゃん状態」の技術を指す呼称が「枯れた技術(カレタギジュツ)」です。

枯れた技術を使うメリットは、

1.(いろいろ問題が出尽くしているので)安定感がある

2.(一般に普及しているので)安い

3.(たくさん使われたから)ノウハウが蓄積されている

引用ここまで

 「枯れた技術」とは「最先端ではないが、すでに広く使われて、ノウハウも固まり不具合も出し尽くして安定して使える技術」のことです。長年、使い続けられてきたからこその、安定していて信頼性が高い技術を、淡々と積み上げていくのが安部塾の基本姿勢となります。自分の感覚を信用せず、感じるままに動かず、修正に次ぐ修正を繰り返します。

 感覚は誤りやすいものです。誤った感覚を正しい感覚だと思い込んで動けば、当然の結果として破綻します。なので、常に「自分の感覚のどこがどうおかしいのか?」を詳細にチェックするという行為を繰り返す必要があります。

自動思考ってなーに?』より引用

「現実の受け取り方」や「ものの見方」を“認知”と言います。

 認知には何かの出来事があったときに瞬間的に浮かぶ考えやイメージがあり、これが「自動思考」です。「自動思考」の多くは経験や環境の中で知らず知らずに身につけています。「自動思考」が極端なものになっていると物事の捉え方が偏り不都合な気分の増強やメンタル症状に繋がります。

 「自動思考」は、知らず知らずに持っている考え方の癖です。

 もしも今「考え方の癖なんて変わらないわ」と考えたとしたら、それも「自動思考」に基づく「認知」です。そして「考え方の癖も少しずつなら変えられるかもしれない」と思い直したら、それはもう認知を修正できています。

引用ここまで

 私は、感覚にも同じことが言えると考えております。感じ方の癖がさまざまな問題の原因となるように思います。そして、一発逆転を狙う思考癖の持ち主の多くが、誤った感覚評価を正しいと信じ込んでいるような気がいたします。自分の感じていることや思考していることを疑い、常に修正をかけ続けることが肝要だと思います。

 誤った感覚評価について、各地の集中講座で解説いたします。


☆新宮校集中講座
6月18日(金)→ 詳細
6月20日(日)→ 詳細

☆大手門集中講座
6月27日(日)→ 詳細

☆神戸集中講座
6月19日(土)→ 詳細

☆大阪集中講座
6月24日(木)→ 詳細

☆名古屋集中講座
6月25日(金)→ 詳細 


2021年6月16日水曜日

「見て考えて動く」「膝がつま先の上を越えていく」

 

見て考えて動く

 アイックスさまの視機能訓練で詳しく習うことが可能ですが、今回は安部塾における「見て考えて動く」についての考え方を書きたいと思います。

 安部塾では、「眼は頭」「口は顎(あご)」と考えます。「頭は常にあらゆる動きをリードする」の記事で紹介しましたが、すべての動物は、頭がリードする形で動きます。ヒトの場合、①見る→②考える→③動くという順序を守ることで、頭がリードする形で動くことができます。上の図は、基本的な「リーチング」の動作となります。

 見ていない(見えていない)人と見ている(見えている)人の歩行の違いを見てみましょう。

見ていない(見えていない)人と見ている(見えている)人の歩行の違い

 以前、「元気よく膝を伸ばして歩きましょう」という考え方が一部で流行しました。実践者の多くが故障を抱えることになったようです。膝は、曲がるのが自然です。足は、頭の下につきます。

 小島先生はFacebookにアップしておられたランニング指導の写真がわかりやすいので、ご紹介いたします。


 仙骨の意識で見え方も変わります。視機能と関連が強い後頭下筋群下筋群がはたらく後頭骨が仙骨と同期しているためです。逆に、視機能を改善することで、仙骨の使い方もよくなります。

 各地の集中講座で、解説予定です。

☆新宮校集中講座
6月18日(金)→ 詳細
6月20日(日)→ 詳細

☆大手門集中講座
6月27日(日)→ 詳細

☆神戸集中講座
6月19日(土)→ 詳細

☆大阪集中講座
6月24日(木)→ 詳細

☆名古屋集中講座
6月25日(金)→ 詳細 


2021年6月10日木曜日

呼吸とふともものあげさげ

 

呼吸と大腿のあげさげ

 安部塾では、ふともものあげさげと呼吸を合わせます。吸う息で胸が前上方にあがり、股関節が沈みこみながらふとももがあがってきます。吐くときは逆の動きが生じます。片脚をあげたときに背中のS字カーブを保てない場合、体幹の筋力低下とともに胸がさがっている可能性があります。吐きながら脚をあげてしまう人もいます。

 簡単な動きですが、きちんとやれている人はほとんどいないと思います。6月11・12・13日(金・土・日)の東京集中講座で、詳しく解説いたします。

牛のポーズと猫のポーズ~背中と胸をやわらかくする

 

牛のポーズと猫のポーズ

■関連記事

→ 呼吸と胸の引きあげ・引きさげ~さまざまな動作の基本となる動き

→ 呼吸と動きを改善する立位での反りと丸まりを伴う上体ねじり

→ 「頭は常にあらゆる動きをリードする」

 呼吸の動きと脊柱を動きのタイミングを合わせて動くと、背中と胸がやわらかくなります。そのメリットは計り知れません。関連記事の内容を意識しながら動いてみると、その意味がよくわかると思います。

2021年6月9日水曜日

呼吸と動きを改善する立位での反りと丸まりを伴う上体ねじり

 

立位での上体ねじり

 安部塾では、呼吸と動きの改善のために反りと丸まりを伴う上体ねじりを行なっています。吸うときに後方対角線連鎖を、吐くときに前方対角線連鎖を意識します。昨日の記事の呼吸に伴う胸のあげさげのイメージと回旋のイメージの合成になる感じです。左右を比較してみて、やりにくい方は「なぜやりにくいのか?」考えてみると改善につながるかと思います。水平に体軸を回旋させるために必要な知識で解説した内容と比べてみると、面白いと思います。

 実際には進行方向へ縮んでいくわけですが、感覚的には対側がひろがって伸びていくような感じとなります。「つぶれないように動く」と、表現されています。脊柱の長さを保ちながら呼吸による胸椎と胸郭の変形に回旋動作を合わせていくようにします。一般的には四つんばいで行なわれていますが、まずは立位で感覚をつかんだ方がよいかと思います。

2021年6月8日火曜日

呼吸と胸の引きあげ・引きさげ~さまざまな動作の基本となる動き

呼吸と胸椎・胸郭


胸郭呼吸では息を吸う(吸気)と肋骨は挙上する。その結果として、上部胸郭の直径が前方に増加し、下部胸郭は外側の直径が増す。胸椎は伸展する。

息を吐く(呼気)と反対の作用が働いて肋骨が下降する。肋軟骨は吸気でわずかな捻転が加わり(つまり、軸に対して捻じれる)、呼気で正常な状態に戻る。

※引用元:「新・動きの解剖学 科学新聞社」


 胸のあげさげは、さまざまな基本動作の二次的・三次的な指示となります。胸が固まっていると、本来の円滑な動きができなくなります。地味練となりますが、呼吸と胸の動きを研磨するべきだと思います。

2021年6月7日月曜日

「頭は常にあらゆる動きをリードする」

  自然な歩き方を探っていくと、1つの重要な原理にたどり着きます。それは「頭は常にあらゆる動きをリードする」ということです。

 すべての動物は、頭がリードする形で動くのです。だからこそ、主要な感覚器官(目、耳、鼻、舌)がすべて頭に備えられています。実際の動きの中でこの原理を応用している人はほとんどいません。

※『アレクサンダー・テクニーク完全読本 医道の日本社』より引用


 「頭は常にあらゆる動きをリードする」という指示は、誤解を生みやすいように思います。文字通りに頭で動きをリードしようとすると、その動きは機能的とはいえないものになりがちです。

 私は古典的な指示である「首は自由に」「頭(おでこ)が前に」「頭が上に」という言葉が好きです。動き始める前に、この3つを確認する「間」をとることで、多くの問題が解説に向かうからです。

 「頭は常にあらゆる動きをリードする」という指示のもつ意味の重さや深さを、文章で伝えることは不可能に近いのではないかと感じております。実際にその動きを目の当たりにしてはじめて「あぁ、そういうことなのか!」と体感して『体解』するものだと思います(※「体」は、物事がはたらくことのもとをなすもの、本質。「解」は理解すること。よって、「体解」とは、「その本質を理解すること」の意)。頭でわかったような気になるのは知解でしかありません。自分が学んだ知識=知解分別は、ただの知識なのです。

 自分が体解していることを言葉で説明するのは困難です。というか、無理だと思います。知識は不可欠なだけで、それは「知識がないとお話にならない」というだけで、知識があれば動けるかというと、そんなことはないのです。妄想と現実の違いといってもいいかもしれません。現実の動きは、その動きができるようになってはじめて、「わかった!」という感覚を得る性質のものなのです。

 姿勢にせよ動きにせよ体型にせよ、頭でわかったつもりになっている人で改善していく人を見かけません。みな、計画は立派なのですが、「やり遂げたこと」も「それを継続=維持できたこと」もない机上の空論でしかありません。何の世界でもそうだと思いますが、結果を出し続けていない人の言葉には、何の力も宿らないような気がいたします。

 知識の上で、頭をどう使っているのか?

 動きの上で、頭をどう使っているのか?

 「考える」という頭の使い方と、「動く」という頭の使い方。

 どちらの意味でも、「頭は常にあらゆる動きをリードする」なのだと思います。

6月の集中講座とレッスンは、「頭」の使い方について解説したいと思います。

☆東京集中講座

■6月11・12・13日(金・土・日)→ 詳細

☆新宮校集中講座

■6月18日(金)→ 詳細

■6月20日(日)→ 詳細

☆神戸集中講座

■6月19日(土)→ 詳細

☆大阪集中講座

■6月24日(木)→ 詳細

☆名古屋集中講座

■6月25日(金)→ 詳細


2021年6月5日土曜日

「自分のやっていることを信じる傾向」はとても根深いものです。

  「自分のやっていることを信じる傾向」は、「情報検索する時、無意識に『自分の考えを補強してくれる答え』を懸命に探してしまう」ことで強化されていくのかもしれません。

 


 本日の下関集中講座のテーマは、「いいこと思いついた」と勘違いしてしまいがちな人たちの姿勢や動きが悪い理由について解説いたします。「自分に心地よい考え方」というのは、自分が間違っていないときにのみうまくいきます。勘違いをこじらせていると、周りが勘違いしている人たちばかりになってしまいます。

2021年6月4日金曜日

新しい改善された動き方に変えるためには、「間違っている」と感じることが必要です。

 『アレクサンダー・テクニーク 完全教本 医道の日本社』より

アレクサンダー先生は次のように言っています。

 第1に、自分には欠点、または解消の必要がある問題点があるということを、生徒ははっきりと認識していなければならないでしょう。第2に、教師はその問題点を明確にして、それを是正する手段を決めなければなりません。生徒は、自分の肉体的な動作についてメンタル面で混乱していること、つまり自己の感覚評価、または筋感覚が不完全であることを認めることになるでしょう。別の表現で言えば、日常の単純な行為を達成するために必要な筋緊張の程度の感覚ですら、誤っていて、有害だったりすることに気づくでしょう。そして生徒が「リラックス」や「集中」といった状態にしようと思っても、この感覚的な誤りのせいで、実現不可能になってしまうのです。

 人類は、自己の心と体のメカニズムを行使するに当たって、潜在意識レベルで、この不純な感覚と不純な感覚評価に依存しています。

 この言葉をシンプルにすると、「私たちが実際にしていることと、私たちが『している』と考えていることは、まったく異なる」ということです。

 「自分のやっていることを信じる傾向」はとても根深いものです。そのため、私が人々をまっすぐなポジションに導いたときに、彼らは「前傾している」と感じます。しかも、その状態でいると倒れてしまうように感じて、緊張を強めてしまうくらいです。多くの人が起きている間のほとんどをバランスが崩れている状態で過ごしているため、筋は絶えず緊張しているのです。

 新しい改善された動き方に変えるためには、「間違っている」と感じることが必要です。アレクサンダーは次のように言いました。

 正しいことをすることは、私たちが最も避けたいことである。なぜなら、私たちが「正しいことをしよう」と考えること自体が、邪魔するからだ。すべての人は正しくありたいと願うが、誰も「自分が正しいと考えていること」が、本当に正しいのかどうかを考えようとしない。

 人が間違ったとき、それはその人にとって「正しいこと」が間違っていたことを意味します。このために、問題は複雑になります。誰もが、自分にとって最も違和感のない方法で動き、座ったり、立ったりするでしょう。「何かおかしい」と感じる方法で動くことが、実は本来やるべきことであるとは、夢にも思わないでしょう。

引用ここまで


明日の下関集中講座で、「そもそも自分が間違っている」ということに気づくことの大切さについて熱く語りたいと思います(笑)。

2021年6月3日木曜日

言語メッセージよりも非言語コミュニケーションによるメッセージのほうが、影響力が強い。

 6月5日(土)の下関集中講座は第一部で、

・体がよみがえる姿勢と動作

・疲れにくく、楽な動きが身につく体の使い方

詳細→「疲れにくく、楽な動きが身につく体の使い方。体がよみがえる姿勢と動作。

・自然な呼吸と発声についての解説

詳細→「自然な呼吸に改善する

……の解説と実技指導を行ないます。

 続く第二部では、「マイム(身ぶり手ぶり)」の解説と実技指導を行ないます。マイムができないと生きづらくなります。

『アルバート・メラビアンの法則』

 人はコミュニケーションをとるときには、受け取る情報を100とすると、相手から発せられる言語の内容である「言語情報」から7%、声のトーンや口調、大きさ、話す速さなどの「聴覚情報」から38%、そして相手のジェスチャーや視線、表情といった「視覚情報」から55%の情報を受けています。

 つまり、言語メッセージよりも非言語コミュニケーションによるメッセージのほうが、影響力が強いということです。

さて、マイムとはなんでしょうか?

 ■マイム(Mime)

無言劇のこと。語源はギリシア語のミモス mīmosで,ラテン語ではミムス mimus。演劇の原初的な形態で,古代では軽業 (かるわざ) ,声色,寸劇などの雑芸だったが,現在マイムはパントマイムと同義語となっている。出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

■マイム

パントマイム、つまり身ぶり手ぶりのこと。古典バレエでは一切台詞が使われないので、マイムが言葉の代わりとなる。宮廷人のしぐさがもとになっている。(鈴木晶 舞踊評論家 / 2008年) 出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

■パントマイム

黙劇,無言劇,単にマイムとも。言葉を用いない,身振りや表情のみによる芸能。音楽や舞踊を伴うことも多い。その起源は,古代ギリシアの〈ミモス劇〉と呼ばれる座興芝居で,卑俗な題材を物まねふうに扱ったもの。出典 株式会社平凡社百科事典マイペディア

■パントマイム (pantomime)

① せりふがなく、表情やしぐさだけで表現する演劇。無言劇。黙劇。

② 一般に、ものまね。身ぶりや表情で意思を伝えること。

出典 精選版 日本国語大辞典

■パントマイム

語源は「全てを真似る人」「役者」を意味する古典ギリシア語 pantomimos であり、その起源は古代ギリシアに遡る。ただし、このころのパントマイムは、演劇の一演目という扱いで、また今日我々が「パントマイム」という言葉で想像するものよりは、仮面舞踏に近いものであったようである。

……御参加、お待ちしております。

2021年6月1日火曜日

水平に体軸を回旋させるために必要な知識

健常者が水平面状で全身を右回旋したときの
頭頸部、体幹、股関節筋の典型的な活動パターン

■腹斜筋の「回旋共同筋」としての体幹伸展の作用
 
外・内腹斜筋は体幹の主要回旋筋です。二次的な体軸回旋筋としては、同側の広背筋、より斜走する繊維で構成される同側の腸肋筋、さらに対側の横突棘筋があります。これらの二次的な体軸回旋筋は効果的な体幹伸筋でもあります。強力な体軸回旋中、これらの伸筋は腹斜筋群の力強い体幹屈曲能力を打ち消すか中和することができます。この中和能力がなければ、強力な体軸回旋に体幹屈曲が自動的に組み合わさって起こることになるでしょう。前述の伸筋は腹斜筋群による体幹屈曲に抵抗しますが、体軸回旋トルクにも寄与します。

 多裂筋は体軸回旋中、腰部に重要な伸展安定性をもたらします。腰部の椎間関節や椎間板の病変はこれらの筋群の弱化、疲労、反射抑制と関連があるかもしれません。体軸回旋中に多裂筋の適切な活動がなければ、理論上、部分的に抵抗のなくなった腹斜筋が、脊柱基部にわずかであるが好ましくない屈曲傾向をつくりだします。

■頭部と頸部におけるすぐれた協調運動:目、耳、鼻の位置の最適化

 頭頸部は体軸骨格中のどこよりも大きな3次元運動が行なえます。十二分に大きな運動は、目、耳、鼻の空間的に最適な位置づけのために必須です。そのためには全運動面の運動が同じように重要ですが、以下のセクションでは水平面の運動に焦点を当てます。

 上図に、頭頸部の右方向への体軸回旋範囲を最大にするために使われる筋の相互作用の例を示す全身運動を示しました。頭頸部の完全な体軸回旋が目に180°以上の視野を供給することに注目してください。右方向への回旋は、左胸鎖乳突筋と右僧帽筋、右頭板状筋と頸板状筋、頭最長筋のような右上部脊柱起立筋、そして多裂筋のような左横突棘筋の同時活動によって起こります。図には示されていませんが、後頭下筋群の一部(つまり、右大後頭直筋と右下頭斜筋)は環軸関節を積極的に調整しています。

 ここにあげた筋の活動によって、頭頸部に必要とされる回転パワーや調節と同時に、前額・矢状面の双方における頭頸部の安定化がもたらされます。たとえば、頭・頸板状筋、僧帽筋、上部脊柱起立筋による伸展能力は胸鎖乳突筋の屈曲能力によって中和されます。さらに、左胸鎖乳突筋の左側屈曲能力は右頭・頸板状筋の右側屈能力によって中和されます。

 頭頸部の完全な体軸回旋は、体幹や下肢までひろがる筋の相互作用を必要とします。たとえば、左右の腹斜筋の活動を考えてみましょう。腹斜筋は頭頸部の構造上の基部となる胸椎部を回転するのに必要なトルクの多くを供給します。さらに、脊柱起立筋と横突棘筋は体幹後面全体を活動させ、腹斜筋による強い体幹屈曲傾向を中和します。肩関節がほかの筋によってしっかりと固定されていれば、広背筋は体幹を同側に回旋します。左大臀筋は骨盤とそれにつながる腰仙部を相対的に固定された左大腿に対して積極的に右へと回旋させます。

※「筋骨格のキネシオロジー 医歯薬出版社」より