2019年12月31日火曜日

泣くな復讐しろ。最高の復讐はしあわせになること(しあわせな人生を送ること)だ。

2019年も、あと数時間でおしまいになります。ふと、アイルランドのこんなことわざを思い出しました。

「泣くな復讐しろ。最高の復讐はしあわせになることだ」
"Don't cry just revenge.The best revenge is to live well."

『最高の復讐は、しあわせな人生を送ること』

復讐したいという気持ち(エネルギー)を相手に向けるのは非効率的です。復讐したいという気持ちは、自分の人生をしあわせなものにすることに向けるのが効率的です。相手に復讐したい気持ちを向けてしまう状態は、相手によってコントロールされている(ふしあわせな)状態です。恨みのために蛇となった面が『真蛇(しんじゃ)』です。今年の後半は、「お面で学ぶシリーズ」が秘かに人気となりました。

真蛇面
「お前のせいで、おれはこんなにふあしわせなんだ」と主張するために、ふしあわせそうな怨霊顔をしてしまうのは非効率的です。別に相手のことを許(赦)す必要は一切なくて、自分で自分の人生をしあわせに満ち溢れた状態にしていくことで、復讐心そのものが気にもならなくなるのが効率的です。



真に魅力的な人間へと成長できれば、周りの人たちが放っておかないものです。大切なことは、自分で自分を高めようとする強い意思と、自らそれを求めていく正しい姿勢です。仕返しをしようとするのは、復習したい相手と同じレベルに堕ちてしまうということです。嫌なことをやられたから、同じように嫌なことをしてやり返してやろうというのは、自分も嫌な人間になってしまうということです。いや、妖しと化してしまうということです。

フリードリヒ・ニーチェ(ドイツ哲学)の『善悪の彼岸』146節の言葉。

「怪物と戦う者は、その過程で自分自身も怪物になることのないように気をつけなくてはならない。深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」
“Beware that, when fighting monsters, you yourself do not become a monster… for when you gaze long into the abyss. The abyss gazes also into you.”

「怪物と闘うとき、気をつけないとお前も怪物になるぞ」ということです。怪物と闘う者は、その過程で自らが怪物と化さぬよう心しなくてはなりません。『白き勇者』が『黒き怪物』に立ち向かうと、たちまち『黒』が『白』を黒く塗りつぶしてしまいます。怪物と対峙した際、憎悪や恐怖に呑みこまれて理性を失ってしまうということは、自らも怪物になり果ててしまうということです。

ごくごく当たり前のことですが、敵(かたき)討ちに成功したところで、誰ひとりしあわせにはなることはありません。今度は自分が討たれることに怯えることになります。誰かをふしあわせな状態に陥れた代償は、予想以上に大きいものになります。自分がしあわせになることで、水に流すことができます。

今日は大晦日。月末最後の日を晦日(つごもり)ともいうので「大つごもり」ともいいます。罪や穢れを水に流す神事の日です。しあわせな自分を確認することで、水に流してしまう日でもあります。元旦には歳神(としがみ)さまという新年の神さまが、しあわせをもたらすために各家庭にやってきます。大晦日の夜、年越祓(としこしのはらえ)というお祓いの神事が行われ、知らず知らずのうちに身についた罪や穢れを祓い清めて、清々しい心と体でお正月を迎えます。

「良いお年をお迎えください」は、年の瀬に会った方に、「次に会うのは新しい年が明けてからですね。良い新年を迎えてくださいね」という意味で使います。「新年が、あなたにとって良い年でありますように」という祝言(ことほぎ)です。この言葉は、しあわせに生きている方々がよく使います。他者のしあわせを祈ることができる人はさいわいなのだと思います。

それはみなさま、良いお年をおむかえください。

2019年12月29日日曜日

座り方~和の身体操作技法~着物警察と和装離れ

昨日の新宮校集中講座は、舞の衣装の打掛けを使って解説をしました。
和の身体操作 座り方

和の身体操作 座り方
私たちの動きは、着用している服によって変わります。靴(シューズ)もそうですが、目的別にさまざまな展開をしていることを考えると、すぐに理解できるかと思います。和の身体操作を身につけるためには、和服の着用が近道です。洋装で和の身体操作をすると、滑稽だったりします。着物警察がうるさくなってしまったのは、普段着で着なくなったからだと思います。最近では、鼓警察もあらわれているようで、衰退の原因となるんだけどなと危惧しております。私の推し神社には、馬警察が……┐(´д`)┌ヤレヤレ。

参考リンク
着物警察が若い女性を目の敵にする歴史事情 商品の「高級化路線」を狙った着物業界の功罪
「着物警察」のせいで和装離れが加速、街中での警笛はもはやパワハラの域
着物警察にあった事がある人の割合と対処法
着物警察と今後の着物業界について少し語ります。
街中でも容赦ない指摘…「着物警察」が色々と面倒らしい







私も創作系なのですが、特に何も言われたことはありません(笑)。わかった上で、そうしないという選択をするのはいいことだと考えています。むしろ、正統派の方々に気に入ってもらえています。ファッションの一形態としての和装を、地味に普及してまいりたいと考えています。

2019年12月26日木曜日

品のある所作を心がけると、慢性的な痛みから解放されます。

機能的な運動というものを突き詰めていくと、結果として格調の高い動きになっていきます。格調高い動きを学んでいくと、結果として機能的な運動になっていきます。美学的に美しいものは、構造学的に正しいということです。どちらの動きをを追及しても、行きつくところは同じです。

慢性の痛みが発生しているとき、脳内の痛みを抑える機能が破綻している場合が多いとされています。慢性痛のメカニズムについては、かなり研究が進んでいます。うつの身体的症状として肩こりや腰痛がありますが、これも脳の機能の低下によるものです。

いわゆる積極的休養-運動が有効なわけですが、問題は運動の質です。品性下劣な動きは、関節の機能を破綻させてしまいます。粗雑な動きは、脳の制御システムを混乱させてしまいます。制御できなくなることで、ますます動きの質が低下するという悪循環になります。

さらに、身体の動きは、思考に強い影響を与えます。混乱した動きが、混乱した思考を生み出します。終わることのない負の連鎖が続くことになります。

この負の連鎖を断ち切る道がふたつあります。ひとつは、機能解剖学を学んで動きを機能的にしていくことです。もうひとつは、すべての動きを格調高いものにしていくことです。そしてそのどちらの場合も、最初の一歩は、手先足先の動きの改善から始まります。

問題は、慢性的な痛みが出ているときの脳のシステムが、この考え方を受け入れてくれない場合が多いという点です。わかる範囲で安易な鎮痛法を選択しやすいため、本質的なアプローチに拒絶することになりがちなのです。

そんなこんなで、私は機能運動と舞をおすすめしております。

2019年12月25日水曜日

1月17・18・19日(金・土・日)の東京集中講座の内容について

1月17・18・19日(金・土・日)の東京集中講座は、

◆1月17日(金)19:00~21:00(2H)
舞講座(三つ振り・三段極め・肩と胸を動かす・足運びと歩き・扇子・手拭~てぬぐい)
----------------------------------------------------------------------------------
◆1月18日(土)
第1部 10:00~13:00(3H)
 マーシャルアーツ(機能的武術)【中国武術講座】
第2部 14:00~16:30(2.5H)
 下半身のほぐしとストレッチング
第3部 17:00~19:30(2.5H)
 上半身のほぐしとストレッチング
------------------------------------------------------------------------------------
◆1月19日(日)
第1部 10:00~13:00(3H)
 下半身のほぐしとストレッチング
第2部 14:00~17:00(3H)
 上半身のほぐしとストレッチング
第3部 17:15~19:15(2H)
 舞講座(足拍子・手拍子・足運びと歩き・扇・手拭~てぬぐい・廻りなど)

……を、予定しております。

詳細は12月28日以降にお知らせいたします。

背中を反らせる力と、和の身体操作。

明日は、今年最後の大阪集中講座です。和の身体操作のメリットのひとつは、背中を反らせやすくなることにあります。昨夜、姫サンタで大蛇乃舞を舞ってみました。
中身が51過ぎのオッサンであることを考えると、和の身体操作の素晴らしさが実感できるかと思います。秘密は、「手の指の使い方」にあります。手の指の状態と脊柱の状態のつながりについての知識があれば、この動画のような動きも楽々できるようになります。和の身体操作の練習は地味なので注目はされませんが、練習する価値はじゅうぶんにあると思います。

明日は、基本の基本をみっちりやりたいと思います。




2019年12月24日火曜日

歩行を劇的に改善する「男すべり・すり足」

今日のKANON塾生講座で、これやりました。



オンライン講座に、解説動画をアップしております。

オンライン講座限定公開動画

クリスマスイブなので、こちらもどうぞ。


いい声w

2019年12月23日月曜日

自分がいちばんになりたい人は、自分で自分を認めることができない人。不毛です。

自分がいちばんになりたい人は、自分で自分を認めることができない人だという説があります。自分で自分を愛することができないから、自分で自分を尊敬することができないから、他人を使って認められることで代償しようとするという考え方です。自分以外の誰かと自分を比較して自分のほうが上であれば、自分は価値のある人間だと錯覚できるというわけです。

容姿であったり、体型であったり、特殊能力であったり、稼ぎであったり、人気度であったり、モテ度であったり、パートナーの地位や収入であったり……何で比較するかは人によりますが、比較して一喜一憂している時点でアウトだと思います。「ラグジュアリー(豪華)」とか「マリアージュ(もともとふたつで別々だった存在があたかもひとつの存在のように調和した状態)」とかいう用語を使いたがるときは、だいたい「いちばんになりたい」ときではないかと思います。

自分以外の誰かと自分とを比較した瞬間、「どっちが優れているのか?劣っているのか?」という世界に入ることになります。自分が優れている場合は得意になり、劣っている場合は自己無価値感に苛まれることになります。優れていると得意になってみたところで、他の誰かより劣っているときには嫉妬とともに自己無価値感情に悩まされることになります。

問題が大きくなるのは、自分以外の誰かから特別扱いされることで自分に価値を感じようとする場合です。自分以外の誰かの基準で高く評価されることで価値があると思いこもうとするということは、高く評価してもらえなければ自分の価値は低いのだと思っているということの裏返しであり、それは単に、自分に自信がもてていないということでしかありません。

成功している人と一緒にいることで、自分も強くなれたような気になって、実際にドヤってしまうような行動でしかありません。「~認定」という言葉が踊っている人を観察すれば秒でわかりますが、虎の威を借りたところで(ほんとに虎なのかどうかがすでに怪しいわけですが)、自分に自信をもつことなどできはしません。強者の後ろ盾があるときだけ強い態度をとる人をオチすれば、他人の行動次第で自分の気分が浮き沈みしていることがすぐにわかると思います。

極々当たり前の話ですが、自分以外の誰かの反応を支配することはできません。自分以外の誰かを思い通りに動かすことはできないのです。

自分以外の誰かを見下すことで優位に立とうとする人を観てみれば、特別扱いされたていないと、自分に価値があると思えていないのがリアルに実感できるはずです。

自信がある人は、自分以外の誰かを敵視したり利用したりする必要がありません。相手に対する尊敬の念で行動できます。口で「あなたを尊敬しています」という人は、だいたいまったく尊敬などしてはいません。自分のことを尊敬できる人は、極々自然に相手のことも尊敬してしまうし、自分のことを大好きな人は、極々自然に相手のことを好きになれます。わざわざ尊敬していますとか、好きですとか表明してしまう時点で、自分で自分のことを尊敬もしてなければ好きでもないのだということになります。

特別扱いを求め、自分以外の誰かを見下してしまうとき、それは自信がない自分を虚勢を張ることで保とうとしているときだといえるのかもしれません。本来の自分ではない何らかの鎧(よろい)で生きていこうとするわけですから、決して満たされることはありません。日々、嫉妬と怒りの中で自己無価値感に悩みながら生きていくことになります。

不毛です。

嫉妬のあまり、耳はなくなり、口は耳まで裂け、舌が覗き、牙も長く、髪もほとんどなくなる……真蛇と化していきます。


般若の髪は乱れていますが、長いまま残っています。口は裂けてはいますが口紅が残っています。耳が残っているので、他者の話を聞くことができます。その内容を理解することもできます。ですが、真蛇と化すにつれ、他者の話を聴くことはできなくなります。嫉妬が怨念となってしまうからです。

自分を自分で認めることができないと、人は真蛇と化してしまいます。リアルに、上の真蛇画像みたいになってしまうのです。

恵比寿の舞は、自分で自分を認める舞だなと、いつも思います。

オンライン講座に、続きを書こうと思います。

2019年12月20日金曜日

日常動作の中で和の身体操作を意識すると、人生がうまくまわるようになりやすい理由。

日常生活の動作の中でこそ、和の身体操作が活きてきます。
■歩行時、女性は少し小股にしてみる。男性は外足で歩く。
■立つときは女性は片足を少し引いて、内足で立つ。男性は外足か大外足で立つ。
■イスに座ったときはひざをつけ、片足を引く。
※立っているときも、座っているときも、腰を伸ばして肩の力を抜き、首すじを伸ばす。立って写真を撮るときは、出した足の側の肩を下げる。
■物をとるときは、指をそろえて踊りの手で静かにとる。
続けてみるとわかりますが、自然と動作が美しくなっていきます。

基礎を固めた「正しく動ける身体」で生きていくことが大切だと思います。私たちは、考えるのも動くのも「脳」を使っています。正しく考えるためには、日常動作を正しくしておく必要があります。成長する脳~強まる神経接続もあれば、逆に衰え、廃れてしまう神経接続もある。の記事でも書きましたが、使わない神経接続は衰え、使っている神経接続は強くなるのです。


脳と眼球
日常の動作は、ニューロンのネットワークの生存競争と考えてもいいかもしれません。正しい姿勢で正しい動きをしていないと、認知が歪んで思考がおかしくなると、私は考えています。一度勝ち残った神経接続を、新たな神経接続につなぎかえるのは困難を極めると思います。一度身についた間違った動かし方やイラショナルビリーフ(受け止め方に含まれている非論理的な信念)を正すのは、容易なことではないのです。

「事実に基づいていない」「柔軟的ではない」「論理的ではない 」「証明できない 」「しあせな結果をもたらさない」……非合理的な信念に支配されているとき、その身体の動きもまた非合理的なのは、一見してわかると思います。

エリス先生によると、「外的な刺激があって、その刺激によって不合理な信念が生まれると、不適切な感情や行動となってしまう」ということだそうです。これは、不適切な感情や行動がもたらす「現実的な結果」が新たな外的刺激となって、不合理な信念が強化されやすいということでもあると、私は考えています。

「努力しなくていい」「サクッと~」「頑張らなくていい」という考え方もまた、「他人のレベルに追いつけないなら努力を放棄した方が良い」という非合理的な信念がもたらすものです。エコーチェンバー現象によって、閉鎖的空間内でのコミュニケーションを繰り返すことよって、特定の信念が増幅または強化されるようになった現代、自分の声が増幅・強化されて返ってきて、その自分の声がどこまでも響き続けるという状態になりやすくなっています。外から見た場合にどんなにおかしいことでも、それが正しいことだと閉鎖的コミュニティのみんなが信じてしまうということです。

脳の神経接続を正しくつなぎ変えていくためには、正しい動きについて学び、日常動作の間違いをなくしていくことが肝要です。習慣化した不適切反応を消去するためには、気が遠くなるような正しい動作の反復訓練が必要だと思います。そしてまた、正しい動きをしている人と一緒に同じ時間を過ごすようにして、ミラーニューロン的にも良い影響を受ける必要があります。

誤学習してしまった不適切反応を変えようとすると、これまで形成されてきた神経接続が全力で抵抗することになります。「わからない」「話を聞きたくない」「やらない」……ありとあらゆる受けいれ拒否の態度をもって、正しい神経接続の構築の妨害に血道をあげることになるかもしれません。そのくらい、生存競争に打ち勝ってきた神経接続の力は強力なのです。

仕事として身体操作技法の指導を考えてみた場合、指導者の仕事は「正しい姿勢と動きについて解説すること」「モデルを見せること」だけです。そこから先は、当事者が取り組むべき問題となります。どんなに優れた先人の知恵も、受けいれる気持ちがなければ何の効能も生み出しはしません。だからこそ、日常動作の中で和の身体操作を意識し、「正しく動ける身体の基礎」を固めていく必要があると、私は思うのです。

明日の神戸集中講座では、日常動作の中で和の身体操作を意識するための基本をしっかりと解説したいと思います。

2019年12月19日木曜日

「すり足」を中心にすえた「和の身体操作関西版」の配布資料を鋭意製作中です。

先日の東京集中講座で配布した「和の身体操作」の資料を、神戸集中講座大阪集中講座向けにつくり直しています。毎回のことですが、同じ内容の集中講座を重ねるたびに資料が研磨されていきます。何が重要なのかは、現場で解説し、動いていく中ではじめてわかってきます。年末集中講座年始集中講座に向け、さらに磨きをかけていきたいと思います。

これまで、さまざまな内容の講座をひらいてきましたが、内容的には現在の「和の身体操作」が最良であると感じています。日本の伝統的な身体の使い方の素晴らしさを再認識させていただいております。よく言われていることですが、すり足を中心にすえた和の動きの稽古は、コアの活性化を促します。洗練された動きと呼吸は、安定した姿勢と明るくて前向きな考え方を生みだしてくれます。

塾生講座や一般向けレッスンでも、和の身体操作の一部を解説しています。見た目の地味さとは裏腹に、深層まで鍛えられるその効果を実感してもらえています。自己承認欲求が強い人は地味な動きを馬鹿にしがちですが、本当に見てもらえるのは地味な動きの中に煌めく珠玉のような美しい所作なのです。派手な動きは、一瞬の注目を浴びることはできますが、すぐに飽きられてしまいます。

普段の身体の使い方が考え方をつくっていきます。よりよい身体操作を学んでもらうべく、「和の身体操作」の配布資料の内容を研磨したいと思います。

2019年12月18日水曜日

運はうつります。運のよい人と一緒に同じ時間を過ごしましょう。

不運な人と一緒に同じ時間を過ごすと、自分も不運になりやすくなります。どういうことなのでしょうか? 不運な人のライフスタイル(生き方の脚本)に感染してしまうからです。 
不運な人の典型的ライフスタイルは「不満分子の世界観」。不平不満とクレーム・文句に時間を費やしています。現代のSNSでは、「エコーチェンバー現象」が起きやすくなっています。同じ志向を持つ人同士が情報交換するために「自分達が正しく、他人は愚かで間違っている」と狂信的になる現象です。タイムラインは誤った情報で埋め尽くされ、修正の機会がないため、それが常識となってしまいます。
初期症状として、真面目に生きている人たちのことを「愚民」「バカ」「大衆」などと、上から目線で見下します。劣等感の裏返しなのが、すぐにわかります。ラグジュアリー(豪華さ)を前面に打ち出しているのも、わかりやすい特徴です。すべてがハリボテ以下の仕上がりとなっています。
ここで、運がよくなる人のライフスタイルを見てみましょう。まずは何より、毎日積み重ね積み上げられていく地道な稽古が特徴です。その上で、その遥か上をいく稽古を積んでいる師と共に同じ時間を過ごしています。考え方や行動をフルトレースします。言うまでもありませんが、何かを最短で身につけたいならフルトレースがいちばんです。
この現実世界は「我」を嫌います。そして、「型」を好みます。型をなぞることこそ、運をよくするボトムラインだといえます。不運な人ほど型を嫌い、我を出したがります。
結果、不運な人の顔は、眼をカッと見開いた、頬が歪んで口が裂けた顔になります。一方、運がよい人の顔は、恵比寿顔になります。
面の特徴を覚えておけば、誰と一緒に同じ時間を過ごすとよいかは秒でわかると思います。
タイミングよく、3月22日に鹿児島県の笠沙恵比寿で恵比寿舞を舞うことになりました。福運溢れる舞を納めたいと思います。

2019年12月17日火曜日

「すり足」を練ることで、通常の歩行が変わります。

先日の東京で、「すり足」をやりました。
地味過ぎて、まったく再生数が伸びていませんが、ある意味もっとも大切な動きだと言えます。以前、かなりブームになったので、ご存知の方も多いかと思います。

→ 大腰筋に効く「すり足」

要は、「かかとを床から離さない」のですが、これがなかなか難しいのです。10年くらい練習すると、なんとなくわかってくるかと思います。ひざを軽く曲げた姿勢を保ち、支脚にやや重心をかけ足趾で床をしっかりつかみます(舞の足)。そして反対側の脚で床を擦るように一歩前に出します。浮いてないので歩行分析でいうところの「遊脚」ではなくなるのが面白いところだと思います。頭は決して上下しません。「出て行く足に体が乗っかるように全体的に動くこと。腰は安定させて、足裏を見せないようにじっくりと歩くこと」という口伝があります。

すり足をじっくり練習してから通常の歩き方で歩くと、歩行が変わります。何がどう変わるかは、実際に体験するしかないと思います。

今月の残りも引き続き、和の身体操作の解説をしていきます。

2019年12月16日月曜日

成長する脳~強まる神経接続もあれば、逆に衰え、廃れてしまう神経接続もある。

ナショナルグラフィック「脳の謎」32Pより。
妊娠8ヶ月ほどを経た胎児の脳は、重さ約0.45kgと、成人の3分の1程度しかないが、ニューロンの数は2倍に達する。もっとも、脳にはすべての神経接続で生じる生化学反応を維持するほどの能力はないので、いちばん弱いニューロンから先に死んでいく。胎児の発達の最終段階で、すべてのニューロンのおよそ半分が死ぬ計算になる。
母親の胎内から産み落とされるとともに、脳の発達はさらに進み、新しい経験……
光景、音、におい、行動、感情……に対する反応を処理できるようになってゆく。さまざまな環境刺激によって強まる神経接続もあれば、逆に衰え、廃れてしまう神経接続もある。ニューロンのネットワークは互いに生存をかけて競い合っているといっても過言ではない。
引用ここまで

現在の自分の考え方というものは、これまでの人生において生き残ってきた神経接続の結果なのだと、私は考えております。おかしな考え方をしてしまうのは、おかしな考え方をする神経接続が生き残ってきたからだと推測しています。
ついでに言えば、41Pの「偽りの記憶をこしらえてしまうことは健常者でも珍しくない。人間の記憶は実際にしてきたことの総和であるばかりではなく、これまで考えてきたこと、今現在信じていることの総和である(ロフタス)」ということでもあります。

これはある意味恐ろしいことで、実際にしてきたことと考えてきたこと・信じていることで、これからの人生を決めていく記憶がつくられ、それを元に行動していくわけで、おかしな人はますますおかしくなっていくということになります。
これはつまり、これまで「正しい運動をしてこなかった人ほど、間違った運動を正しいと感じる神経接続を生き残らせてしまっている」ということです。それゆえに、感覚も含め、新しく正しい運動をするための神経接続をつくっていくのは困難を極めてしまいます。一方、すでに正しい運動をする神経接続をつくっている人は、さまざまなパターンの運動を次々にマスターしていけます。差はひろがるばかりなのです。

「相手の動きを脳内でコピーする神経接続」がつくれていない人は、「相手の感情を理解することができない」という事態に陥ってしまいます。ミラーニューロンは運動神経であり、正しい運動ができないということは、空気を読むことができないということでもあります。
舞の世界では、「役を舞う」というのが基本となります。自分以外の何者かになりきって動くことで、その役の視座をもつことができるということです。この理由で、人生がうまくいっていない人が舞を始めると、いろんなことがうまくいくようになりやすいのです。原則として、やりたい役ではなく「いまの自分に欠けている役」を舞わねばなりません。

正しく動けない状態で選ぶセミナーやセッションは、だいたいハズレです。正しく動けない状態のときに熱狂してしまうような対象は、だいたい有害無益です。認知的不協和がはたらいてしまうので、「すべて意味がある」とか「すべて喜び」とか「すべてに感謝」とかやらかしがちですが、それこそこれまでに生き残ってきた神経接続が生み出した幻想でしかないのです。

正しい運動ができるようになるには、正しい運動を繰り返す必要があります。それは、これまで間違った運動をしてきた人にとっては、気に入らない感覚だったりします。神経接続を変えるのを、神経そのものが拒絶するのではないかと推測しています。
これは、正しい運動を教えている講座が注目されず、間違ったを教えている講座ほど注目されやすいことにつながっているような気がします。つまり、間違った運動をする神経接続が、新たに正しい運動をする神経接続をつくるのを妨害しているという仮説です。神経接続の生存競争で、間違った運動をする神経接続が勝ち続けた結果が、本体の破壊ということなのではないかと思います。

このあたりのお話を、今年の残りの講座でしていこうと考えております。

2019年12月12日木曜日

肩をゆっくりやわらかく下げる(首すじを伸ばす)という基本。美しい動きをする人は、うなじが美しい。

肩甲骨の下方回旋
安部塾では、肩を上げないように指導をしています。感覚的には「肩を落とす」というイメージです。身体の動きが悪い人に共通しているのが、肩をはやくかたく下げようとする点です。一方、身体の動きがいい人は、肩をゆっくりやわらかく下げます。いちばん違いが出るのは、振り返り動作のときの美しさです。

肩を下げるときは、肩を下げようとするより、肩を上げようとする無駄な力を抜くイメージをした方が楽だと思います。肩を下げる筋肉は小胸筋と僧帽筋下部繊維を意識します。

肩を下げる筋肉のイメージ
首すじを伸ばす動きを加えることが大切です(下図の手をふれているあたり)。

喜多川歌麿「うなじに粉をはたく女性」
こんな感じになるかと思います。

上村松園先生の絵画

伊東 深水先生の美人画
興味がある方は、「美人画」で画像検索してみてください。

12月13・14・15日の東京集中講座では、かなりの時間を「首すじを伸ばす」「肩を下げる」の解説に費やす予定です。基本中の基本ですので、みっちりやりたいと思います。

2019年12月11日水曜日

身体操作の極意『胸を動かして、心棒を使う』

しん‐ぼう【心棒】
1 車輪・こまなど、回転する物の中心となる棒。回転軸。心木(しんぎ)。
2 物の中心に入れて、支えなどする棒。
3 集団やその活動の中心になるもの。「一家の心棒となって働く」
引用ここまで


胸の動き
武術や舞術では、「胸を動かして、心棒を使いなさい」という極意を教わります。最近はガチ甲冑合戦がブームなので、胸の動かし方について解説してくれる先生が増えてきました。甲冑をつけると手足の動きが制限されるので、胸を動かして心棒を使わざるを得ないという方が、感覚的に正解のような気がいたします。甲冑をつけて戦う人たちが猫っぽい動きになってしまう理由は、胸を動かすからではないかと思います。

こちらもどうぞ→ 甲冑武者がガチな組討を再現…?「ガチ甲冑合戦の本」がスゴいらしい #ガチ甲冑合戦 #日本甲冑合戦之会

いわゆるキャットポーズや胸郭のフィギュア8の動きが重視される理由を考えてみたら、胸の動かし方を学んだ方がいい理由がわかると思います。

このあたりのお話は、12月14日(土)の東京集中講座の「武術講座」「和の身体操作」「舞講座」で解説いたします。



2019年12月9日月曜日

お辞儀~和の身体操作の基本。立礼と坐礼。美しい動きは、正しい姿勢を崩さずに「立つ」「座る」ことが基本になります。

昨日の下関集中講座で、和の身体操作技法の解説をしました。

お辞儀の基本の解説をした後、お辞儀バトルをしてみました。


落ち着いて、正しい姿勢を崩さずに「立つ」「座る」ことが、美しい動きの基本となります。お辞儀の基本は、「相手を見ること」です。相手を見てから吐く息で上体をさげ、吸う息で上体を起こしてから相手を見ます。そうすると、立ってお辞儀して、座ってお辞儀して、立ってお辞儀しただけの動画でも、絵になってしまいます。

和の動きができると、現実世界でのメリットが多々あります。地味過ぎて、なかなかその価値を認識してもらえませんが、今月から少しずつお伝えしていきたいと考えております。

12月13・14・15日(金・土・日)の東京集中講座に向け、和の身体操作のレジュメをつくり直すことにしました。美しい動きを身につけれるようにまとめたいと思います。

2019年12月7日土曜日

和の身体操作が効果絶大なので、来週、新しいマニュアルをつくり直すことにしました~動きのすべてを舞化します。

今日は、新宮校で和の身体操作技法の講座を開催しました。いつもの安部塾で教えている内容とはまるで違う技術体系です。

はじめに、ごく当たり前の動作である「正しい姿勢で立つ」「お辞儀する」「座る」「座ってお辞儀する」「立ちあがる」などを、丁寧に修正をいれながら解説していきました。そこから、「足の運び(すり足)」「松歩き」「東歩き」「京歩き」「やまと歩き」。そして、上半身の動きを教えました。新宮校の集中講座では、講座に集中してもらうために「筆記「撮影」ともに禁じておりますので記録はありませんが、これまでの私の講座の中でも最高クラスの内容であったと思います。日本の伝統文化の中で継承されてきた和の舞の動きの奥深さを、私自らが再認識させられました。

解説していく中で、作成した配布資料のつくり直しの必要性を感じましたので、明日の下関集中講座のときに細かな問題点を点検して、12月13・14・15日の東京集中講座の配布資料をつくり直そうと思います。主な改善点は、「基本の基本を徹底すること」です。私はすぐに枝葉末節の解説を始めてしまいますので、幹や根となる部分の解説に注力する方向に軌道修正することにしました。

テーマは、「動きのすべてを舞化(まいか)する」です。


さて、「怖くない」……この破壊力こそ、日本の伝統文化の結晶化だと思います。

https://twitter.com/papiko5656/status/1202858687116664832?s=20



最高です。現場でも観ると、ほんとにすごそうです。


話を戻して、明日の下関では「何を優先して教えるべきか?」ということを課題にしたいと思います。今日以上の良い内容をお伝えできたらと思います。

2020年を舞の1年とするために、やれることはすべてやっていくことにしました。できうる限りの最大限の努力をしない者に、天は味方をしてくれはしません。舞いを好きになってくれそうな人たちに刺さる活動を展開していきたいと思います。

2019年12月6日金曜日

「荒削りでもチャレンジして、自分の才能や個性を発掘してくれる人の目に付くこと」『自分を好きになってくれそうな人に刺さる工夫』

しらたま。@フリーライターさまのTweetより。




ほんとにそうだと思います。自分を好きになってくれる人に刺さればいいのです。沢山の人たちから高評価を受ける必要はありません。

カモシカ(シカさんて呼んで)のTweetより



えびさんのTweetより



薬院校時代の安部塾にも、界隈的な人たちがいました。新宮校に移るときに、界隈絡みの人たちとは、自然に縁が切れました。私の仕事も、一歩間違えば界隈の闇に堕ちてしまいますので、そうならぬよう親しい人たちの忠言をいただきながら改善を続けていきたいと考えています。

2019年12月5日木曜日

頭・首・あごの動きの基本の手描き資料はこんな感じです。

12月7日(土)の新宮校集中講座の手描き配布資料の一部です。文章による具体的な解説資料と合わせて講座を受けることで理解が深まるように工夫しました(文章版はすでに安部塾オンライン講座で公開しています)。

頭・首・あごの動き

③に「廻す」がありますが、安部塾では普通にぐるぐる廻すのは禁止しております。具体的な廻し方は当日解説します。

手描き資料も、描き終わり次第、安部塾オンライン講座で公開する予定です。12月の各地の集中講座でも使います。

基本となる動きを丁寧に練習することで、全体の動きが飛躍的によくなります。

2019年12月2日月曜日

身体操作マニュアル(手描き)をつくります

今月の和の身体操作の解説のため、手描きの身体操作マニュアルをつくることにしました。描き方をいろいろ考え中です。
身体操作マニュアル 表示例
ついつい、あれもこれもと盛りこみすぎてしまいがちなので、シンプルさを重視したいと考えています。文章版は、予習用に安部塾オンライン講座にアップしました。講座当日、持参してもらう予定です。これから描くマニュアルは、当日配布の予定です。和の身体操作は地味なので、なかなか興味をもってもらえませんが、コツコツやっていこうと思います。

和の身体操作の理解を深めるため、求菩提資料館と装飾古墳館に行ってきました。

求菩提資料館

装飾古墳館
求菩提資料館では、中世以降の神楽の変遷や動きなどを学びました。古墳館では、古代に使われていた道具や装飾品をじっくり観察してきました。多くの知見が得られたので、集中講座で出力していきたいと思います。手描きマニュアルの作成に、魂がはいります。7日の公開をお楽しみに。