斜角筋 |
■斜角筋
前斜角筋の起始:頚椎3~6番横突起の前結節/前斜角筋の停止:第1肋骨の上内側面
中斜角筋の起始:頚椎2~7番横突起の後結節/前斜角筋の停止:第1肋骨の上外側面
後斜角筋の起始:頚椎5~7番横突起の後結節/前斜角筋の停止:第2肋骨の側面
『作用』
●頭部と頚部の屈曲(両側の活動):前斜角筋、中斜角筋のみ
●頭部と頚部の側屈(片側の活動)
●頭部と頚部の反対側への回旋(片側の活動):前斜角筋のみ
●強制呼気運動時の第1・2肋骨の挙上
斜角筋は前斜角筋・中斜角筋・後斜角筋の3つの部位で構成され、頚部の外側に位置しています。上部僧帽筋の前縁と胸鎖乳突筋の後縁の間に、斜角筋への「窓」があります。これらの大筋群は、すべて共動して頚部を側屈し、また頭部および頚部を安定させます。さらに、鎖骨下動脈や腕神経叢のような深層構造を覆う防護マントとなります。
斜角筋は、第2肋骨の外側、第1肋骨の前方外側に枝分かれして付着します。この停止部のばらつきにより、前斜角筋は頭部、頚部を屈曲、回旋させ、他の斜角筋は側屈させます。
頭部と頚部が固定されているとき、斜角筋は吸気運動で第1肋骨と第2肋骨を挙上させます。この挙上は胸郭の空間を増大させ、肺により多くの空気を流入させます。これはしばしば強制呼気時に生じます。横隔膜は通常のリラックスした呼吸時に関与します。強制呼吸は高強度運動時や喘息のような肺疾患でよく見られます。
吸気筋群 |
斜角筋の過剰な拘縮、筋肥大(使い過ぎによる)、外傷、構造不良は、腕神経叢や鎖骨下動脈のように保護されている構造の圧迫を生み出します。この一般的な疾患は胸郭出口症候群と呼ばれます。
※参考文献 「ヴィジュアル機能解剖 南江堂」
※胸郭出口症候群は神経障害と血流障害に基づく上肢痛、上肢のしびれ、頚肩腕痛(けいけんわんつう)を生じる疾患のひとつ。