2025年11月16日日曜日

軟口蓋と姿勢

 軟口蓋の位置は、主に舌の位置や頭部の姿勢と密接に関連しており、それが呼吸や嚥下(えんげ:飲み込み)、ひいては全身の姿勢にも影響を与えることが示されています。
​1. 軟口蓋と舌の位置、気道の確保
​■悪い姿勢と低位舌
 猫背や頭が前に出る「顎を突き出した」姿勢(前方頭位)は、重力に負けて舌を支える筋肉が衰えやすくなり、舌の位置が下がる「低位舌(ていいぜつ)」を引き起こします。
​■気道の狭窄
 低位舌になると、舌や軟口蓋、口蓋扁桃の位置も下がり、気道(空気の通り道)が狭くなります。
​■口呼吸
 気道を確保しようとして、口を開けて呼吸する「口呼吸」になりやすくなります。
​■睡眠時無呼吸症候群
 舌骨上筋群の過緊張などにより、舌骨が後方に引っ張られ気道が狭くなると、特に仰向けで寝ている時に舌や軟口蓋が気道を閉塞しやすくなり、睡眠時無呼吸症候群と関連するとされています。

​2. 姿勢が嚥下(飲み込み)に与える影響
​■正しい姿勢
 軽くあごを引いた「うなずき姿勢(chin tuck position)」は、咽頭(のど)の短縮がしやすくなり、軟口蓋を動かす筋肉(口蓋帆挙筋など)が効率的に働いて嚥下がスムーズになることが指摘されています。
​■悪い姿勢
 猫背など座っている姿勢が悪いと、嚥下がスムーズにいかなくなることがあります。

​3. 姿勢が発声に与える影響
​■猫背と発声
 猫背は空気の通りを悪くし、声を出しづらくさせることがあります。
​■喉の開き
 喉を開くためには、軟口蓋を引き上げる動作も重要であり、正しい姿勢を意識することが、喉周辺の緊張をほぐし、声の響きや通りを向上させるのに役立ちます。

​ 正しい姿勢(特に頭位と頸椎の安定)を保つことは、軟口蓋を含む口周辺の筋肉の適切な機能と位置関係を維持し、呼吸と嚥下をスムーズに行うために非常に重要であると言えます。

 軟口蓋(なんこうがい)を意識したトレーニングは、主に発声(歌や話し声)の改善や嚥下(飲み込み)機能の維持・向上を目的として行われます。

​ 軟口蓋を「上げる」ことは、口の中の空間を広げ、声を響かせる共鳴腔を確保したり、食べ物が鼻に逆流するのを防いだりするために重要です。