2024年1月21日日曜日

欲求不満と恨みを抱いている人だけが、他人をこき下ろしたり、他人の失敗に満足を見出すことで、自分を優位な場所に置こうとする。幸福な人ほど優れた他者と自己を比較しない。

 自分のことが一番正しいと思っていて、周囲で自分と違う意見の人がいると、「あなたは間違っている」と否定的な態度をとる人は緊張が高くなります。何が正しいかという基準は、その人によって違います。自分の意見を正当化する人は、「面倒な人」と分類されます。

 「正しさをゴリ押しする人」に……
 落ち度があるかに見える人物を批判する人、何らかのクレームをつける人の中には、ほんとうに正しいことを主張している「正義の人」ばかりでなく、日頃の鬱憤を晴らすかのように人を攻撃する「危ない人」も含まれているのでないかと思わざるを得ない。

 他の視点からの理屈を想像できない、熟慮しないから自信満々になれる、認知的複雑性が乏しい、価値観の違いを容認できない、感情コントロールがうまくできない

 人のことを妬ましく思う心理からもっと進んで、人の幸せが許せず他人の不幸を喜ぶ、「シャーデンフロイデ」という心理が人間にはあるという。
……と、あります。
正しさをゴリ押しする人 (角川新書) 榎本 博明 (著)

 シャーデンフロイデとは、他者が不幸、悲しみ、苦しみ、失敗に見舞われたと見聞きした時に生じる、喜び、嬉しさといった快い感情。「他人の不幸を見て楽しんだり喜んだりすること」である「幸災樂禍」。

「シャーデンフロイデを感じたからといって悪人というわけではありません。多くの人が、不安、生い立ち、気質などさまざまな要因でこの感情を抱きます。自尊心の低さや自信のなさに苦しむ人たちが抱きやすい感情で、うらやみや嫉妬から生じている可能性がある」Leela R. Magavi

「落ち込んでいたり欠乏感に苛まれたりすると、他人の成功が受け入れられなくなります。自分と比較してさらに気分が落ち込んでしまうからです。不幸は道連れを欲しがるはある意味で真実です。抑うつ状態の人がシャーデンフロイデの感情を抱くと、交友関係を損なうおそれがあります」Catherine Chambliss

「そのまったく逆で、それは人の恨みの感情の証しであり、人の弱さや虚無感の証しなのです。欲求不満と恨みを抱いている人だけが、他人をこき下ろしたり、他人の失敗に満足を見出すことで、自分を優位な場所に置こうとするのだ」Friedrich Wilhelm Nietzsche

シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感 (幻冬舎新書) 中野 信子 (著)

 「他人を引きずり下ろしたときに生まれる快感「シャーデンフロイデ」。なぜ、「妬み」という感情を他人に覚え、その不幸を喜ぶのか。現代社会が抱える病理の象徴の正体を解き明かす。」という要約がされています。

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 シャーデンフロイデの生起過程と関連要因に関する研究では、劣等感、妬み、憤慨が重要な先行要因であることと、そのとき自己高揚動機と正義動機が関与することを明らかにしてきた。まず、劣等感と妬みに関する初期の研究は、自己高揚動機に注目し、自分より優越な人を見ることが上方比較による劣等感を生じさせるが、これは苦痛を伴う感情であるため、ターゲット人物に対する攻撃感情(妬み、憤慨)とともに自分自身を肯定的に評価したい動機である「自己高揚動機」を増加させることを示した。自分よりも優れた他者が不幸に見舞われると、一時的に自分自身の状況がその人の状況より良好なものに思われ、自己高揚動機が充足されることになる。このような過程によって生じたポジティブ感情がシャーデンフロイデであると主張されてきたのである。

 一方、シャーデンフロイデの生起要因として妬みと憤慨に着目した先行研究では「正義動機」の役割を重視する。なぜなら妬みと憤慨は、単に他者が自分より優れているということだけではなく、それが理不尽で、不当だと思うことで生じる攻撃感情だからである。不当に成功を手に入れた人が不幸に見舞われた場合、正義が回復されたという認知を生み、正義動機を充足させることができる。そのとき生じたポジティブ感情がシャーデンフロイデだとみなされているのである。

 劣等感のような感情は、その攻撃感情を増加させることでシャーデンフロイデに間接的な影響を与えると仮定した。また、幸福な人ほど優れた他者と自己を比較しないため、幸福感が高ければ、劣等感、攻撃感情(妬み、憤慨)が抑制され、結果的にシャーデンフロイデも生起しにくくなると仮定した。

引用ここまで

「幸福な人ほど優れた他者と自己を比較しないため、幸福感が高ければ、劣等感、攻撃感情(妬み、憤慨)が抑制され、結果的にシャーデンフロイデも生起しにくくなる」

 幸福感、高めないとですね。