ティーチングピラティス(NAP)65-66Pより引用いたします。
肩の痛みと損傷
肩の痛みのほとんどは軟部組織に由来する。とくに若い人やより活発な生活を送っている人では、回旋筋腱板炎と回旋筋腱板断裂、隣接している肩峰突起の骨棘、肩関節の不安定性が痛みの原因となることが多い。
繰り返す回旋筋腱板断裂は、最終的には肩関節症につながる。痛みは肩全体に感じられることがある。さらにその痛みは、上肢を挙げて何かを行ったときや、障害された側の上肢を下にして寝ると悪化する。断裂の範囲が広い場合、筋疲労と筋の弱化が関連していると考えられる。
石灰沈着性腱板炎は、腱板内に石灰化した沈着物が生じる回旋筋腱板炎、腱板断裂の1つの形態である。
慢性肩関節障害
慢性肩関節障害は、インピンジメント症候群を含み、水泳や投球動作のある競技、ラケットを使う競技の選手によく起こる。インピンジメント症候群は、肩峰突起と上腕骨頭の間で回旋筋腱板と肩峰下滑液包の軟部組織が繰り返し衝突することにより、回旋筋腱板損傷と肩峰下滑液包炎が発生し慢性的になるものである。
肩関節周囲炎は、関節包が癒着し、中年期や糖尿病患者に生じることが多いが、単独で生じることは少ない。これは癒着性関節包炎の一形態で、骨折や脱臼によりスリングで固定された場合など、長期にわたる固定が必要とされたときに、しばしば肩や周辺の痛みとして起こる。滑膜炎などを伴う急性炎症があることもある。
痛みは夜間に増す傾向があり、筋の疲労を伴う進行性の可動制限が生じることもある。肩の痛みは、肩鎖関節に限局する場合があるが、同様に関節炎や捻挫になりやすい。
線維筋痛症
線維筋痛症は原因不明で、肩関節周囲の広範囲の筋骨格系の痛みと、強い圧痛を生じる。全身の検査によっても、こわばりや睡眠の質の悪さ、うつや他の身体的要因はあっても、明らかな原因は見つからない。圧痛点を圧迫すると、急性疼痛と苦痛を生じさせる。頭痛やめまい、知覚異常について検査を行っても、重要なことは明らかにならないことが多い。
共通する特徴は、感情的、身体的なストレスにより悪化する痛みである。すでに検査を行っているであろうパニック発作、心配、うつ、および集中力不足だけでなく、慢性的な疲労や偏頭痛や頭痛、過敏性の膀胱疾患や腸疾患を伴う可能性がある。
頭部を前方に突出させた可動性のある、もしくは不動性脊柱後彎症や脊柱側彎症の姿勢がみられることがある。
運動指導における要点
■姿勢と肩甲帯のアライメントと安定性をはかる。とくに上肢の動きの前に改善をはかり安定させる
■腰椎や胸椎を含む脊柱全体の可動性を改善させる。
■肩の機能の完全な回復には、最長で2年を要する可能性があることを理解しておく。
引用ここまで
昨日の記事で、頭と首について引用しましたが、首の過緊張は肩の不具合も誘発します。姿勢と肩甲帯のアライメントと安定性をはかり、腰椎や胸椎を含む脊柱全体の可動性を改善させるためには、ネックフリーである必要があります。肩にばかり意識が向きがちですが、「なぜ肩がそんなことになったのか?」を考えれば、姿勢の改善から始めなくてはならないのは秒でわかると思います。
2月の各地のワークショップは、ネックフリーをテーマに解説いたします。