肩甲舌骨筋 |
■肩甲舌骨筋
起始:肩甲骨の上縁
停止:舌骨体
作用
①舌骨を押し下げる(固定する)。
②咽頭と舌骨を押し下げる(発声と嚥下の最終相)。
③中間腱で頸筋膜を緊張させ、内頸静脈の開存を維持する。
肩甲舌骨筋は頸部の筋膜を緊張させ、深い吸気作用の間、首部がしぼむのを防ぎます。肩甲舌骨筋の収縮は、深い吸気の間、首の大きな血管ならびに肺の先端が、圧縮されのを防ぎます。
肩甲舌骨筋 |
図を見れば一目瞭然ですが、肩甲舌骨筋は舌骨を起始とし、胸鎖乳突筋・前中後斜角筋を通り肩甲骨に付着する2つの筋腹をもつ二腹筋です。二腹筋には、眼球の上斜筋、顎の顎二腹筋もあり、自由な動きに欠かせない機能があります。
顎二腹筋 |
肩甲舌骨筋が過緊張して硬くなると、発声に問題が生じます。肩甲舌骨筋が浮き上がるほど硬く過緊張させている人は、喉詰め発声や過緊張性発声をします。甲状軟骨が頚椎方向ならびに下方に圧着させられてしまうためです。
喉詰め発声では、喉周辺の筋肉が過緊張状態に陥っているために声の自由が奪われてしまします。喉頭の位置を上げることによって口内空間を狭くすることで、疑似的に高音を出そうとするため、喉が上がって声門閉鎖が強くなります。
機能性発声障害(痙攣性発声障害や過緊張性発声障害など)は、舌の力みによって本来の発声の生理的機能が崩壊して、二次的な発声回路が出来てしまった状態です。舌が力んでいる発声することで、連鎖的に軟口蓋(のどちんこ)も力みます。軟口蓋が力んだ状態で無理やり発声すると、良い声は出ません。
そして、喉頭の位置や下の動きに関連する下顎の力み(肩甲舌骨筋などの過緊張)が問題になります。透明感のないノイジーな声になるため、周りの人に与える印象も悪くなります。
間接的に下顎が下方に下げられるため顎骨位置異常が起き、口呼吸、低位舌、異常嚥下という異常習癖が常態化します。また、顔が長くなってしまいます。口呼吸という異常習癖が常態化することで、口周りの筋肉が緩にで前歯に舌の力がかかり、前歯が前方に押し出されます。顔の筋肉が緩むことで舌根が沈下し気道が塞がれて呼吸が止まります。眠っている間に呼吸が止まるのが、睡眠時無呼吸症候群です。
耳管の開口部が圧迫され開口部が塞がれ、中耳(鼓膜より奥の部分)に溜まった滲出液が排出されなくなることで急性中耳炎や滲出性中耳炎になりやすくなります。
滑走不全に陥っている肩甲舌骨筋をほぐすことで、絞扼感の軽減とともに楽に声が出させるようになり、さまざまな恩恵が得られます。
各地のワークショップで解説します。
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