2023年2月23日木曜日

首を自由にして、頭から動く。部分的に直そうとするのではなく、全身の動的バランスを改善する。

 古典的な誘導の仕方に、「首が自由に、頭が前に上に〜」という文言があります。立位において、抗重力姿勢をとると、立位姿勢の保持のために、抗重力筋群を使います。

 頭にはそれなりの重さ(数Kg)があります。脊柱の上に頭をのせて全身を支えるため、脊柱周りの筋肉を過緊張させてガチガチに固めてしまう人がいます。無理やり良い姿勢をつくっているので、すぐに疲労困憊してしまいます。

 姿勢保持の正解は、脊柱の上で動的にバランスをとることです。しなやかに美しく、重力の変化に対応していくことです。そして、そのためには、首を自由にして、脊柱を長く保つ必要があります。

 動きが破綻し、崩壊している人を観察してみましょう。身体のどこか一部を過剰に意識して、動きの全体性が失われているのがわかると思います。動きが連鎖せずに、どこかで途切れてしまうのです。ガチガチに固めたパーツとパーツの間で身体構造が壊れていきます。負荷が全身に分散してくれずに滞り、特定の部位に集中することになります。

 頭の動きが他の部分の動きと状態を調整しているという初源的調整作用が働いていないということです。

 動きが破綻している人は、「〜を直す」という発想をします。動きが整っている人は、「全体的な動きが改善された結果、〜が直る」という発想をしています。頭と脊柱全体の機能を邪魔しなければ、全体がうまくはたらくことが身体で理解できています。

 身体のバランスをとるための、本来的・生来的メカニズムを使えば、努力せずに立て、動きが流動的になります。頭と脊柱の動的な関係を理解し、初限的調整作用が正常に機能できる状態をつくること=首を自由にすることで、より効率よく身体を使うことができます。

 試しに、首をガチガチに固めて腕を上げてみてください。腕が上がらないだけでなく。呼吸が苦しくなって、脚まで固まってしまうのがわかるはずです。首が固まると。身体全体が固まってしまうのです。

 困ったことに、身体を固めるという行為にはある種の快感が伴うため、なかなか固めるという行為をやめることができない人がいます。力んで動くことで充実感を得ようとするわけですが、その一瞬はよくても、すぐにより厄介な不調に悩まされることになります。

 明日の名古屋ワークショツプ、明後日の神戸ワークショップで、この記事の内容を解説します。

 不調を訴えている人は、どこか特定の一部分の使い方を部分的に修正しようとします。