また、足趾の力は歩行運動だけでなく、走る・跳ぶ・投げるといったさまざまな運動に影響します。足底屈筋群のエクササイズにより重心動揺が減少し、立位が安定します。メカノレセプターに刺激を加え、姿勢制御反応の促通を目的とするエクササイズを行う場合、閉鎖運動連鎖で実施することが多いと思いますが、解放運動連鎖でのエクササイズでも重心動揺が有意に減少します。安部塾では、解放運動連鎖でのエクササイズを実施しています。
足 |
ファッシャルリリーステクニック 医道の日本社 055-056Pより引用します。
下肢関節は、1方向への自由(蝶番運動をつくりだす)と多方向への自由(回旋運動を可能にする)が交互に重なってできている。
足の先であるつま先のさまざまな趾骨の関節はすべて蝶番関節であり、われわれが地面をつかめるようになっている。足の母趾球、5つの中足趾節関節は、つま先と中足骨頭の間で回旋運動が可能となっている。
四角い中足底は蝶番運動のみを行うことができる(非常に小さいが、重要な役割を果たす)。この足の中間部の関節をほとんど動かさずに、強くて高いアーチを持ち、回外した足で歩く人を見てみよう。足部のわずかな弾力性の欠如が、歩行時の腰と背中にどれほどの影響を与えるかがわかるだろう。
足部でその次に重要な働きをしているのが、距骨下関節、または距踵舟関節である。この関節と、その上に位置する脛距関節は、一般的にまとめて足関節と呼ばれる。両方の関節は、関節包靱帯で覆われているため、捻挫して腫れを引き起こすと、両方の関節を動かすことができなくなる。しかし治療を行うという観点から見れば、われわれは距骨の上部の関節と、下部の関節を明確に区別しておかねばならない。
距骨下関節は距骨を足の残りの部分の上で回旋させる。またはその逆、の役割を果たす。つまり、回旋関節である。回旋軸は真っ直ぐではなく、母趾のつま先の根元あたりから、踵の外側あたりに走り、内返しと外返しの軸を形成している。
足関節の上部の脛距関節はより真っ直ぐな蝶番構造となっている。距骨の上部は、ほぞ継ぎ構造(ほぞとほぞ穴を作り、角材同士を接合する方法)になっていて、脛骨と腓骨の底につながり、強力な繊維状の靱帯結合によって「結び付け」られている。この関節は、背屈と底屈だけを可能にする。
引用ここまで
プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論 運動器系 より |
立位姿勢においては、多様なバランス戦略が求められます。足趾を含めた足部全体の柔軟性低下や感覚鈍麻、また過敏性による悪影響で、姿勢の保持が困難になってしまうことがあります。足関節および足趾を含めた足部全体に対するアプローチを実施することで、動作時に多様で効率の良いバランス戦略が展開できます。
足趾トレーニングにより足底 の固有感覚の賦活が望めます。前方に偏位した重心を保持するためには、足関節底屈筋力だけではなく、前足部や足趾の屈曲方向への圧力も重要になってきます。足趾踵荷重立位は、立位姿勢で足趾屈曲筋群の等尺性収縮を促す運動課題であり、前方に移動した重心を制御する機能と同様の収縮動態となります。
足部内在屈筋エクササイズによる足部の筋力トレーニングは、立位姿勢保持の改善だけでなく、歩行・走行などの運動パフォーマンス向上に役立ちます。
足趾の第2~5趾には、偏位した重心を中心に戻す作用があります。また、同側脚の第2~4趾圧迫力は片脚立位バランス能力と強く相関しています。※足趾(そくし、toe)~第1趾(母趾)、第2趾(示趾)、第3趾(中趾)、第4趾(環趾)、小指は第5趾(小趾)。
安部塾では、足の機能改善にディープに取り組んでいます。