私たちの通常呼吸は、横隔膜による吸気を中心とした無意識的な呼吸あり、外気から酸素を取り入れ、代謝によって生じた二酸化炭素を排出しています。一方で、意識的に調節できる呼吸運動の特性に基づいて、目的をもって意識的に呼吸を行うこともあります。
呼吸 |
意識的呼吸では、下腹部の運動を意識した丹田呼吸がよく用いられています。通常、吸気(息を吸う)よりも呼気(息を吐く)に重点が置かれ、生理学的・心理学的変化を伴うことがよく知られています。呼吸の精神的効果を狙って、リラックスを得るために呼吸を調えることがよく行われてます。
剣の世界では、『深く正しく呼吸すれば自然に姿勢が正しくなり、姿勢が正しくなればそれに伴って心も正しくなる』と、よく言われています。
腕(上肢)の運動に一定時間先行して、横隔膜の活動があらわれます。腕の運動を連続的に繰り返して行うと、吸気を起こすために横隔膜がはたらき、腕の繰り返し運動の周期に対応した付加的な横隔膜のはたらきがあらわれます。同様の筋活動は、腹筋群や肛門周囲の骨盤底筋群にもみられます。これらの筋活動は腹圧を上昇させ、脊椎を安定させます。そして、姿勢の安定をもたらしてくれます。
呼吸筋は姿勢に対しても重要な役割を持ちます。良好な呼吸パターンがスムーズな動作において重要となる理由は、安定した姿勢をもたらすためです。しかし、呼吸と姿勢のいずれかの要求が増すことによって、呼吸と姿勢の協調が乱れる可能性がでてきます。呼吸筋の役割において、呼吸運動に関与する役割が強く求められれば、姿勢筋としての役割は減弱してしまうことになり、姿勢筋としての役割が強く求められれば、呼吸運動に関与する活動は減弱してしまうことになります。
良好な呼吸パターンと動作に習熟するあめの基礎練習を積み重ねることは、呼吸筋の姿勢筋としての役割と呼吸運動に関与する役割のバランスを調えることになります。
呼吸法の身体的効果および精神的効果は、セロトニン神経の活性化に大きく関係します。セロトニン神経の活性化は、リズムが調った呼吸で得られます。また、歩行や咀嚼などのリズム運動によっても得られます。
リズムが調った呼吸法はリラックスしつつ集中という状態を導き、運動ニューロンを促通させ、筋力発揮を容易にしてくれます。筋力発揮のみに依存せずに動作することができます。呼吸のリズムが乱れている人の動きは筋力発揮のみに依存しがちになるため、ケガをしやすくなり、無駄の多いうるさいものとなります。
リラックスを得るためによく行なわれている腹式呼吸法を紹介します。呼吸は、原則として鼻から息を吐き(口からでもよい)、鼻から息を吸うようにします。
①息を吐く時は、お腹を小さくキュッと締め、おへそを背骨に近づけつつ、しっかり息を吐き出します。⇒横隔膜がゆるみ、骨盤底筋群のはたらきが活発になります。
②お腹の力をフッと緩めて膨らませると、吐いた分だけ鼻から空気が入ってきます。
呼吸に動きを合わせるときは、吐く息で動作を始め、吸う息で動作を止める、あるいはゆるめるようにします。
コア・プログラムのときは下部胸式呼吸をおこないます。息を吸うときも吐くときも深層の腹筋を絶えず内側に引きつけたまま胸郭を横にひろげることを重視します。先ほどの腹式呼吸とは対照的です。エクササイズを正しく行い、身体を保護するためにコアを安定させておくためです。
①息を吸うときは、やさしく骨盤底筋群を活動させ、肺の拡張をより大きくし、胸郭の側面と後面の動きを増すことで肺の下葉にさらに息をいれます。
②息を吐くときは、まずはじめに骨盤底筋群の活動を増やし、腹横筋の下部繊維を引き締めます。肺が反動で縮み続け、深い呼気を得るあいだ、横隔膜の上昇を補助するため、骨盤底筋と腹横筋のゆるやかな収縮を維持する。
呼吸サイクルのあいだ、吸気でわずかな脊柱の伸展(背中が反る)が起こり、呼気で他動的な脊柱の屈曲(背中が丸まる)が起こります。
深く正しく呼吸すれば自然に姿勢が正しくなっていきます。
8月の各地のワークショップで、深く正しい呼吸について解説いたします。
☆下関ワークショップ
☆機能運動学大牟田サークル
8月7日(日) → 詳細
☆新宮校ワークショップ(平日)
8月8日(月) → 詳細
☆新宮校ワークショップ(休日)
8月11日(木・祝)→ 詳細
☆新宮校ワークショップ(お盆)
8月14日(日)※増日の可能性あり→ 詳細
☆東京ワークショップ
8月19・20・21日(金・土・日)→ 詳細
☆大阪ワークショップ
8月25日(木)→ 詳細
☆名古屋ワークショップ
8月26日(金)→ 詳細
☆神戸ワークショップ
8月27日(土)→ 詳細
☆下関ワークショップ