東京集中講座が中止になったため、8月6日から9日まで自宅で自主練習に励んでおりました。私は元々が引きこもり体質なので、本来の在り方だなと実感しておりました。この間、紫水堂さまで刀をお受けして、日本刀身体操作のお稽古をしておりました。
紫水堂さまでお受けした刀 |
一時期、古武術がブームになったこともあり、いまでは和の身体操作ができる人たちがたくさんおられます。私は、機能運動学的な身体操作指導を生業としておりますが、居合術や抜刀術の達人の動きの合理性に学ぶところが大きくあります。特に「刃筋を立てる」という操作には、「刃を中心に据えて自分はそれに従う」という基本姿勢を見ることができ、エゴを肥大させがちな身体操作指導者には、良き戒めになるように感じております。
そして、「扇子(扇を閉じた状態)」のお稽古の重要性を再認識しております。
白扇 |
日本刀も扇子も、「小指」で握ります。残りの指には力を入れません。逆に、曲芸的にぶんまわすときは、「母指と示指」で握り、残りの指には力を入れません。
日本刀は刃筋を立てて振ると、「ひゅっ」という風斬り音(刃鳴り)が生じます。試してみるとすぐにわかりますが、5本の指でしっかり握りしめて振ると音がしません。扇子は。小指で扇子の要(かなめ)を押さえて握ります。試してみるとわかりますが、この握り方以外の握り方では、上体が崩れてしまいます。
両手で刀を握るときは、右手が上・左手が下となり、左手の小指で握るとうまく振れます。右手で刀を握るときは、右手の小指で握ります。私は、白鞘の舞踊刀を常用しておりましたが、普段から扇子を小指で握るように習慣化しておりましたので、左右共に片手振りは円滑に行なえます。
「機能運動学的に正しい動きは美学的に美しい」と、されております。逆に言えば、機能運動学的に正しくない動きは、美学的に美しくないということだと思います。エゴが強くなればなるほど、機能運動学的に正しくない動きとなっていきます。当然の結果として、誰も美しくない動きは見たくありませんので、見てもらえないということになります。厄介なことに、エゴが強い状態のときほど人前で披露したがるため、まずい結果になってしまいがちです。
「たかが小指、されど小指」なのだと、しみじみ思います。「たか(高)が」は、「問題にするほどの価値のないさま」を意味し、「されど」は、「前述の事柄を受けて、相反する内容であることを表す。そうではあるが。しかし」を意味します。小指は目立ちませんが、目立たない小指が活化されているからこそ、全身の動きがよくなるのです。
今日の塾生講座で、小指の使い方について解説いたします。有料オンライン塾生講座に内容をアップする予定です。