前脛骨筋 |
起始:脛骨上方1/2、脛骨外側面、下腿骨間膜上方1/2
停止:第1楔状骨底面、第1中足骨基部底面
前脛骨筋停止 |
作用:足関節の背屈、足部の内返し
前脛骨筋は下腿前方の大きい浅層筋です。その機能は足の状態によって異なります。足部が浮いている状態では、前脛骨筋は足部遠位部を持ち上げます(背屈)。この機能は、歩行時の遊脚相でつま先を地面に引っかからないようにし続けています。背屈位を維持することで、最初に踵(かかと)から接地することも可能となり、踵接地から立脚相へ移行する際の衝撃を吸収する理想的な姿勢をつくります。
足部が地面に固定されている状態では、前脛骨筋は足部を引き上げます(背屈)。この機能は、歩行の立脚相で見られます。踵接地が行なわれると前脛骨筋は継続して収縮し、重心の位置を足部前方に寄せます。この機能の酷使や筋力低下は、炎症やこの筋肉に沿った腱炎を引き起こします。これは下腿前方痛の原因となる要素の1つで、一般的に「シンスプリント」と言われています。
最後に前脛骨筋は、足部の内側縦アーチを支えるのに役立っています。その腱は、足底部の伸筋支帯を横断します。その腱は足底面の内側楔状骨内側面と第1中足骨に停止する前に、内果を回ってから前方に曲がっています。腱のこの角度によって前脛骨筋がテコとなり、縦アーチ中央部が引き上げられ、回内を制限し、同時にコントロールしています。それは、相乗作用として後脛骨筋と共に土踏まずの高さを維持し、腓骨筋と拮抗したかたちで足部の回内・回外動作に作用します。
参考文献「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」
基本的な機能運動:歩行とランニング(踵の着地後、足が地面にたたきつけられるのを防ぐ補助をします。下肢を前方に出す際に、足先が地面につかないように足関節を背屈します)。
適応:足関節の痛みと圧痛/母趾の痛み/シンスプリント(前側コンパートメント症候群)/足を引きずる/痛風/ターフトゥ(母趾の付け根の痛み、つま先立ちしたときの痛み)/転倒/バランスの問題
参考文献「トリガーポイント治療 緑書房」