外旋六筋(梨状筋・上双子筋・下双子筋・内閉鎖筋・外閉鎖筋・大腿方形筋) |
■梨状筋
起始:仙骨の前面
停止:大腿骨大転子の上縁
作用:股関節の外旋・外転
梨状筋は、深層六筋のなかで最も上方に位置する筋肉です。これら6つの筋肉は、大腿骨大転子につながって股関節を安定させる筋肉として、肩関節にある腱板と類似しています。梨状筋以外の深層外旋六筋は、上双子筋、下双子筋、内閉鎖筋、外閉鎖筋、大腿方形筋です。
梨状筋は、坐骨神経と深く関わっているという点が他の深層外旋六筋と異なっています。ほとんどの人は、坐骨神経は梨状筋の深層部に走行しています。時々、坐骨神経が2方向に分かれ、一方は梨状筋の深層部を走行し、もう一方が梨状筋の浅層部を走行していることがあります。深層外旋六筋、特に梨状筋の拘縮は、坐骨神経を圧迫する可能性があり、痛み、弱さ、感覚変異を生じさせる場合があります。
■上双子筋
起始:坐骨の外側面
停止:大腿骨大転子の内側面
作用:股関節の外旋・外転
上双子筋は、深層外旋六筋のなかで梨状筋の下方、内閉鎖筋の上方に位置する筋肉です。腱板が肩関節の安定性を高めているように、深層外旋六筋も股関節と大腿骨大転子をつなぎ、股関節の安定性を高めています。
足部が地面に接地していない状態では、深層外旋六筋は大腿骨を外旋させます。体重負荷運動では、これらの筋肉は大腿骨の内旋と膝が内方向に移動するのを防ぐために使われます。このように、膝が内側に移動した状態を外反膝、または「ノック・ニー(X脚)」と呼びます。足部が地面に設置している状態では、上双子筋と梨状筋は骨盤を外側に傾斜させます。この動きは、歩く、走るなどの動作の際に体重を片方の足からもう一方の足に移動させたときに起きます。骨盤の外側方向の移動は、バスケットボールなどでのピボットやカット動作で急に方向転換をするときに体幹の固定をサポートします。
■下双子筋
起始:坐骨結節の近位部
停止:大腿骨大転子の内側面
作用:股関節の外旋・外転
下双子筋は、深層外旋六筋のなかで内閉鎖筋の下方、外閉鎖筋の上方に位置する筋肉です。
※参考文献「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」