胸鎖乳突筋 |
起始:胸骨頭;胸骨柄/鎖骨頭;鎖骨内側1/3
停止:側頭骨の乳様突起
作用:
・頭部と上位頚椎の伸展(両側の活動)
・頚部の屈曲(両側の活動)
・頭部と頚部の側屈(片側の活動)
・頭部と頚部の反対側への回旋(片側の活動)
・深く息を吸うときに胸骨と肋骨を挙上
胸鎖乳突筋は頚部で最も大きく、最も浅層にある筋肉です。2つの頭があり、乳様突起から胸骨柄と鎖骨中央につながります。胸鎖乳突筋は下顎枝に並んで走行し、頭板状筋と逆V字型を形成します。この2つの筋肉は協力して、肩甲骨上での頭の前後位置を中央に位置させます。
胸鎖乳突筋は頭板状筋と逆V字型を形成し、頭の前後位置を安定させます。 |
側頭骨の乳様突起に強く付着し、頚部に対して斜め方向に位置しているため、胸鎖乳突筋は頚部の屈曲・側屈・回旋の強力な主動筋となっています。さらに頭蓋の後部に付着しているため、頭部と上位頚椎を伸展させることができます。頸部屈曲と頭部伸展の組み合わせは下顎を導いて頭部の前進を生じさせます。この筋の両側に拘縮が生じた場合は頭部前進姿勢、片側のみに生じた場合は斜頚(側屈回旋が生じた頚部)と呼ばれる状態が起こることがあります。
※参考文献 「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」
適応:頭痛/むちうち/斜頚/非定型顔面痛/起立性めまい/空間認識の低下/眼瞼下垂/持続性乾燥咳、むず痒い咳/副鼻腔炎/慢性的なのどの痛み/流涙と充血の増加/耳のポンという音(片側)/平衡感覚の問題/運転時に片側にそれる
過換気症候群は胸鎖乳突筋の問題と深く結びついています。
※参考文献 「ヴィジュアルでわかるトリガーポイント治療 緑書房」
頭部前方位姿勢 |
■頭部前方位姿勢
胸鎖乳突筋が床に対して垂直に近くなり、前屈みであごを突き出したような姿勢です。猫背と呼ばれていますが、首の問題だといえます。頸部や咀嚼筋の筋活動を亢進させてしまうので、痛み・こりの原因となります。後頭部から上背部の筋群が過剰緊張状態に陥るため、頭痛になったりします。
①頭部が脊柱より前方に出ると、頭部の重みで頭が下がるため下を見る姿勢になります。
②この状態で前方を見るためには、後頸部・背部の筋で重い頭部を吊り上げて頭蓋を水平にしなければなりません。
③これらの筋群が疲労して後頸部・背部に筋痛が生じ、あご・頭・首・肩の痛みやこりが生じます。