2021年4月16日金曜日

大臀筋は人体のパワーハウス(原動力)。機能的運動の要であり、運動効率を最大化し、推進力を生み出します。

 

大臀筋

■大臀筋

起始:腸骨稜後面、仙骨、仙結節靭帯

停止:大腿骨大転子、臀筋粗線、腸脛靭帯を通過して脛骨外側顆

作用:股関節の伸展、股関節の外旋、股関節の外転(上方繊維)、股関節の内転(下方繊維)

 大臀筋は靭帯のなかで最も強力な筋のひとつです。中臀筋表層に位置していて、大臀筋の筋繊維は、腸脛靭帯に停止する前に、腰筋膜、腸骨、仙骨を大腿骨大転子とつなげています。大臀筋は大きな筋肉であり、その機能も多岐にわたります。

 動的には、歩行や、座っている状態から起立するときに、股関節を伸展させます。また、走る、跳ぶなどの動作の際に力を与えます。下肢が固定されているときには、大臀筋はハムストリングスとともに、骨盤を後方に引いて膝と脚のライン上に置き、身体を真っ直ぐに維持します。このヒップライジングの機能は荷重運動時に特に重要となります。

 姿勢的には、大臀筋は骨盤、臀部、膝を固定しますまた、腹直筋と働いて骨盤を後傾させることにより、腰方形筋、大腰筋、腸骨筋、その他の股関節屈筋とバランスを保ちます。大臀筋の弱化は骨盤の前傾を、また股関節屈筋の拘縮は骨盤の後傾を引き起こす可能性があります。大臀筋の遠位部は、厚みのある腸脛靭帯を通して臀部外側と膝を安定させます。強力な靭帯にサポートされているため、この部分の靭帯の損傷はまれです。

 大臀筋の上方繊維は股関節外転、下方繊維は股関節内転の機能があります。これらの相反する機能によって、臀部の安定性を高め、矢状面での機能、つまり股関節伸展の機能を最大限に引き出すことができます。この筋肉は股関節を外旋させ、体重負荷運動の際には脛骨に対して大腿骨の位置を保持する役割ももちます。

※参考文献 「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」

 臀筋が強いと、股関節でより多くの力を吸収し、生み出せます。股関節の負担が減ります。脊柱の中間位(ニュートラルポジション)を保つことができ、股関節を軸にして動くことができます。大臀筋が靭帯を張って仙腸関節を閉じることで、運動時に安定性がもたらされます。大臀筋は、股関節の伸展時に大腿骨上部を後方に引っぱります。大臀筋が弱い人は、、股関節前部の痛みに悩まされがちです。大臀筋の筋力が足りないと、協力筋(シナジスト)優位という現象が起き、周辺の筋肉に様々な損傷が起きる可能性があります。

※参考文献 「自重筋力トレーニングアナトミィ ブレッド・コントレラス ガイアブックス」

 大臀筋が機能していない人は、現実的で具体的な行動をとるのが苦手であるという説があります。お尻の下の脚の部分がたるんで左右にひろがっている人に多く見られ、臀筋萎縮症候群(臀筋の健忘症)とも言われているようです。

 安部塾では、大臀筋下部繊維の機能の向上に力をいれています。基本中の基本であるグルティアルスクイーズをはじめ、抗重力臀部をつくるプラクティスをしつこく反復します。臀筋のプラクティスが好きな人は、何ごとにおいても根気強く取り組みます。現在の安部塾は、「継続こそが力」という考えの人ばかりとなりつつあります。今後も、臀筋群を鍛えあげていきたいと思います。