2018年9月26日水曜日

身体運動は予測制御によって実現されている~よく見ることが大切~ものごとを客観的に俯瞰で見る


感情とはそもそも何なのか 新刊 現代科学で読み解く感情のしくみと障害

感情とはそもそも何なのか 新刊 現代科学で読み解く感情のしくみと障害より

 外界が見えている状態を一般に視覚イメージとよぶ。この視覚イメージは脳内でつくられたものである。わたしたちが3次元の実世界に目を向けることにより、網膜像がつくられる。網膜像は2次元である。3次元の実世界からこの2次元網膜像がつくられる過程は、物理学(光学)によって説明されるが、脳は逆に、得られた2次元網膜像から3次元の世界を推論し、視覚イメージを形成しているのである。わたしたちが見ている世界は、脳が2次元網膜像から3次元実世界の構造と状態を推論した結果であると言える。またこれは、2次元網膜像がつくられる物理過程とは逆の過程なので、逆光学とよぶこともある。言い換えると、得られた2次元データから、それが得られた原因(すなわち3次元の実世界)を推論する過程であると考えることができる。一般に、2次元のデータから3次元の構造や状態を推論することはできない。しかし、われわれはそれをいとも簡単に、また正確に推論することが可能なのである。42-43P

 身体運動は予測制御によって実現されている。たとえば、手や腕を動かそうとした場合、大脳の運動皮質から運動神経系を通じて、手や腕の筋肉に電気信号が伝わる。電気信号が筋肉に到達すると、筋肉は収縮する。これによって関節角が変化し、運動が生ずるのである。手や腕の運動が生じると、その運動を感覚信号としてとらえることができるし、筋肉が収縮すると拮抗筋が伸展する。筋肉が伸展すると、その筋肉からその筋肉にある自己受容器によって、自己受容感覚(固有感覚)が中枢に伝えられる。これらの感覚信号を運動のフィードバック信号とよぶ。
 脳は運動をするとき、その運動の結果を予測しているということである。46P

 脳内のさまざまな部位でモニタリング機能が働いている。モニタリングというのは何らかの状態を監視するということである。通常は上位中枢からモニタリングシステムにこうではないか、こうなるのではないかという信号が送られてきて実際の信号との誤差をとる。誤差が0であれば正しくモニタできているということになる。つまりシステムを理解するために、状態を予測する信号を出すのである。
 視知覚は網膜から脳に伝えられる信号からその原因を脳が推定した結果なのである。47P

 いくら自己の身体状態を調節しようとしても、何らかの理由によって予測誤差を低下させられないとしよう。こうした場合、メタ認知的な信念が調整されず、自己効力感が低下し、疲労感を誘発すると考えられている。この種の疲労は肉体的な疲労とは異なるので、安静にしていてもよくはならない。そして低い自己効力感は一般にストレスに対する抵抗力を低下させ、さまざまな精神疾患を招く危険性が増える。81P

引用ここまで


メタ認知(メタにんち)とは認知を認知すること。人間が自分自身を認識する場合において、自分の思考や行動そのものを対象として客観的に把握し認識すること。それをおこなう能力をメタ認知能力という。

■メタ認知能力(メタにんちのうりょく: Metacognitive Ability)
現在進行中の自分の思考や行動そのものを対象化して認識することにより、自分自身の認知行動を把握することができる能力を言う。 自分の認知行動を正しく知る上で必要な心理的能力。

Knowledge Monitoring Ability(知識を監視する能力)
Knowing about knowing(知っているということを知っていること)
Cognition about cognition(認知していることの認知)
Understanding what I understand(自分の理解していることを理解すること)
と定義されている。

引用ここまで


メタ認知能力が低い人は、他者と適度な距離感を保ちながら付き合うことができません。

自分の感情を自覚できていないので、人間関係が偏ってしまいます。

自己中心的な考え方をし、自分が正しいと思い込んでしまう傾向があります。

協調性がなく、場に合わせた対応ができません。

※学習とメタ認知は、こちらのサイトが詳しいです → メタ認知の概要
※仕事とメタ認知ならこちら → 誰もが身につけたい!ちゃんと学ぼう「メタ認知」


安部塾でいう「頭がいい」というのは、「メタ認知能力が高い」とイコールです。


学力が低い人は、「そもそも自分は何がわかっていないのか」がわかりません。

自分が何をしたらいいのかがわかりません。

偏った認知で偏った認知を修正(?)しようとするので、おかしな言動をとります。

「視点を変えて物事を見る」ことができないので、どんどんおかしくなります。


なんてことを考えていたら、こんなTweetが。


これ、的確です。

https://twitter.com/fta7/status/1044687578606096384

https://twitter.com/fta7/status/1044687578606096384


ほんと、できない自分が考えると、できない方法しか思いつけません。

いつも塾で言ってることですが、おかしなときはおかしなことしか思いつかないのです。

うまくいかないときは、視点を変えることが必要です。

ものごとを客観的に俯瞰で見ることができれば、中立的修正が可能になるかもしれません。


メタ認知は、大脳の前頭連合野の機能と考えられています。

生後20年以上かけて、使えるようになるレベルに達する能力です。

ただし、ものごとを客観的に俯瞰で見るように心がけて生きた場合に限ります。

ナルシシストは、メタ認知能力が低いのです。


メタ認知ができないということは、扁桃体が暴走しやすいということです。

つまり、フリーズしたり、パニックを起こしやすいということです。

当然、炎症反応が起きやすく、痛みに対して過敏になります。

慢性痛に悩まされることになるのです。


慢性痛に悩む人が、闘争or逃走モードなのは、一見してわかります。


統制型愛着パターンの人は、過干渉に走りがちです

周囲を支配しコントロールするという形の愛着の仕方です。

自分が「基準」となって、周囲を仕切ろうとします。

自分を特別な存在と見なし、自分を中心に世界がまわることを期待します。

現実の人生が思い通りにいかないとひきこもりに陥ったり、思い通りになる存在を支配することで不満をまぎらわしていたりします。

※この段落は「人を動かす対話術 心の軌跡はなぜ起きるのか 岡田尊司」より


コフートも面白いです。

「自己愛」と「依存」の精神分析―コフート心理学入門 和田 秀樹

統制型愛着パターンの人は、いかの3つの対象を求めます。

■鏡自己対象
自分がほめてほしいと思ったとき、常にほめてくれる自己対象。あるいは自分が独りぼっちかな、と思ったとき無条件に愛してくれる自己対象。典型的には幼少期の母親。
■理想化自己対象
自分にとって神様になってくれて、心細いときに「私がいるから大丈夫だよ」と言ってくれたり、苦しい時に生き方のヒントを与えてくれるような自己対象。典型的には父親など。
■双子自己対象
自分と同じ(弱い)人間なのだ、と感じさせてくれる自己対象。その弱くだらしない姿をみることで、ああ、自分と同じだ、と安心を感じることができる。 


私が塾長をやっているときは「理想化自己対象」となっています。

おとーちゃんスキルが炸裂している時です。

ときたま、「双子自己対象」もやります(これは自然発生)。

「鏡自己対象」になる能力は低いのでやりません。


「母親の力」は圧倒的なのです。


話を戻して、身体運動は予測制御によって実現されています。

セルモニタリングの能力を高める身体操作を学ぶのが効率的です。