身体が「ノー」と言うとき 抑圧された感情の代価 ガボール・マテ |
「内容紹介」だけ読んでも、面白いです。
「いやだ!」「ノー!」と言わなければ、結局、身体がわたしたちの代わりに「ノー」と言い始めるだろう。
患者たちの語りから垣間見える、無力でストレスに満ちた子供時代。周囲に自分を合わせ、生き延びるために無意識にとった戦略が病気の元となるとは……。
強皮症、慢性関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、バセドウ病、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症等の自己免疫疾患をはじめ、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病、がん、アトピー性皮膚炎などの病気と、当人の生き方、心の在り方との関係を“精神神経免疫学”の観点から解き明かす。
本書の事例の多くは著者自身が患者に直接インタビューしたもので、彼らが語るその生い立ちは、不条理ともいえる人生の悲劇を垣間見せてくれ、感動的ですらある。
家庭・社会環境がもたらす心理的ストレスは病気の大きな要因の一つだが、本書は家庭や職場といった外的条件に潜む問題もさることながら、そうした環境の中で自分のありのままの感情を表現することが抑圧されるとどうなるか、という点に重点を置いている。著者によれば、あまりにも協調的な「いい人」や頑張り屋さんほど、自己免疫疾患にかかりやすいという。日本人にはぐさりとくる指摘だろう。
内容紹介ここまで
12ページより
多発性硬化症、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患、慢性疲労症候群、自己免疫疾患、結合組織炎、偏頭痛、皮膚疾患、子宮内膜症その他多くの疾患の治療を受けた人々に、同じパターンが見られた。
深刻な病気を抱えた私の患者のほとんど全員が、人生の重要なところでノーと言うことを学んでいなかったのである。…心の奥底に抑圧された感情があるという要素は必ず共通していた。
9ページより
大人になってから発症するどんな難病も、ウイルスや遺伝子だけでは発症せず、抑圧された感情による免疫の抑制などが関係している。
207ページより
脱愛着の傾向を示し、過去の傷つき体験を記憶から切り離し、蓋をすることで心の安定を保っているといえる。
幼いころの記憶が乏しく、ことに悲しい記憶や不安な記憶を思い出すのに時間がかかるのはそのためである。
つらいできごとに直面したこどもは、夢想にふけり、現実から切り離して忘れようとします。
現実から目をそらしてしまうのです。
「乖離(かいり)」です。
無力なこどもは、乖離を選択しやすいのです。
大人になっても現実が見えていない人は、乖離したままなのかもしれません。
351ページより
“思考”という言葉に「ポジティブ」という形容詞をつけたとたん、現実のうちの「ネガティブ」だと思われる部分は排除されてしまう。
これはポジティブ思考の力を信じる人のほとんどに見られる現象である。
本当のポジティブ思考は、あらゆる現実を認めるところから始まる。
ここ、大切だと思います。
本当のポジティブ思考は、あらゆる現実を認めるところから始まる。
大切なことなので、2回書きました。
351ページより
無理やり楽観主義者になろうとするのは、不安に直面しないために不安を封じ込めるひとつの方法である。
その種のポジティブ思考は、傷ついた子供が身につける対処パターンである。それに気づかず、傷ついたまま大人になった人は、子供のころの自己防衛手段のなごりを一生持ち続けることになる。
352ページより
子供のころに何とかして苦痛や葛藤を避けようとしたことが、大人になってからの病気への抵抗力のになさにつながるのである。
治療のためには、ネガティブに考える勇気を奮い起こさなければならない。私の言う「ネガティブ思考」は、現実主義を装った暗くて悲観的な考え方ではない。それはむしろ、何がうまくいっていないのか考えてみようという姿勢なのである。
354ページより
より明るい考え方をし、悩みが少ないように見える人のほうが病気が重くなるという研究結果がいくつも出ていることは、世間一般の見方に反しているように思われる。
少し観察してみればすぐにわかります。
つくり笑いを浮かべて明るそうにふるまっているたちの身体症状のひどさが。
無力でストレスに満ちた子供時代。周囲に自分を合わせ、生き延びるために無意識にとった戦略が病気の元となるとは……。
内容紹介にある通りだと思います。
腸管(消化管)は、感情脳だと考えています。
過敏性腸症候群は、喜怒哀楽をうまく言葉で表現できない症状だという仮説があります。
「アレキシサイミア(失感情)」
感情を自覚できない人は、腸が暴走するというものです。
自分の感情を自覚できず、怒りや悲しみを言葉で表現できない。
なので、代わりに身体がつらさを表現してしまう。
それが、「症状」。
自分の気持ちを意識できないままでいると、受けているストレスに気づけません。
そのうち、耐えきれなくなって身体が悲鳴をあげます。
症状……腹痛や下痢を薬で抑えると、どうなるでしょう?
無理をするのをやめなければ、他の症状が現れます。
自分の腸を信頼しなければ、すべてが終わります。
そして、感情を蓄積する機能を持つ関節もダメージを受けます。
ほとんどの関節痛は、自分の感情を言葉にできないことで生まれます。
表現されなかった感情は、主に緊張状態として関節に記憶されます。
緊張状態に耐えきれなくなった関節は崩壊します。
整形外科的な理由で関節が痛くなるのは稀なのです。
ではなぜ、安部塾で「正しい姿勢」「正しい動き」を学ぶのでしょうか?
それは、関節に記憶された(封印された)感情を解放するためです。
これがわかっていない人は、私に幻滅します。
感情を解放できなければ、何ひとつ変わらないからです。
感情を解放できない人には、口癖があります。
「でも」「だって」
もう、おわかりでしょう。
言い訳とは、子供のころに何とかして苦痛や葛藤を避けようとした時代の名残なのです。
言い訳とは、子供のころに何とかして苦痛や葛藤を避けようとした時代の名残なのです。
言い訳とは、子供のころに何とかして苦痛や葛藤を避けようとした時代の名残なのです。
超絶大切なことなので、3回書きました。
まず最初に、「でも」「だって」をやめること。
そして、正しい姿勢で正しく動くこと。
そこから生まれる感情を、素直に表現すること。
ちゃんと言葉にして、自分の気持ちを伝えること。
相手の問題ではなく、自分自身の問題であることを自覚すること。
言い訳を重ね、相手のせいにしているうちは、症状は悪化の一途をたどることを理解すること。
「でも」「だって」を口にしているうちは、自分のほんとの感情を知ることはできません。
当然、何もかもうまくいきません。
何がうまくいっていないのかを学ぶ勇気をもちましょう。
今日の塾生講座で、この記事の解説をします。