『最初は、大脳で意識して操作していた身体の動きが、繰り返し繰り返しその動きを反復することにより、小脳に複製保持されると、大脳で意識することなく無意識的に身体を動かせるようになる。より速く・正確に・巧みに』
小脳 |
小脳の脳力は、大脳をはるかに凌駕しています。
小脳で動いている人と大脳で動いている人を比べてみると、よくわかります。
小脳に複製保持された身体操作データによって、正確に高速に動くことができます。
『最初に大脳で考えた内容が正しければ』
そうなのです。
大脳の思考データが壊れていたら、壊れたデータを小脳が複製保持します。
そして、その間違った動きを、延々繰り返します。
修正データが入力されるまでずっとです。
怖い話です。
もし動きに問題がある間違った運動回路だと判断できれば、そのデータは消去されます。
新たに正確無比な動きだけを、繰り返し繰り返し反復することで上書きできるのです。
小脳 |
最近の脳機能研究で、面白いことがわかってきたそうです。
これまで、小脳は運動機能のみを複製保持すると考えられてきました。
恐ろしいことに、認知や考え方も複製保持するようなのです。
認知システムを複製保持して、無意識的に考えているということなのです。
算盤や将棋や芸能なんかがわかりやすいですね。
熟練というのは、小脳の複製保持機能がなせる業ということになります。
高速で考える=無意識的に考える。
『考えるな。感じるんだ!』
そういうことです。
これ、冷静に考えたら、とてつもなく恐ろしいことです。
最初に大脳で考えている内容が間違っていたとします。
そして、その間違った内容で思考をパターン化したとします。
そうすると、考えなしで、そう考えるようになってしまうのです。
安部塾でよく言う、「最初から全部間違ってますよ」の意味です。
修正データを上書き保持するまで、間違ったままなのです。
『正解の動き・考え方だけを繰り返しましょう』
僕がよく口にする言葉です。
身体操作であれば、機能解剖学的矛盾がない美しくて優雅な動き。
考え方であれば、認知のゆがみがない状態。
正解はひとつしかありません。あとはすべて間違いです。
そして、いろんな正解の動き・考え方を増やしていきましょう。
そして、いちばん大切なこと。
僕たちが考えるときに使う脳内言語は、『視覚イメージ』そのものです。
つまり、思考とは『視覚イメージの操作』ということになります。
そう。『視えていないと、そこで試合終了ですよ』ということです。
身体操作が下手な人には特徴があります。
『きちんと他人の動きを見ることができない』
これ、致命的です。
正解の視覚イメージをつくることができないからです。
もう、おわかりでしょう。
小脳に複製保持されているデータは、視覚イメージそのものです。
正しく見る=正しく考える=正しく動く。
正確無比な視覚イメージの大切さが、実感できるはずです。
ケガや故障が多い指導者が、他人の話を聴けないのも、同じ理由です。
正しく視えていないので、正しく視えている人の世界が理解できないのです。
その視覚イメージを理解する方法のひとつが、視機能の完全矯正です。
視機能を完全矯正してはじめて、同じスタートラインに立てるわけです。
何が正しい動き・考え方なのかが認識できれば、あとはそれを繰り返すだけです。
正しい動き・考え方が無意識にできるようになれば、人生は良い方に変わります。
だから、まずは正しく視えるようになることに、全力を注ぐのが合理的です。
非合理な認知システムで生きていくのは、ハードゲーム過ぎますから。