2025年11月11日火曜日

息吹について

 古神道における「息吹(いぶき)」は、単なる呼吸ではなく、天地の気や神の生命力を体に取り込み、心身を整えるための重要な修行法・行法として位置づけられています。 
 ​現代の健康法としての呼吸法とは一線を画す、古来より伝わる日本独自の精神的な鍛錬が含まれています。

​🕊️ 古神道における息吹(いぶき)の概要
​1. 息吹の意味
​・天地の気を摂り入れる
 「息吹の行」は、宇宙全体に満ちている新鮮な生命力やエネルギー(気)を、呼吸を通じて自分の体内に取り込むことを目的とします。
​・生命力の活性化
 これにより、自身の奥底にある本来の生命の働きを呼び起こし、心身の不調や老廃物を浄化・排出する力があるとされています。
​・神との繋がり
 神道の根幹にある「神の息吹」や「生命の息吹」という概念に繋がり、神や宇宙との一体感を得るための行でもあります。

​2. 古神道の息吹の特徴的な方法
​ 古神道の息吹は流派や団体によって具体的なやり方が異なりますが、一般的に以下のような特徴が見られます。
​・逆腹式呼吸
 一般的な腹式呼吸(息を吸う時にお腹が膨らむ)とは異なり、息を吸う時にお腹をへこませ、吐く時にお腹を膨らませる(あるいは下腹部に力を込める)という形をとる場合があります。これは特に「丹田力(たんでんりょく)開発」を目指す武道的な側面を持つ流派で見られます。
​・呼吸と発声(言霊)
 息吹とともに「言霊(ことだま)」や「発声療法」を組み合わせることがあります。特定の音や母音を発することで、体内の細胞レベルまで振動させ、気を巡らせることを目的とします。
​・振動療法
 発声や特定の動きにより、身体を芯からゆるめ、筋肉や細胞に働きかける技法も取り入れられます。

​3. 基本的な実践方法(一例)
​ 具体的な行法は専門的な指導が必要ですが、一般に公開されている基本の姿勢や呼吸の流れの一例です。
​・姿勢
 足を肩幅に開いて立ち、下腹部(丹田)を意識します。
​・息を吐く
 下腹部を意識しながら、口から「ふーっ」または「ハッ!」と強く長く、限界まで息を吐き切ります。この時、インナーマッスルに力を入れ、体幹を締めます。
​・息を吸う
 吐き切ったら、鼻からゆっくりと静かに、新鮮な空気(天地の気)を体内に吸い上げます。
​・繰り返し
 この「吐く」と「吸う」を繰り返します。

​(注意点)
古神道の息吹は、深い精神性と肉体的な鍛錬を含むため、本格的に取り組む場合は、必ず専門の指導者のもとで習うことが推奨されます。