トレンデレンブルグ歩行は、股関節外転筋(中臀筋と小臀筋)の弱体化によって生じる異常な歩行です。股関節外転筋が弱ると、歩行中に反対側の骨盤が垂れたり下がったりします。股関節外転筋が弱すぎて歩行時に体重を支えられない場合、左右の動きが顕著になります。
片足を前方に振り、股関節が下がって外側に動くときに見られます。これは、もう一方の脚の股関節外転筋が弱すぎて体重を支えることができないためです。バランスを保つために、歩くときにわずかに後ろや横に傾いたり、骨盤が不均一に移動してバランスを失ったりつまずいたりするのを避けるために、一歩ごとに足を地面から高く持ち上げたりします。
中臀筋 |
トレンデレンブルグテストは、中臀筋と小臀筋の強度を評価する簡単な操作です。片方の脚で補助なしで立ってもらい、もう一方の脚を地面から持ち上げることによって行われます。検査者は後上腸骨棘に指を置きます。上げた脚側の股関節が大きく下がっている場合は、中臀筋と小臀筋の筋力低下が考えられます。
中臀筋と小臀筋は、股関節を内側に回転させ、外側に伸ばす(外転)ことに関与しています。
これらは、歩行中に足を上げるときに体幹を安定させ、直立位置に保つのに重要です。
中臀筋と小臀筋に筋力低下がある場合、股関節と膝関節に不均衡な力がかかり、構造が不安定になります。これらの力は最終的に関節軟骨の過度の摩耗と痛みを引き起こす可能性があります。
トレンデレンブルグ歩行の特徴は、患側下肢での立脚期に、骨盤の水平位を保つことができず遊脚側下肢の骨盤が落下する現象です。
デュシャンヌ歩行とは、歩行の患側立脚相において、患側へ体幹が側屈し、かつ骨盤傾斜も起こる現象です。
歩行の代償運動として、
①デュシャンヌ歩行(患側に体幹が傾く)と逆トレンデレンブルグ歩行(骨盤が患側へ傾く)の組み合わせ
②デュシャンヌ歩行(患側に体幹が傾く)とトレンデレンブルグ歩行(骨盤が健側に傾く)の組み合わせ
が、あります。
トレンデレンブルグ歩行の原因は、立脚期に骨盤を水平位に保つために必要な機能である、中臀筋を主体とした股関節外転筋の機能低下です。股関節外転筋群の筋緊張低下や、股関節内転筋の筋緊張亢進により、股関節外転筋をタイミングよく筋発揮できない場合に、トレンデレンブルグ歩行になりがちです。
デュシャンヌ歩行には代償運動が関係おり、外転筋の緊張による骨盤の水平位保持の場合は体重の3倍以上かかる圧を、股関節上に体重を乗せることで体重から一側下肢の重さを引いた力しか股関節にかからない状態にしようとするものです。外転筋の機能低下を補う目的で、外転筋の緊張における圧を減らすための代償運動として、患側へ体幹が傾くという現象が生じています。
改善するためには、股関節外転筋(特に中臀筋)の強化が基本となります、あわせて、歩行という動作の流れの中で、抗重力位で中臀筋を機能させる学習が重要です。
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