2023年12月30日土曜日

頭部前方位姿勢の人々は胸部体が緊張していて、呼吸運動が制限されています。胸鎖乳突筋は重力とともに機能し、下頸部屈曲と上頸部過伸展の発生を促します。

  アナトミートレイン(医学書院)より引用します。

SPL(スパイラルライン)と頭部前方位姿勢

 前鋸筋は四角形の要素と三角形の要素が広範に組み合わさった複雑な筋であり、肩の安定化と制御を行う。系統発生の初期には、前鋸筋は主に直立状態の肩甲骨内側の胸郭を支えるスリング形成に関与していた。

 前鋸筋の下部スリップは確かにSPL(スパイラルライン)に属しているが、中間スリップは、「ブラジャーのライン」の高さの大胸筋下方で、胸骨下部で中心線を越えて互いに結合する。前鋸筋は、SPLの「分岐線」を形成し、臨床でよくみられる頭部前方位姿勢を治療する場合に注目される。

 剣状突起直上の正中線からSPLをたどると、前鋸筋中間のスリップを回り、菱形筋の中間まで行き、頭板状筋を横切り、最終的に反対側の後頭骨で停止する。

 モデルに頭だけ突き出してもらう。緊張した筋に触れ、胸骨を引き戻す。極めて多くの頭部前方位姿勢の人々は、胸部体が緊張している。胸部体は緊張伝達の主要経路である。胸部体をゆるめてモデルの呼吸を持続させたい場合、左右の前鋸筋を接続する筋膜バンドを徐々にゆるめながら、頭を身体の頂点へと徐々に戻す。この手技はSPLをゆるめ、呼吸時に胸部の可動性が完全な状態に戻るよう促す。

胸鎖乳突筋

 身体の感受性の高い前面を上行する筋筋膜の牽引が、頭蓋後部に向けて胸鎖乳突筋を経由して突然跳躍するという事実からは、極めて興味深い反直感的状況が生まれる。SFL(スーパーフィシャル・フロントライン)を張らせると、運動あるいは姿勢のいずれかで体幹の屈曲が発生するが、頸の上端では過伸展が生じる。

 背臥位では起き上がる場合、胸鎖乳突筋は頭を引力に逆らって持ち上げながら頸屈曲を引きおこす。立位であっても、手を前頭部に置いて頭を前方に押し出すと、胸鎖乳突筋の収縮が感じられる。

 しかし立位では、胸鎖乳突筋は乳様突起に付着することから環椎後頭関節と環軸関節の蝶番の後側を走る。したがって、胸鎖乳突筋は重力とともに機能し、下頸部屈曲と上頸部過伸展の発生を促す。

 引用ここまで


 頭部前方位姿勢をとっている人の胸鎖乳突筋を観察してみると、うまく機能していないことがわかると思います。負の感情により上部頸椎の過伸展が引き起こされているのも確認できるはずです(逆に、上部頸椎の過伸展から負の感情が生まれているともいえます)。同時に、呼吸がうまくいっていないのも観察できます。

 筋膜には情動が影響を与えています。感情を解放すると屈曲姿勢を正して中間位にもっていきやすくなります。上部頸椎の過伸展状態も同時に解消されやすくなります。

 また、人体は、引き伸ばされて弱化している部分に痛みを感じ、縮んで硬くなっている部分には痛みを感じにくい構造になっています。つまり、縮んで硬くなっている部分をゆるめてあげることで、痛みからも解放されることになります。負の感情の解放と姿勢の中間位への改善と痛みの解消は、同時進行で進んでいくわけです。

 来年、1月からのワークショップで解説いたします。

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