ファッシャル・リリース・テクニック 医道の日本社 より引用いたします。
内側縁が肋骨と脊椎に対してどのような角度に位置しているかを見れば、肩甲骨の傾斜がわかる。傾きは、2つの面で発生する。内側・外側は、肩甲骨の内側縁と脊椎の本来の平行関係からの逸脱だと言える(脊椎が十分に真っすぐだと仮定して)。そして、前・後は、肩甲骨と、その下にある肋骨の間の角度によって評価できる。
肩甲骨の内側・外側への傾きは、上方向・下方向への回旋と表現されることもあり、肩甲帯の「X」の異なる部分を調整することで矯正できる。235P
肩甲骨の「X」の異なる部分 |
肩甲骨は内旋、または外旋する(外旋は胸郭によって制限されるため、頻繁には起こらない)。肩甲骨の内旋はしばしば肩の前方へのずれと同時に起こるが、後方へのずれと同時に起こることもある。234P
肩は前方にずれている頭部の重さとバランスをとるために後ろに引っ張られている(後方へのずれ)。そして、身体の前面で上肢を使うために、肩甲骨は内旋している。このような肩のパターンを満足いくほどに和らげるには、頭と頸の位置を胸郭と合わせる必要がある。
頭部前方位と肩甲骨の内旋 |
肩甲骨は、内側縁が棘突起に平行で、肋骨と同じ角度で、横から見て垂直であるのが理想的だと言える(屋根ではなく、崖のように)。
菱形筋は、肩甲骨の内側縁を上部胸椎と下部頸椎の棘突起に結び付け、内側縁を上内側に引っ張る。前鋸筋は内側縁を外側肋骨に向かって、下外側に引っ張る。実際、肩甲骨内側縁が結ぶ「大きな筋のつり革」が菱形筋と前鋸筋であると言える。
菱形筋と前鋸筋は、1つの筋膜を形成し、肩甲骨を保持している。
菱形筋と前鋸筋のつり革 |
引用ここまで。
安部塾では、側頭骨(顎関節)・肩甲骨(肩関節)・腸骨(股関節)の関係を重要視しています。顎関節の調整をやっていて効果が出にくい場合、高確率で肩甲骨の位置がおかしくなっています。
過緊張状態にある人は、肩甲骨の修正を「力づく」でやろうとします。短縮硬化でおかしくなっている肩甲骨の位置を、さらに力を加えて直そうとするのですから、余計におかしなことになってしまいます。「肩甲骨の位置は、リラックスによって直す」というのが安部塾の基本スタンスです。
「余計なことをするのをやめる(無駄な力を抜く)」のが基本です。何事もそうですが、余計なことをすることで純度が下がり、結果として悪化してしまします。
■蛇足(だそく)
中国の戦国時代、楚という国の大臣が、魏の国と戦って勝ち、余勢を駆って斉の国まで攻め込もうとしたときのこと。斉から使者がやってきて、こんな話をしました。
「主人からもらったお酒を賭けて、だれが最初に蛇の絵を描き上げるか、競争をした人たちがいました。いちばん先に絵を描き上げた人が、調子に乗って蛇に足を付け加えようとしたところ、それが終わらないうちに蛇を描き上げた人が、こう言いました。『もともと蛇には足がないんだから、足なんか描けるもんか』。結局、最初に蛇を描き上げた人はお酒を飲ませてもらえなかったということです」。
それを聞いて、魏を相手に勝利を収めたのだから、斉と戦うのは余分なことだとさとった楚の大臣は、そのまま兵を引き上げたのでした。
2月の各地のワークショップで解説します。
☆下関ワークショップ
2月4日(土)→ 詳細
☆機能運動学大牟田サークル
2月5日(日) → 詳細
☆東京ワークショップ
2月10・11・12 日(金・土・日)→ 詳細
☆新宮校ワークショップ(平日)
月日(月) → 調整中
☆大阪ワークショップ
2月23日(木)→ 詳細
☆名古屋ワークショップ
2月24日(金)→ 詳細
☆神戸ワークショップ
2月25日(土)→ 詳細
☆新宮校ワークショップ(休日)
2月26日(日)→ 詳細