2021年5月6日木曜日

脊柱起立筋群は、横突棘筋群と共に重力に抗して脊柱の直立を保持するために働きます。

 

腸肋筋・最長筋・棘筋

■腸肋筋

起始:内側腸骨稜、胸腰筋膜、第3~12肋骨の後面

停止:第1~12肋骨の後面、頚椎4~7番の横突起

作用:脊柱の伸展(両側の活動)、脊柱の側屈(片側の活動)

 腸肋筋は脊柱起立筋群の一部です。最長筋と棘筋もまた脊柱起立筋群に含まれます。これらの筋肉群は仙骨、腸骨、頭蓋に付着し、深層の横突間筋群よりも広い安定性と動作を供給します。脊柱起立筋群と横突棘筋群は、共に重力に抗して脊柱を直立位に保持します。

 腸肋筋は3つの脊柱起立筋群の最も外側にあります。腸肋筋の分節は、仙骨と腸骨の後部から肋骨後部および腰椎と頚椎の横突起に向かって、ちょうど樹木の枝のように上部および外側に伸びています。この枝は脊柱の伸展と強い側屈運動に有利に働きます。さらに腰腸肋筋は強制呼気運動の際の肋骨の下制にも貢献しています。

■最長筋

起始:胸腰筋膜、腰椎5番~胸椎1番の横突起、頚椎4~7番の関節突起

停止:胸椎1~12番と頚椎2~6番の横突起、第3~12番肋骨の後面

作用:脊柱の伸展(両側の活動)、脊柱の側屈(片側の活動)、頭部と頚部の同側への回旋(頚最長筋の片側の活動)

 最長筋は脊柱起立筋の一部です。腸肋筋と棘筋もまた脊柱起立筋群の一部です。脊柱起立筋群は仙骨、腸骨、脊柱、頭蓋に連結し、それらを安定させ大きな動きを可能にします。脊柱起立筋群は、横突棘筋群と共に重力に抗して脊柱の直立を保持するために働きます。

 最長筋は腸肋筋の内側で、棘筋の外側に位置します。この筋は軸骨全体にわたり仙骨と頭蓋を連結し、仙骨と腸骨から椎骨の横突起と側頭骨の乳様突起まで伸びています。最長筋の筋繊維は腸肋筋よりも垂直に走行しているため強力な伸筋としての役割を果たしますが、側屈筋としての作用は小さくなります。さらに最長筋は、乳様突起を後方および脊柱に向けて下方に引くことで頭部と頚部を安定させ、また回旋もさせます。

■棘筋

起始:腰椎2番~胸椎11番と胸椎2番~頚椎7番の棘突起と項靭帯

停止:胸椎1~8番の棘突起、後頭骨の上項線と下項線の間

作用:脊柱の伸展(両側の活動)、頚部と頭部の同側への回旋(片側の活動)

 棘筋は、腸肋筋、最長筋と共に脊柱起立筋群の一部です。脊柱起立筋群は仙骨、腸骨、脊柱、頭蓋に連結し、それらを安定させ大きな動きを可能にします。脊柱起立筋群は、横突棘筋群と共に重力に抗して脊柱の直立を保持するために働きます。

 棘筋は、3つの脊柱起立筋群のなかで最も内側に位置します。上位腰椎ならびに下位胸椎の棘突起から上位胸椎ならびに下位頚椎まで伸びています。この垂直に走行する筋繊維は、回旋よりも伸展作用が強くなります。頚椎において棘筋は、後頭部に付着する手前で横突棘筋群の半棘筋と一緒になります。

※参考文献「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」

■脊柱起立筋(仙棘筋)

適応:腰痛(特に物を持ち上げた後)/脊柱の関節可動域制限/腰痛(座ったり立ったりするとき、階段を昇るとき)/腰背部の痛み(1日の終わりに増強する)

■後頚筋群

適応:頭痛/頚部の痛みと凝り/頚部の前彎減少/後頭下部の痛み/頚部回旋制限(長時間同じ姿勢で仕事をすることに関係している)/むちうち/頭皮の灼熱感

※参考文献「トリガーポイント治療 緑書房」