大腿直筋 |
■大腿直筋
起始:下前腸骨棘
停止:膝蓋靭帯を通過して脛骨粗面
作用:股関節の屈曲、膝関節の伸展
大腿直筋は縫工筋と大腿筋膜張筋の間で、大腿部前面を2つに分ける筋肉です。大腿四頭筋のなかで、股関節にまたいでいる筋肉は大腿直筋だけです。この筋肉は羽状筋で、股関節の屈曲と膝における伸筋の主動筋です。
大腿直筋は歩く、走るなどの動作で下腿を蹴り出す際に、大腿骨を前方に引き出す役割を持っています。この動きにより、足部を地面と接地させ、足部に体重をかけることが可能になります。この筋肉は、股関節の屈曲より膝の伸展において強いが、股関節を動かす際には腰筋、腸骨筋、縫工筋、大腿筋膜張筋などの筋肉を補助します。また、起始下前腸骨棘にあることから、骨盤を前方に傾ける役割もあります。
大腿直筋、外側広筋、中間広筋、内側広筋は大腿四頭筋を形成し、立っている間や物を持ち上げる際に膝を伸展させます。広筋群は、膝の伸展においては大腿直筋より強力です。広筋群の強さは、横断面積の大きさ、膝蓋骨によって大きくなったテコの作用、膝の伸展という単一の機能しか持たないということに大きく関係しています。
大腿直筋の拘縮はよくみられる問題で、膝の痛みを引き起こす可能性があります。この痛みは、膝蓋骨の軟骨面が大腿骨溝に対して圧迫されることによって起きます。長期にわたって圧迫が続くと、軟骨がすり減り、慢性の障害を引き起こすことになります。これらの疾患を予防するためには、大腿直筋の適度な柔軟性が必要です。
※参考文献 「ヴィジュアル機能解剖学 南江堂」