2020年1月4日土曜日

呼吸を意識したストレッチングで、姿勢維持や運動遂行のための筋肉の正常な持続的張力を手に入れましょう。

健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態にあることをいいます。
Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
世界保健機関憲章前文 (日本WHO協会仮訳)より引用

「肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態」と「筋緊張(トーヌス)」には関連があると考えています。筋緊張とは、姿勢維持や運動遂行のための筋肉の正常な持続的張力のことです。筋緊張レベルが高い人は、呼吸を意識したストレッチングで柔軟性を改善することが大切です。

呼吸を意識した正確なストレッチングは危険(リスク)が少ない穏やかなテクニックです。定期的に継続することで、がさつ(動作・態度などに落着きがなく、荒っぽくぞんざいなさま)だった動きが、しなやかで優雅(やさしくてみやびやかなこと。あくせくする必要がなく、ゆったりすること)な動きへと変わってきます。ほんとうの見た目の美しさは、優雅な身体の動きと関係があるのです。

ストレッチングの種類は主に3種類あります。

もっとも知られているのは、静的(スタティック)ストレッチングです。普段あまり体を動かさない人向けのテクニックです。ゆっくりと時間をかけておこなうことで、姿勢保持筋(深層筋)を感知することができます。自分の現実的な柔軟性レベルを知ることもできます。曲げる・ねじる・伸ばすことで、筋肉はストレッチングされます。拮抗筋(アンタゴニスト~反対の動きをする筋肉)が刺激されないようにゆっくりおこなわれる必要があります。無理のないポジションで20秒ほど姿勢保持をすることで筋繊維を弛緩させ、伸ばします。

アスリートは動的(ダイナミックストレッチング)をおこないます。パワーやエネルギーレベルを高めます。一定のスピードで振り動かす動作が基本となります。動きを制御しながら、反動や弾みを使わずに、ある方向に腕や脚を振り動かします。主動筋(アゴニスト)が急速に収縮することで拮抗筋が伸び、ストレッチされます。

リハビリで使われているのはPNFストレッチングです。固有受容性神経筋促通法の略です。①筋肉を少しずつ最大限にストレッチする②アイソメトリック収縮(伸ばしたポジションで静止)を20秒おこなう③筋肉を5秒リラックスさせる④同じ筋肉を再び30秒ストレッチする。

ストレッチングをしている間、最初から最後まで一定のリズムで静かに呼吸します。ゆっくりと規則正しく呼吸をつづけることで、筋肉がリラックスします。何より大切なのは、決して息を止めないということです。ほとんどの人は呼吸容量を使いきってはいません。ごく浅い呼吸しかしていません。呼吸は感情に影響を与えますので、浅い呼吸では感情に振りまわされますし、心を制御するのが難しくなります。

呼吸の意識は、落ち着ているかせわしないか? 深いか浅いか? 鼻呼吸か口呼吸か? そして、静かに深く、身体の深部から呼吸をします。はじめに息を吸ってから、動作中は息を吐くようにします。むらのある呼吸にならないように、正確に呼吸します。

肺呼吸は脳の呼吸中枢で制御されています。ストレッチンをしている間、2種類の異なる呼吸、鼻から息を吸う「能動呼吸」と口から息を吐く「受動呼吸」が始まります。吸気は主に横隔膜が起こす能動的なプロセスです。肋骨挙筋と肋間筋が収縮して横隔膜が下がると、胸郭容積が増加します。肺は胸膜で胸郭につながっているので、同じ動きをします。呼気は、肋骨挙筋と肋間筋がゆるむことで受動的に起きます。元の位置に横隔膜が下がり、肺容積も元に戻ります。

1月の東京集中講座神戸集中講座大阪集中講座機能運動学大牟田サークルは、「呼吸を意識したストレッチング」について解説いたします。福岡での各クラスでも、理解を深めていこうと考えています。