側臥位 |
動きだす前の「構え」。
コア・スタビリティ(核の安定)にこだわった練習をした。
見た目の動きは、ほぼない。
しかし、体内では目まぐるしくも精密な姿勢制御が行われている。
仙骨岬角を意識した身体操作。
腹横筋と骨盤底筋群がつながって姿勢を制御していく感覚。
肋骨を骨盤に集めるように意識して、中心で身体を安定させていく。
そこには、根源的自己肯定感情がある。
中心で身体の制御ができない人は、非日常に楽しみを見いだそうとする。
寓話と奇跡を信じ、まわりの人たちを操作しようとする。
しかし、支配と服従、依存関係の中に、本当の楽しみはない。
仙骨岬角……自分の中心で自分を支えることができるということが重要。
脊柱を守るように、腹壁の筋群が引き締まる。
股関節を守るように、臀筋下部繊維がやさしく中心に集まる。
すべての筋群が、自分というかけがえのない存在を守るべく至誠を尽くす。
やわらかい胸郭が、円滑な呼吸とともに、美しい腕の動きを生み出す。
身体のはたらきと心のはたらきを、分かつことはできない。
身体を守ろうとしない身体組織の持ち主が、周りの人たちを守ろうとすることはない。
自らの身体を守るべく身体組織がメッセージをやりとりし合う。
そんな人は、仲間を守る。
たかがコアユニットなどと、なめてはいけない。
それは、他者に対する慈しみの源でもあるのだから。
きちんと胸骨が機能していない人間に、愛を知覚することはできない。
正確な姿勢制御の解説をしながら、そんなことを考えていた。
人は、自分の身体を自分で支える構造になっている。
他者にもたれかかることなく、依存せず自立する身体構造。
自分で姿勢を制御することで、正しく機能するようにできている。
自己不全感を他者に満たしてもらおうとするのは、愚かなことなのだ。
バウンダリー(境界線)。
自分と他人との適切な境界線を引くということ。
①他人の問題を自分の問題にしないこと
②他人の責任を自分の責任にしないこと
③他人がやるべきことを自分がやらないこと
境界線を引けない人は、他者の行動・感情のケアをしようとしてストレスにやられる。
境界線を引けない人は、他者をコントロールしようとしてストレスにやられる。
簡単に相手に入り込まれる。
不用意に相手の領域に入る。
逆に、極端に距離をとってしまう。
境界線を引けないとストレスフルとなる。
境界線を引くということは、自分を守るということ。
それは、身体操作の基本。
自らの身体操作を自ら精密に行う。
他者に寄りかからず、依存せず、圧倒的なスタビリティを生み出す。
基本的肢位を正確につくれるということ。
それが、境界線を引く基本。
境界線が引けることで、正しい思考と正しい行動が現実となる。
圧倒的な安定性と可動性を兼ね備えた肉体が生み出す正確さの力。
気が遠くなるほどの基礎の反復練習。
圧倒的な練習量が生み出す、圧倒的な据わり。
圧倒的な据わりが、どっしりとした厚みのある自己肯定感情の源泉。
明日の講座では、「骨盤底筋群」の力について解説する。
今日以上に地味な内容だが、圧倒的な結果を出したい。