それは、『左右の目が、いつも水平であること』です。
レーザー水平器 |
以前、アゴは引いた方がいいのか? 出した方がいいのか? 良い姿勢とは?で前後の水平について書きました。
左右の水平については、前提としてできているというつもりでした。
しかし、観察しているうちに、多くの人が『左右の目を水平にしていない』ことに気づきました。
これでは良い姿勢になるはずがありませんね。
原点回帰というかなんと言うか、骨盤だ肩甲骨だとか以前の問題です。
足裏が使えない上に、頭部の垂直も保てない。
そんな状態で、合理的で美しい『からだにやさしい動き』ができるはずもありません。
年がら年中体調が悪いのも、当然の結果なのだと思います。
肉体の水平感覚は、身体的(フィジカル)訓練だけでは養えません。
心理的にも、『偏ったものの見方をしない』ことが必要です。
文字通り、右にも左にも傾かない『中庸・中道なものの見方』ができないといけません。
僕がよく、『他人を思い通りに動かそうとしない方がいい』という提案をするのはこのためです。
水平感覚がある人は、右や左に偏った見方をする人を『本能的に』嫌います。
これに対し、右に偏った人は右に偏った人と、左に偏った人は左に偏った人と親和性が高まります。
その人のまわりにる人たち(その人にとっての『みんな』)は、同じく偏った人ばかりになります。
こうなると、水平感覚がある人たちが偏った見方をしているように感じてしまい、人生詰みます。
某人事担当者が、「俺は左右の目のラインが傾いている人は絶対に採用しない」と語ってました。
これは僕も同じ意見で、そんな人は肉体的・精神的安定を欠き、一緒に作業すると効率が落ちます。
前後・左右の水平がビシッと出ている人は、一緒にいると心やすらぎます。
当然、効率的に作業がサクサクと進みます。
『きちんとエクササイズを継続できる人は、仕事もサクサクこなす』
エクササイズの指導をする人なら、よく感じている事実だと思います。
仕事をサクサクこなせない人は、時間と労力を浪費し疲労困憊してしまうのです。
『忙しい』という字は『心を亡くす』と書きますが、すでに心が死亡していたら詰みますよね。
いわゆる『できる人たち』が、エクササイズを継続できるのは『水平感覚が優れているから』です。
水平感覚が崩れてしまうと、ケガを繰り返しますし、エクササイズ継続のエナジーが枯渇します。
なので、きちんと水平感覚を研磨してくれる指導者について、地道な訓練を重ねる必要があります。
現実には、左右の目が水平でない指導者についてしまって、事態を深刻化させることの方が多いのですが。
自分の左右の目が水平でないと、ものの見方が傾いてしまうために、良い指導者に出会えません。
ややこしいことに、右や左に傾いた指導者を『正しい指導者』だと誤認してしまうのです。
仮に良い指導者に出会っても、なんとなく気圧(けお)されて足が向きません。
なんだか、『全否定』されてるみたいに感じてしまいます。
結局のところ、本人が自分の左右の目を自分の意志で水平にするのが基本ということです。
道元さまの『眼横鼻直』は大前提なんですよね。
自分の立場を中心にして自分勝手に認識しようとして、誤った認識をしてしまう。
結果、自己中心的な我見我執に振りまわされて自滅という流れは哀しいものです。
『如実知見~我見我執にとらわれずに、現実をあるがままに知見する』
その第一歩は、水平感覚を保つことなのだと思います。