グラウンディング
意識やエネルギーを「今この瞬間」と「大地」にしっかりと結びつけ、精神的な安定と安心感を取り戻すための技法や状態。
グラウンディングのテクニックは、心と体を「今この瞬間」に引き戻し、落ち着きと安定感を取り戻すことを目的としています。不安、ストレス、パニック発作などの際に特に役立ちます。
主なテクニック
1. 五感を使うテクニック(「5-4-3-2-1」法)
これは最も一般的で、いつでもどこでも実践しやすいグラウンディングの方法です。五感を使って「今、ここ」の現実に意識を集中させます。
①見えるもの(5つ)
周囲を見渡し、目に見えるものを5つ探して心の中で認識するか、声に出します。(例:壁の時計、机の上のペン、窓の外の青空、手のシワ、床の木目)
②触れるもの/感じるもの(4つ)
肌や体が触れているもの、感じている感覚を4つ認識します。(例:椅子の背もたれの感触、服の生地の質感、足が床についている重さ、手のひらの冷たさ)
③聞こえる音(3つ)
周囲にある音を3つ注意深く聞きます。(例:自分の呼吸の音、遠くの車の音、エアコンの稼働音、時計の秒針の音)
④嗅ぐ匂い(2つ)
匂いを2つ意識します。(例:コーヒーの香り、ハンドクリームの匂い、空気の匂い)
⑤味わうもの(1つ)
口の中で感じる味を1つ認識します。(例:水分の味、口に残るミントの味、口の中の唾液の味)
2. 呼吸と体感覚に集中するテクニック
体の物理的な感覚、特に足元と呼吸に意識を向け、安定感を取り戻します。
■足の裏を意識する
・椅子に座っている、または立っている状態で、足の裏全体が床にしっかりと接していることを意識します。
・足のどの部分(かかと、つま先、土踏まずなど)に最も体重がかかっているかを感じます。
・まるで足の裏から地球に向かって根っこが生えているようなイメージを持ち、大地に支えられている感覚を味わいます。
■深呼吸(ボックス呼吸など):
①ゆっくりと深い呼吸に集中します。
②4秒で吸って、4秒止めて、4秒で吐いて、4秒止める、というリズム(ボックス呼吸)を繰り返すなど、数に集中することで意識を「今」に固定します。
③息を吸うときに「落ち着き」を取り込み、息を吐くときに「不安」を手放すイメージをします。
3. イメージング・メディテーション
視覚的なイメージを使って、心身と大地との繋がりを強める方法です。
■木の根のイメージ
①目を閉じるか、視線を下に落とし、自分が大きな木になったと想像します。
②自分の体(特に足元)から、太く力強い根っこが地球の中心に向かって深く伸びていくのをイメージします。
③根っこが地球の中心にしっかりと繋がり、そこからエネルギーや安定感を吸い上げ、体全体に巡らせるイメージを持ちます。
■重りのイメージ
自分の体(特に下半身や骨盤)に、大きな重りがついていることを想像します。その重りによって、体が地面にしっかりと固定され、揺るがない安定感を感じます。
4. 物理的な刺激を用いるテクニック
強い物理的な感覚を利用して、一瞬で頭から体へ意識を戻す方法です。
・冷たい水に触れる
顔や手首を冷たい水で洗う、または氷の塊を数秒間握る。冷たさという強い感覚が、意識を瞬時に「今」の体感覚に戻します。
・特定の行動を行う
椅子に座って、座面を手のひらで強く押したり、足で床を踏みしめたりするなど、体に力を入れて、その触覚や圧力に意識を集中します。
・においを嗅ぐ
アロマオイルや特定の香水など、強い香りのものを用意しておき、それを嗅ぐことに意識を集中します。