2018年10月10日水曜日

首を解放すると動きがよくなる~筋肉が常に緊張状態にあると慢性疼痛症状が出る「

9日のKANONでの塾生講座で、「首の解放」やりました。

Ideちゃんの斜角筋ストレッチの解説

後頭下筋群を、やわこで解放する。

首を解放しないと、姿勢も動きも改善できません。

後頭下筋群


首が詰まっていると動けない理由は、この本を精読すればわかると思います。

感情とはそもそも何なのか



 脳は運動するときに手の初期位置と最終目標位置の差に対応する信号を出力しているのではない。運動野から出る信号は運動指令信号ではなく、自己受容予測なのである。大切なことは、運動野から出る信号は、感覚の予測信号だということである。

 運動野が感覚の予測信号を出すと、現在の自己受容信号と目標となる自己受容信号との差、すなわち予測誤差が生じる。この予測誤差がなくなるまで運動する。「筋肉の自己受容器→脊髄運動ニューロン→筋肉」という信号の流れの反射弓を働かせることで、目標が達成できる。つまり随意運動においてもこの反射弓が主役なのである。

 したがって、自由エネルギー原理では、運動とは「目標となる状態の自己受容感覚を予測信号とし、それが達成されるように反射球を駆動させる」ことである。

 近くの場合は予測誤差によって予測信号が更新されるが、運動の場合と同じようにしてしまうと、せっかく目標として立てた自己受容感覚予測自体が変化して運動の目標が変わってしまう。したがって運動制御においては、目標として立てた自己受容感覚を途中で変化させずに、その運動を達成することが必要である。そこで運動制御では予測誤差が中枢に向かうのを抑制する必要がある。別の見方をすると、これは自己受容感覚の信号の精度がきわめて高いから予測誤差を無視すればよいともとらえることができる。

引用ここまで


少し考えてみましょう。

もし、自己受容感覚の精度が低かったらどうなるのかと。


実践アレクサンダー・テクニーク


自己受容感覚とは、動作においてバランス、位置、緊張を感知する感覚です。

五感は一般的に、聴覚、視覚、嗅覚、味覚、触覚を指します。20世紀半ば、神経生理学者がそこに自己受容感覚という「第六感を付け加えました。第六感は、空間における身体のバランス、位置、動きを感知する感覚のことです。この感覚は、関節の受容体、筋肉、内耳のバランス器官から情報のインプットによって得られます

自己受容感覚(proprioception)を文字通り訳すと、「身体内部を感じる」という意味になります。またこの感覚は、「身体の目」と呼ばれることもあります。第六感があれば、自分の空間における位置と質量が分かり、またその場所にとどまるために筋肉がどれほど緊張しているかに気づくことができます

日中の動作の大半は無意識に行われ、考える必要がまったくありません。この能力のおかげで、どんな状況でも、あるいはどんな仕事が課せられても、すべきことに完全に集中することができます。これは非常に便利な状態です。しかし、筋肉を過度に収縮したときに受け取るべき、身体からのフィードバックを拒否してしまうという欠点もあります。

人間の生活は、感覚から絶えず刺激を受けます。生活のスピードが増し、外的世界から受ける要求に応えようとするにつれて、「筋肉が収縮して疲労している」という体内からの感覚的メッセージを、無視し始めることがあります。同様に、緊張状態が正常かつ自然な状態とさえ感じるようになり、身体のプログラムにしっかりと組み込まれてしまうことがあるのです。

第六感への理解を深めると、大きな利点が得られます。まず身体の調子やバランスがより整います。また悪い影響を生む身体の使い方をすると、すぐに気がつくようになります。これによってストレスレベルをコントロールしやすくなります。また姿勢と感情の関連性に注意するようになり、そのフィードバックを利用して、健康を持続することができます。

引用ここまで


筋肉が硬い人の動きはよくありません。

感情も同じように硬くなっています。

表情も凍りついています。

姿勢もよくありませんし、不健康です。


上の二つの引用文を熟読してもらえば、その理由は瞬時にわかるはずです。

そう。

『脳の炎症状態』です。

慢性痛やうつの本体は『炎症』なのです。


感情とはそもそも何なのか 現代科学で読み解く感情のしくみと障害 乾敏郎 著91-92Pより

 ストレスがかかると、ストレスホルモンであるコルチゾールが分泌されるが、負のフィードバック機構によって、しばらくするとコルチゾールの分泌が抑制される。しかし、うつ病の場合この負のフィードバックがうまく働かず、コルチゾールの分泌が抑制されない。これによって、より多くの代謝エネルギーを予測し、ホメオスタシスが維持できず、炎症誘発状態に陥ると考えられる

引用ここまで


過覚醒』という状態があります。

  覚醒水準が亢進すること。強いストレスなどを受けたときにみられる。

 強いストレスを受けたとき、交感神経の活動が亢進したり、副腎皮質ホルモンが分泌されたりして、体は活動するのに適した状態になります。これは、生体防御のための正常な反応であり、ストレスが解除されると、体もリラックスした状態にもどります。しかし、何らかの原因で、ストレスが解除されても体が緊張した状態を保ち続け、不眠症、イライラ、ちょっとしたことに極端に反応する、警戒心が強くなるなどといった状態が続いてしまうことがあります。これを、過覚醒といいます。

引用ここまで

身体はトラウマを記憶する

身体はトラウマを記録する――脳・心・体のつながりと回復のための手法 べッセル・ヴァン・デア・コーク より

 脳幹と大脳辺縁系の基本的な自己システムは、人が生命を脅かされると著しく活性化し、強烈な生理的覚醒を伴う、圧倒的な恐れや身がすくむような思いを引き起こす。トラウマを追体験している人には、何一つ理解できない。彼らは生きるか死ぬかという状況にはまり込んでいる。それは、身動きをとれなくするような恐れや、見境のない憤激の状態だ。心も体も、まるで危機が差し迫っているかのように、しきりに覚醒させられる。ほんのかすかな音が聞こえてもはっと驚き、些細なことで苛立つ。絶えず眠りを妨げられ、食べ物は官能的な快楽をもたらさなくなることが多い。すると今度は、凍りついたり解離したりして不快な感情を抑えようとする必死の試みが引き起こされかねない。 

他者との触れ合いや同調は、生理的な自己調整の源泉であるものの、人と親密になりそうになると、傷つけられ、裏切られ、見捨てられるのではないかという恐れが引き起こされることがよくある。

長期にわたって怒ったりおびえたりしていると、筋肉が常に緊張状態になるために、いずれ痙攣や背中の痛み、偏頭痛、線維筋痛症といった、何らかの慢性疼痛の症状が出る。


引用ここまで


過覚醒している人によくみられる、筋肉の過剰緊張と味覚障害(偏食)。

そして、怖い眼。

身体感覚を深く感じることができないということ。

左脳ブローカ野(前頭葉)の機能停止。


物事を順序立てることができない。
因果関係を突き止めることができない。
自分の行動の長期的な影響を把握できない。
将来のための計画を立案したりできない。


扁桃体が暴走し、コルチゾールやアドレナリンなどのストレスホルモンが急増する。

心拍数も呼吸数も増え、血圧が上がり、記憶や注意に問題が発生する。


計画立案、予期、時間と前後関係の感覚、不適切な行動の抑制、共感的理解に働く前頭前皮質の機能停止。

前頭前皮質の機能停止が、「おかしな言動」を加速させていきます。


そして、おかしな言動を重ねるほど孤立化が進み、前頭前皮質の機能停止状態が続きます。


自分で自分を救う道は、

自分とのつながり

他者とのつながり

世界とのつながり

自然とのつながり

を回復させていくことしかないと思います。


データが示しているように、扁桃体暴走状態&前頭前皮質機能停止状態からの生還は難しいものがあります。

ただ、「やさしい人になりたい」という純粋な願望さえあれば大丈夫です。

やさしく後頭下筋群を解放することから始めればいいのです。

やさしさが自分に起こす奇跡を体験できるはずです。


ただ、とても残念なことに、前頭前皮質機能停止状態にある人に、この記事は届かないのですが。

計画立案、予期、時間と前後関係の感覚、不適切な行動の抑制、共感的理解の機能喪失。

ほんの少しでも、前頭前皮質機能が戻れば希望はあるのですが。

ほんとうは、やさしい人たちと、おいしい食事をし、仲良く眠ればいいだけなのです。


やさしくない人たちと、味覚障害な食事をし、ひとりで眠っているうちは厳しいのです。


話を戻して……

首の解放をすると動きが良くなります。


明日・明後日の塾生講座で、首の解放の解説をします。